不動産相続の疑問やお悩みについて、徹底解説
不動産相続の疑問やお悩みについて、徹底解説
監修:田中健太郎弁護士東京スカイ法律事務所/第一東京弁護士会所属
不動産相続での実績があり、各種事例から問題解決のお手伝いをしてくれます。平日は22時まで。土日の相談にも対応しており、LINEからの予約も可能。
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こちらのページでは、遺産相続に影響を及ぼす寄与分について、概要や認められる条件、注意点などを取りまとめて紹介します。
被相続人が死去した場合の遺産は、相続人の人数や続柄によって、相続する割合が法律で定められています。そして、法律の定めによる相続人の相続分を法定相続分といいます。寄与分とは、共同相続人の中で、被相続人の財産の維持又は増加に特別な貢献をした人にのみ認められる相続分です。しかしながら、この寄与分は簡単に認められるものではなく、所定の条件を満たしていなければなりません。まずは、以下のケースから見ていきましょう。
A. 残念ながら、被相続人の介護したというだけでは寄与分は認められない可能性があります。寄与分は、あくまで「被相続人の財産の維持や増加」に貢献した場合に認められるものであるためです。
親御さんの晩年の介護をしたからといって、必ず法定相続分において優遇されるということはありません。寄与分が認められるためには、「特別な貢献」によって被相続人の財産が維持されたことや、増加が認められることが必要です。単に介護をした、面倒をみたというだけでは、「特別な貢献」とはみなされないケースが最近は多いようです。
では「特別な貢献」とはどういった対応を指すのでしょうか。
例えば、自営業者であった父親が病気によって仕事ができなくなり、父親に代わって事業の指揮をとって、父親の事業の利益を維持あるいは増大させたという場合には、寄与分が認められます。
また、単に介護をしたというだけでなく、介護の結果、本来であれば必要となったであろう付添人等の費用の支出を被相続人が免れ、被相続人の財産が維持された場合や、被相続人の生活費や医療費などの援助を行い、そのことで被相続人の財産が減ることを防いだ、増加することにつながったという場合は寄与分が認められる可能性が高いです。
なお、寄与分が認められるためには、あくまで法定相続人による「特別な貢献」であることが前提です。たとえば、被相続人に甥や姪がいて「特別な貢献」といえる対応をしても、被相続人に妻や子がいて、甥や姪が法定相続人とならないのであれば、いくら甥や姪が身内であり、被相続人の財産維持、増加に貢献しても、寄与分として遺産を受け取ることはできません。
寄与分について、相続人同士では、特別な貢献をした・していないといった感情論となり、紛争になりかねません。法律の専門家である弁護士に相談することをお勧めします。
2018年7月に相続に関する民法の改正が行われたことで、本来相続人にはならない親族でも、特定の条件下において相続人に対して「特別寄与料」という金銭を請求できるようになりました。
特別寄与料とは、相続人以外の人が無償で被相続人の介護や看護に貢献していた場合、貢献していた人が相続人に対して請求できる金銭のことです。
被相続人の遺産を相続できるのは、法律で定められた法定相続人と認められている人だけです。遺言で財産を相続するよう指定を受けている、などの特殊なケースを除いて、基本的には相続人以外の人が被相続人の遺産を相続することはできません。
例えば、被相続人の長男の妻が同居して被相続人の介護や看護を担っていた場合、今までの民法では長男の妻に金銭的な見返りは一切発生しませんでした。
被相続人の長男が生きていれば、長男が相続人になるので、被相続人の遺産を相続することができます。自分の妻による被相続人の介護への貢献や、日常生活の補助などを寄与分として、多めに遺産を相続することも認められるかもしれません。
しかし、被相続人が死亡した時点で既に長男が死亡しており、長男の妻がそのまま被相続人と同居を続けて夫の親の介護や看護をしていた、という場合は、遺言書による指定や生前贈与などの特殊な場合を除いて、長男の妻には相続の権利が発生しませんでした。そのため、被相続人の介護や看護をたとえ全て担当していたとしても、その寄与分を根拠に長男の妻が相続を受ける、ということは不可能でした。
しかし、2018年の民法の改正によって、このように本来相続人にはなれないが、無報酬で介護や看護に貢献していた人がいた場合、その人が二つの条件のうちのどちらかに当てはまれば、相続人に対して特別寄与料を請求できるようになりました。
特別寄与料を相続人に請求するためには、介護や看護などをしていた人が、二つの条件のうちのいずれかに当てはまる必要があります。
一つ目の条件は、被相続人から見て6親等以内の親族である、という条件です。親等とは、親族の近さを示す単位のことです。最も近い親等が1親等で、自分の父母、および子供がそれにあたります。6親等は最も遠い親戚で、祖父母のいとこ、父母のいとこの子供、いとこの孫、などが該当。法律上は、6親等に当たる範囲までの範囲の血族を「親族」と規定されています。
そして二つ目の条件は、被相続人の3親等以内の親族と法的に婚姻関係にあること、という条件です。
先ほどの長男の妻のケースはこれに該当します。3親等までなので、被相続人の子供の配偶者はもちろん、孫の配偶者や甥、姪の配偶者なども該当します。
ただし、「法的な婚姻関係」になければ、特別寄与料は請求できません。そのため、寄与の事実があったとしても、事実婚や内縁の関係であった場合は、特別寄与料を請求することはできません。
なお、特別寄与料の金額は原則として当事者同士の話し合いで決定し、まとまらない場合は家庭裁判所での審判により決着します。
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