不動産相続の際、遺言が不平等だと言われて起きる問題

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遺言書不平等

不動産に限ったことではありませんが、相続争いのもとになりやすいのは、遺言が関係者にとって不平等と思われた時です。トラブルを避けるために明確な遺言を作成しておくわけですが、その内容によっては、むしろ遺言が問題の原因になることがあるので、注意が必要です。

遺言の内容がトラブルになりやすい理由

法律で定まっている通りに淡々と相続が進めば、ある意味納得しやすいものです。というより、納得するしかないと思うかもしれません。しかし、遺言によって想定外の指示を出されると、関係する人たちの感情がかき乱されることがあります。しかも不動産の相続の場合、一つの土地や建物を誰かが一括で相続することになるのか、どのように分配するのか、平等にきっちりと分けるのが難しいものです。

不平等な遺言がある理由としては、故人にとって思い入れのある人に多く譲りたいという思いがあるからかもしれません。もしくは仲が悪かった家族の取り分は、できるだけ少なくしたいという思いが働くこともあります。そのような感情が関わる遺言となると、トラブルが発生しやすいでしょう。

不平等感のある遺言例としては、遺族にとっては関係のない第三者に不動産を譲るというものです。たとえば愛人や懇意にしていたホステスに相続させたいという遺言があると、当然ながら家族は反発するでしょう。残された家族はショックを受けますし、当然納得しがたい遺言です。しかしその愛人なりホステスなりの人は、故人に大変尽くしたのかもしれませんし、介護を引き受けていたということもあります。それで相続放棄しろと言われても受け入れがたくなります。このように、親族以外に相続させる遺言はトラブルの原因となります。

不平等な遺言で揉める原因として、遺留分が侵害されるという点があります。兄弟姉妹以外の法定相続人には遺留分がありますが、遺言によって減額されるということになれば、遺留分の権利者は遺産の返還を求めることができます。遺留分減殺請求をすることは法的に認められた権利ではありますが、そのための遺留分減殺調停、そして遺留分減殺訴訟が起こると、感情的なもつれも発生しやすくなります。場合によっては長期に渡る訴訟となることもあり、深刻な遺産トラブルとなるのです。

最初から遺留分を侵害しない遺言になっていればトラブルを防ぐことができますが、故人としてはあえてそのような遺言を作成することがありますから、問題回避は中々できないのが現状です。しかしせめて、遺族が住んでいる家や土地を第三者に譲ると、追い出すような形になってしまいますから、避けたいものです。

遺言の内容に納得できずトラブルになった例

故人の遺言を不平等と感じ、家族間のトラブルに発展してしまった例をご紹介しましょう。

3人兄弟の末っ子であるGさんは母親を亡くした後、兄弟3人で相続について話し合うことにしました。しかし遺言を開いてみると、長男に対して実家の土地建物を、Gさんを含む残りの2人に対しては100万円程度の現金をという内容でした。あまりに金額に差があるため納得できず、Gさんは長男である兄に対し、遺留分減殺請求をすることにしました。

請求を受けたGさんの兄は逆上し、遺留分減殺調停で争うことに。調停員の説得もあったことにより、遺留分である800万円を支払ってもらうことになったものの、Gさんと兄はそれ以来、年賀状のやり取りすらない絶縁状態になってしまったのです。きちんと遺留分のお金をもらえたことは良かったものの、家族の絆を断ち切ってしまったようで、Gさんの気持ちはモヤモヤした状態のようです。

遺言問題を解決するためには弁護士に相談するべき

遺言問題は、法的な権利をただ主張するだけでは解決することができません。相手のあることですから、法律に基づきつつ、感情も考慮しながら解決を図る必要があります。

不動産相続の際に遺言がもとで仲違いしてしまった場合、どんな落としどころがあるのか、どのように譲ったり請求したりすることができるのか、専門の弁護士は精通しています。ですから、遺言問題をスピーディーに、できるだけ円満に解決したい場合は、弁護士に相談するのが賢明でしょう。

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このページの監修
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引用元:東京スカイ法律事務所公式HP
(https://www.tsky.jp/)

このサイトは「東京スカイ法律事務所」の田中健太郎弁護士に監修していただいています。同氏は弁護士と行政書士、両方の資格を所持し、弁護士になる前は司法書士として活躍していたという経歴の持ち主。不動産相続に関する豊富な知識と実績を持つ弁護士です。
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