未登記不動産の相続

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本ページでは、被相続人の家をいざ相続しようとしたら、実は未登記不動産だったことが分かった、という場合の事例や、対処方法などを取りまとめてご紹介していきたいと思います。

相続した不動産が未登記だった…相続はどうなる?

不動産登記の手続きがなされずに現在に至っているというケースは、少なくなってはいますが、まだまだ残っています。

祖父の代から土地建物が未登記だった事例

実際にあった事例として、以下のようなケースがありました。

相続人の祖父の代から暮らしているという土地と建物。祖父は20年前に亡くなられており、その後を継いでいた父親も亡くなったので、相続人が相続して居住することにし、土地建物の変更登記のために法務局に出向いたところ、その土地も建物も一度も登記されていないことが判明。慌てて、弁護士事務所に駆け込み、一体どうしたらよいのかと、相談したそうです。

この事案に対して行わなければならなかった作業としては、まず、祖父の名前で登記を行い、その上で、父親の兄弟など存命している祖父の相続人を集め、遺産分割協議を経て遺産分割協議書にサインをしてもらう…。

つまり父親が本来行うべき祖父の遺産を相続することに伴う手続きをいちからやり直し、その上で、ご自分の父親の遺産を相続することに伴う手続きも実施、さらにはあらためて登記のために、測量や図面作成など、かなりの手間暇をかけて行ったのです。相続人の方曰く「本当に気の遠くなる作業だった」とのことです。

この事例はいささか極端ですが、相続して単独で居住するために実際に行うべきことは、遺産分割協議の上で相続人を確定し、その上で登記作業も行うということに変わりはありません。

未登録の建物を相続した事例

父親が亡くなり土地と建物を相続することになった人からこんな相談があったそうです。

土地は祖父の名義で登記されていて、建物は登記されていませんでした。父が登記しなかったことを考えると登記せずそのままでもいいのでは?とも思えるのですが……登記の必要はあるでしょうか。ちなみに古い家ですが修繕して使用したいと考えています。という、内容でした。

建物が登記されていないというのは、実はそう珍しいケースではありません。父親の親の代ですと、融資は受けずに家を建てるケースも多かったため、そのままになっていたと考えられます。

登記は自分のものであるという、権利を主張するためのものなので、期限は設定されておらず他に権利者がいなければその家に住むことも問題なくできるからです。

現状では、そもそも建物を自分のものにする(権利を主張する)ためには、未登記の建物も他の相続人と遺産分割する必要があります。

また父親が相続するときにはトラブルにはならなかったようですが、土地の登記が祖父の名義のままというのも問題です。

登記しないままさらに世代交代が進むと、どんどん登記が困難になっていきます。古い家を大切にして使いたいなら、今後取り壊さずに相続させる可能性もあるのではないでしょうか。表題部登記、権利部登記の両方を行っておきましょう。またリフォーム費用にローンを使用するなら登記は必須です。

三代続けて相続登記がされていなかった土地を相続した事例

特に活用もされず、ずっと放置されてきた曽祖父名義の土地を相続することになった事例です。曽祖父と祖父母はもちろん、父母も亡くなっていて自分以外にも相続人がいるのかもわかりません。この土地を相続するにはどんな手続を行えばよいのでしょうか。

戸籍から相続人がいるのか、何人いるのかを調査して遺産分割協議を行う必要があります。活用されていない土地だったため、このケースでは相続人が20人という大人数のわりにスムーズな相続ができました。ですが、価値の高い土地の場合は揉めることも多くなります。

相続登記をしないまま放置していても、罰則はありませんし、一代であればトラブルになる可能性も高くはないでしょう。ですが後々のことを考えれば、遺産分割協議が難しくなる前に相続登記も行っておくべきです。

相続は可能でも、未登記不動産の放置は禁物

登記をしないままでの相続というのは、実はできてしまいますが、未登記不動産を売却したり、未登記不動産を担保として金融機関からお金の借入をしたりすることはできません。そして何より、上記の例の通り、相続人となった場合に行うべき手続きを怠れば、子供や孫に対して、相続の際に多大な苦労を強いることになってしまいます。

相続する不動産が未登記と判明した時点で、後々のトラブルを回避するためにも、速やかに専門家に相談し、必要な手続きを行うようにしましょう。

未登記不動産をトラブル無く相続する方法

現在は登記がされていない不動産は少なくなってきていますが、まだ全くないというわけではありません。未登録不動産の相続でトラブル無くすためには以下のような方法があります。

未登記不動産と判明した時点で速やかに登記

相続する際に未登記でないことがベストな状態です。

なぜならば、例えば「父から家を相続したが祖父の名前で登記されていた」状態であった場合、祖父の相続人を調べて集め遺産分割協議をしなくてはならないからです。よって、未登記不動産と判明した時点で速やかに登記を行うことがベストであり、できることなら父が存命のうちに登記をするのが相続をややこしくせずトラブルのリスクを減らせます。

不動産が未登記かどうか確認するには固定資産税の納税通知書で「未登記と記載されている建物があるか」「家屋番号が空欄になっている建物があるか」の確認がシンプルな方法です。

相続する手順をしっかり調べて行う

未登記不動産をトラブルなく相続するためにはスムーズにする手順を踏むことです。以下が一般的な手順となりますので参考にしてください。

①未登記不動産の相続人決定

相続人が複数であった場合は全員で協議して相続人を決定します。

②遺産分割協議書作成

相続人が複数であった場合は遺産分割協議書を作成します。全員の署名と実印の押印、印鑑証明書が必要となります。

③法務局に表題登記申請

不動産を相続する人の名義で申請します。その際に遺産分割協議書を作成した場合は添付すること。相続人が一人の場合は申請のみです。

④法務局に所有権保存登記申請

相続人を所有者として申請します。

不動産の相続、弁護士に依頼すべき理由について詳しく見る>>

相続登記の義務化について

これまで不動産を相続した際には相続登記は義務付けられていませんでしたが、2024年をめどに義務化されることが定められました。これは、所有者不明の土地の増加に対応するためのもの。自己のために相続の開始があったことを知り、かつその不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記を行う必要があり、義務に違反すると10万円以下の過料が科せられることになっています。また、登記名義人の住所や氏名が変更となった場合にも変更の届け出を行うことが必要となります(2年以内に変更が必要です)。

そのため、もし相続登記をしていない土地があるという場合には今の内に対応しておくことが必要。さらに、今後不動産を相続した場合には、忘れずに登記を行うようにしましょう。

相続登記の義務化について詳しく見る>>

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このページの監修
東京スカイ法律事務所

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引用元:東京スカイ法律事務所公式HP
(https://www.tsky.jp/)

このサイトは「東京スカイ法律事務所」の田中健太郎弁護士に監修していただいています。同氏は弁護士と行政書士、両方の資格を所持し、弁護士になる前は司法書士として活躍していたという経歴の持ち主。不動産相続に関する豊富な知識と実績を持つ弁護士です。
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