不動産相続の疑問やお悩みについて、徹底解説
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合筆登記とは、隣接している複数の土地を1つの土地としてまとめることを指す用語です。このページでは不動産相続に関連して把握しておきたい合筆登記の内容や、合筆登記を行うメリットについて分かりやすく解説しています。
合筆登記の「合筆」は「ごうひつ」もしくは「がっぴつ」と読み、それぞれ別に登記されている複数の土地をまとめて1つの土地として登記することを指します。なお、「筆(ひつ/ぴつ)」は、登記簿において土地を指す単位です。
一見すると広大な一つの土地でも、登記を確認すると複数の所有者がいたり、登録上はいくつかに分けられて登記されていたりといったケースは少なくありません。こういった土地を売却したり譲渡したりしようと思った場合登記されている土地ごとに手続きを行わなければならず、手間やコストが増大してしまいます。
合筆登記を行えば、ばらばらに登記されている土地を一本化して、1筆の土地として取り扱えるように。売却・譲渡の際はもちろん、管理も容易になります。
合筆登記を行う条件として、対象となる土地が互いに隣接していることが求められます。
土地同士が離れているような場合、1筆の土地として合筆登記はできません。また土地が線で接しておらず、一点だけで接しているような場合も隣接とは認められず、合筆登記の対象外となります。
地目とは土地の用途であり、合筆登記は同一の地目を有する土地同士でしか行えません。
住宅用の宅地と宅地、農業を行っている農地と農地であればそれぞれ合筆登記できますが、宅地と農地を合筆登記することはできません。
また合筆登記したい土地がそれぞれ異なる地番区域に所属している場合も同様で、合筆登記の対象外となります。一見するとつながっている土地であっても、一方がA町、もう一方がB町の土地として登記されている場合は合筆登記ができません。
当然ながら、自分に所有権がない土地を合筆登記することはできません。
土地の登記記録では表題部と権利部という2つの区分があります。合筆登記をする際は、対象となる土地の「表題部所有者」や「所有権の登記名義人」が同一人物になっていることが条件です。そのため不動産相続で親から兄弟それぞれが土地を分割して相続したような場合、所有者の変更をしないままでは合筆登記に進めません。
また、一方の土地の登記記録には表題部所有者と登記名義人が両方記載されているものの、もう一方の土地には表題部所有者しか記載されていないような場合は、それが同じ人物の名前であっても登記名義人が同一として認められないため、合筆登記はできないということになります。
例えばA氏とB氏が複数の土地を共有していた場合、それぞれの土地における互いの持分によって、合筆登記の可否が決まります。
甲土地に関してA氏とB氏の持分は互いに5:5であり、乙土地に関してA氏とB氏の持分が7:3であるような場合、それぞれの土地に関する名義人の持分が異なっているため合筆登記はできません。
抵当権が登記されているような土地など、所有権以外の権利関係が設定されている土地に関しては、原則として合筆登記できません。
土地は登記ごとに処理するため、土地が分割されていれば当然ながら譲渡や売却に関する手間がその分増えてしまいます。事前に合筆登記をして土地をまとめておけば、その後の処理が簡便になるでしょう。
不整形な土地と整った形の土地があった場合、前者の価値は後者よりも低くなりがちです。両者の土地をまとめることで土地の利用幅が広がったり、一度まとめてから改めて使いやすい形で分筆したりすれば、土地の価値を高められる可能性があります。
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