生前に1人だけ財産を贈与されていた相続人の取り分は減額できる?

本ページでは、相続分に大きく影響する特別受益について、概要や事例、注意点などを取りまとめてご紹介していきたいと思います。

特別受益って何?相続分にどう影響するの?

兄弟あるいは姉妹のうち、ご両親が特定の子供だけを可愛がるというのはよくあるケースです。もしも、特定の子供だけに生前に財産を贈与して特別な便宜を図っていたとしたら…遺産相続では、そうした特別な便宜を受けた相続人を特別受益者と定義し、相続人同士の不公平を是正するために、特別受益者の相続分の算出において、贈与の価額を控除することが法で定められています。まずは、その典型的な例を見てみましょう。

Q.3兄弟のうち、長男だけが生前の父から、まとまった額の現金を贈与されていました。その分は、長男の相続分を減額できないのでしょうか?

A. このケースはまさに特別受益に該当します。贈与の確固たる証拠があれば、その贈与分を差し引いて分配計算をすることができます。

「法定相続人と相続分」のページでも触れています通り、遺産には被相続人と相続人の続柄によって、所定の取り分というものが決まっています。

例えば、被相続人が1億円を残して死去し、配偶者もすでに亡くなっている、相続人として子供が4人いるという場合、この1億円は均等に2,500万円ずつ分けることが法律上定められています。

しかし、仮に被相続者が生前、長男だけに2,000万円を贈与していたとしたら、話は変わってきます。この1億円に長男への生前贈与2,000万円分をプラスした1億2,000万円が相続財産とみなされ、それを均等割した3,000万円が各兄弟の取り分とみなされるため、相続時に得られる金額は、長男は差額分の1,000万円、残り3兄弟は3,000万円ずつということになります。これこそが、特別受益者の相続分の考え方なのです。

ただし、上記の例はあくまで単純なケースで、実際には、より複雑な事情も絡んできます。実際にあった事例として、次のようなケースがありました。

被相続者が死去する20年前に、長男に1,000万円を贈与し、長男はその1,000万円で不動産を購入。その20年後、地価高騰により、長男が購入した不動産は時価5,000万円まで値上がりしていたため、生前贈与は5,000万円とみなされたのです。

特別受益は、「相続開始時点での評価額で計算する」というルールがあるためです。なお、つけ加えておきますと、例えば一時的な小遣いやプレゼントなどの少額な金品の贈与や入院治療費の負担などは特別受益とはみなされません。

以上の通り、生前の贈与は特別受益として、遺産分割協議での考慮対象になります。しかし、場合によっては、そうした贈与を受けた相続人がその事実を認めない、隠蔽しようとするといったトラブルも起こりがちです。そうした場合には、専門家である弁護士へ相談することで、無駄な争いなどもなくなるはずです。

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