相続不動産の確定申告と年末調整

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基本的に、不動産を相続したからといって必ずしも年末調整や確定申告を行うべきとは限りませんが、条件によっては確定申告などが必要になることもあり、それぞれのケースを把握しておくことが大切です。

不動産の相続で年末調整や確定申告は必要なのか?

年末調整や確定申告は「所得税」に関する手続き

年末調整や確定申告は申告者の収入や事業経費など所得に関係する手続きです。そのため、不動産の相続で発生する相続税とは関係のない制度となります。

つまり原則として不動産を相続して相続税が発生しても、年末調整や確定申告で特別な手続きをする必要はありません

年末調整とは?

例えば会社から給料をもらっている人の場合、基本給からある程度の金額が引かれて支給されます。これは事前に所得税分が源泉徴収されているからです。

しかし、所得税は所得全体に課税されるものであり、まだ所得額が確定していない段階から源泉徴収されることで、本来に支払うべき税額よりも払いすぎていることも考えられるでしょう。そのため、年末近くになった時点で改めて扶養控除や配偶者控除、保険料控除といった控除額などを計算して、所得を確定し、実際の所得税との差額を確定しなければなりません。このような一連の作業を年末調整と呼びます。

確定申告とは?

確定申告は毎年の2月15日から3月16日の期間に、前年の所得を確定して、支払うべき所得税などの金額を確定するための作業です。

確定申告を行わなければならない人は、個人事業主のように企業で年末調整を行ってもらえない人や、副業や臨時収入で給料以上の収入があった人など多岐にわたります。

不動産や預貯金を相続しても所得にはならない

相続財産は所得には含まれない

相続によって得られた財産に関しては、給料や営業活動など仕事によって得られた所得とは別のお金として考えられるため、相続財産を所得として確定申告で計上する必要は原則としてありません。

ただし、例えば国外に住んでいる相続人が1億円以上の有価証券等を相続したような場合は、例外的に確定申告が必要になることもあります。

相続税は所得税の控除対象にもならない

医療費や保険料などは条件によって所得控除の対象となりますが、相続税は所得税と異なる税金のため、相続税を支払っていても所得の計算には影響しません。つまり、相続税を支払ったとしても所得税が減額されることはなく、確定申告で相続税に関する内容を計上することもできません。

相続税の修正は年末調整や確定申告でできない

もしも相続税の支払いに不備があったり、支払うべき金額を間違えていたりしたとしても、年末調整や確定申告で修正申告を行えないことがポイントです。

相続税の誤りは、改めて相続税の修正申告によって是正します。

高額な不動産を相続しても扶養を外れることはない

相続財産は所得に該当しないため、例えば高額な不動産を相続したとしてもそれを理由に扶養から外れるといったことはありません

ただし、不動産投資を行っているマンションなど、事業用不動産を投資事業ごと相続で承継したような場合において、事業所得が発生すれば扶養から外れてしまう可能性はあります。

不動産の相続に関連して確定申告が必要なケース

不動産を売却・譲渡する場合

相続した不動産を他の人や不動産会社などへ売却する場合、売却額によっては「譲渡所得」が発生します。

譲渡所得とは、不動産を売って得られたお金から、不動産の取得や譲渡にかかった費用を差し引きした残りの金額です。

不動産の取得にかかった費用が高額であったり、控除や特例などの対象になったりした場合、譲渡所得は必ずしもプラスになるとは限りません。しかし、もしも不動産の売却額が大きくて譲渡所得がプラスとして残った場合、それは確定申告によって所得として計上する必要があります。

譲渡所得税と所得税では税率が異なる

不動産の売却による譲渡所得と給料などの所得では税率も扱いも異なります。そのため、確定申告する場合でも別種の税金として処理しなければならないため注意してください。

不動産投資を承継した場合

投資用マンションや投資用アパートなど、他人に貸して家賃収入を得るような事業用物件を相続して、投資事業も引き継いだ場合、それは新たに収入源が増えることとなります。

当然ながら、不動産投資事業によって得られた収入は所得を計算する上で重要になるため、事業用物件を相続すれば必然的に確定申告を行っていかなければならないこともポイントです。

また、不動産投資を自分で行いたくないからと相続した不動産を売却する場合、やはり譲渡所得が発生すれば確定申告の対象となります。

青色申告には事前の申請が必要

確定申告には大きく「白色申告」と「青色申告」という種類があり、税制上のメリットを多く受けられる申告方法は青色申告です。

ただし、青色申告を行うためには最寄りの税務署へ事前に申請を行わなければならず、それまで確定申告していなかった人がいきなり事業用物件を相続したとしても、青色申告による税制上のメリットは受けられません。

青色申告の申請は申告者ごとに行わなければならず、例えば被相続人が生前に青色申告を行っていたとしても、申告方式は相続できないため注意が必要です。

故人の所得に関する「準確定申告」

準確定申告とは、確定申告が必要な本人が自分のために行う申告でなく、例えば相続人などが生前の被相続人の所得について行う確定申告を指します。

確定申告は前年の収入について申告するための手続きであり、被相続人が年の途中で亡くなれば、亡くなった年の1月1日から死亡日までの所得について相続人などが準確定申告を行うことが必要です。

準確定申告の期限は相続開始を知った日の翌日から4ヶ月以内

準確定申告の期限は相続開始を知った日の翌日から4ヶ月以内となっており、被相続人が死亡したタイミングによって変動するため注意してください。

相続税の申告では専門家のサポートを受けることも有効

不動産相続に関する確定申告や相続税の申告は条件によって非情に複雑化するため、適切な納税や節税対策を考えようとすればプロの助けを借りることが無難です。

申告の誤りは後々に大きな問題につながっていくため、必ず適切な申告を行えるように十分な準備やプロの活用を考えていきましょう。

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このページの監修
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引用元:東京スカイ法律事務所公式HP
(https://www.tsky.jp/)

このサイトは「東京スカイ法律事務所」の田中健太郎弁護士に監修していただいています。同氏は弁護士と行政書士、両方の資格を所持し、弁護士になる前は司法書士として活躍していたという経歴の持ち主。不動産相続に関する豊富な知識と実績を持つ弁護士です。
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