相続不動産の登録免許税

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不動産を相続した場合、きちんと所有権移転登記を行って相続人が不動産の所有者であると公示しなければなりませんが、登記の際には登録免許税という費用がかかります。ここでは不動産相続における登録免許税について計算方法や支払い手順などを解説していますので、相続時に困らないよう把握しておきましょう。

登録免許税とは?

登録免許税とは?

登録免許税とは、不動産の所有者が別の人物へ変わった際に登記を行うための費用であり、不動産の価額(課税標準額)に対して課税される税金です。

不動産を相続したり購入したりした場合、相続人や施主など新しい所有者が誰であるのか公的に示す必要があり、そのための登録手続きを「登記」と呼びます。そして登録免許税は、登記の際に支払わなければならない税金であり、原則として不動産価額に応じて課税されることが特徴です。

登録免許税の計算方法と申告手順

登録免許税の計算方法

一般的に登録免許税の税額は以下の計算式で算出されます。

自宅や土地などの不動産に関する登録免許税において、課税標準額とは不動産の価額となります。

不動産価額は、対象の不動産の価格が市町村の固定資産課税台帳に記載されている場合、その金額が適用され、その価額は固定資産税評価額と呼ばれることも重要です。ただし、正確には固定資産税評価額から1,000円未満を切り捨てた数字が課税標準額となるため注意してください。

また登録免許税は最終的に100円未満を切り捨てた数字となることもポイントです。

固定資産課税台帳が存在しない場合

対象の不動産について固定資産課税台帳に記載がない場合、登記官によって認定された不動産価額が課税標準額となります。

なお、抵当権の設定登記においては、課税標準額は債権金額の総額に相当します。

そのため、相続した不動産について課税標準額を調べたい場合、基本的には不動産を管轄する市町村役場へ問い合わせて固定資産税評価額を確認することが必要です。

登録免許税の計算結果が1,000円未満の場合

課税標準額に税率をかけた結果、登録免許税の税額が1,000円未満として算出された場合、登録免許税は一律「1,000円」となります。

登録免許税の税率

登録免許税の税率は取得する物件の属性や、取得する方法によって異なります

取得物件が新築であるのか既存住宅(中古)であるのか、あるいは相続や贈与によって物件を取得するのかで税率が変わり、さらに新築物件の場合は認定長期優良住宅や認定低炭素住宅など特定の物件について軽減税率が適用されることもあります。

相続で不動産を取得した場合の登録免許税の税率

土地の所有権移転登記の税率

令和3年4月1日現在の税法において、相続によって「土地」を取得した場合に所有権移転登記を行うための登録免許税の税率は「1000分の4」です。

そのため、例えば相続した土地の価額が1千万円であった場合、登録免許税の税額は4万円となります。

なお、相続した土地の所有権移転登記については一定の条件によって免税措置を受けることも可能です。

※参照元:国税庁|No.7191 登録免許税の税額表(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7191.htm)

建物の所有権移転登記の税率

建物の所有権移転登記についても、相続によって不動産を取得した場合の税率は土地の場合と同様に「1000分の4」となっています。

相続不動産の登録免許税の税率は原則「1000分の4」

土地についても建物についても相続不動産において登録免許税の税率は「1000分の4」です。

ただし、前述したように土地については一定条件で登録免許税が免除されるといった税制上の優遇措置を受けられることもポイントです。

登録免許税の納税方法

登録免許税は申告納税方式が採用されており、納税者(不動産所有者)が適正な金額を算出・申告して、納税しなければなりません。なお、相続不動産については納税者は相続人となります。複数人で不動産を相続した場合、全員が連帯して納税する義務を負うことも重要です。

現金で納税する

登録免許税は現金で納税することができます。

現金で納税する場合、金融機関で納付書に金額と必要事項を記入した上で、窓口へ現金と共に提出します。また、金融機関で受け取った領収書を、改めて不動産登記を行う書類へ添付するといった流れです。

収入印紙で納税する

登録免許税が「3万円以下」である場合、登記申請書へ相当額の収入印紙を貼り付けて提出し、納税することも可能です。

登記所で収入印紙を購入できる場合、その場で収入印紙を購入、書類を作成して提出できます。あるいは郵便局であらかじめ収入印紙を購入しておくこともできます。

なお、3万円以上の納税でも収入印紙による支払いが認められることもあり、詳しくは登記を行う法務局の窓口へ問い合わせるようにしてください。

相続不動産に対する登録免許税の免税措置

相続不動産の登録免許税は軽減されないが免税される場合がある

令和3年度の税制改正によって、相続した土地の登録免許税について大きく2つの免税措置が定められています。

相続人が登記をしないで死亡した場合の免税措置

被相続人の死亡によって相続人が土地を相続したものの、相続人が土地の登記をせずに死亡して、次の代へ土地が相続された場合、平成30年4月1日から令和4年3月31日までの間に「死亡した相続人」を登記名義にするための手続きについては、登録免許税が免税されます。

例えば以下のようなケースです。

  1. 祖父が死亡して、父が土地を相続(一次相続)した。
  2. 父が相続した土地の所有権移転登記(祖父→父)を行う前に、父が死亡した。
  3. 息子が新たな相続人として土地を相続(二次相続)した。
  4. 平成30年4月1日~令和4年3月31日に息子が土地の名義を、祖父→父へ変更した。
  5. 祖父から父のものへ名義変更するための登録免許税は免税される。

二次相続の登録免許税は免税されない

改めて息子が相続人(二次相続)として「父→息子」へ所有権移転登記を行う場合、登録免許税は免税されません

※参照元:令和3年4月 税務署「相続による土地の所有権の移転登記等に対する登録免許税の免税措置について」(https://www.nta.go.jp/publication/pamph/sonota/0018003-081-01.pdf)

少額の土地を相続した場合の免税措置

平成30年11月15日から令和4年3月31日までの期間中に、「市街化区域外の土地」であり、かつ「法務大臣が指定した土地」のうち、「評価額が10万円以下」となる土地について登録免許税が免税されます。

ポイントは以下の4点です。

ただし、現実的に対象となる土地は山林や田畑などが主となり、さらに10万円以下の価額となれば相当に限られていることも重要です。

※参照元:令和3年4月 税務署「相続による土地の所有権の移転登記等に対する登録免許税の免税措置について」(https://www.nta.go.jp/publication/pamph/sonota/0018003-081-01.pdf)

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引用元:東京スカイ法律事務所公式HP
(https://www.tsky.jp/)

このサイトは「東京スカイ法律事務所」の田中健太郎弁護士に監修していただいています。同氏は弁護士と行政書士、両方の資格を所持し、弁護士になる前は司法書士として活躍していたという経歴の持ち主。不動産相続に関する豊富な知識と実績を持つ弁護士です。
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