不動産相続の疑問やお悩みについて、徹底解説
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このページでは、遺産相続における法定相続人の範囲や法定相続分について解説しています。
「法定相続人」とは、被相続人(お亡くなりになった方)の死亡により財産法上の地位を法律上承継する人のことを指します。この法定相続人は、被相続人との間柄によって決まり、遺産の取り分にも大きく影響していきます。
法律によって定められた相続人は、優先順位というものが決まっており、配偶者、子、親、兄弟姉妹という序列となります。なかでも配偶者は、常に相続人となることができます。ただし注意が必要となるのが、あくまでも戸籍上の配偶者が対象となる点です。
仮に生前の被相続人とその配偶者の夫婦仲が悪かった場合であっても、被相続人が亡くなった場合、配偶者は相続人となります。逆に生前、どんなに仲がよかったとしても、愛人や内縁関係だった場合は相続人とは認められません。
そして配偶者に続き、子、親、兄弟姉妹という優先順位も決まっています。優先される順位の相続人がいるか否かで、相続人の範囲が変わります。
ちなみに被相続人の子供が相続人となる場合、実子はもちろんのこと、養子も、被相続人の子という同じ立場で相続の権利を有します。また、養子縁組をした子供でも、養親だけでなく、実親を相続する権利を有します。つまり養子は養親と実親、双方の相続権を有しているということになります。
ここからは、上記の法定相続人に対し、相続分はどのような割合となるのか、主な例を挙げていきたいと思います。
※子供が複数存在する場合は、子供の人数に応じて均等の割合となります。また、以前は非嫡出子の場合は嫡出子の1/2の相続分でしたが、平成25年12月5日に民法の一部が改正され(同月11日公布・施行)、非嫡出子も嫡出子と同じ相続割合になります(平成25年9月5日以後に開始した相続について適用)。
※両親ともに存在する場合は2名で均等の割合となります。
※兄弟姉妹が複数の場合は、人数に応じて均等の割合となります。また実の兄弟姉妹と養子縁組による義理の兄弟姉妹に差は有りません。また、父母の一方だけが同じ兄弟姉妹(いわゆる腹違いの兄弟姉妹など)の場合、両親が同じ兄弟姉妹の法定相続分の1/2となります。
以上の例はあくまで主な例であり、より複雑なケースもありえます。スムーズに手続きを行うためには知識やノウハウに長けた、弁護士などの専門家にサポートやアドバイスを求めることが賢明です。
根本的に理解しておくべきポイントとして、相続放棄が認められた人については、「最初から相続人でなかった」という扱いになります。そのため、相続放棄が行われたからといって、あらかじめ法律で定められている優先順位そのものが変更されることはありません。
ただし、相続放棄によって特定の相続人がいなくなれば、必然的に他の人が相続人として権利を認められたり、相続割合が大きくなったりといったことが考えられます。
配偶者が相続放棄を行うと、少なくとも相続権としては被相続人に配偶者はいなかったものとして扱われます。そのため、例えば被相続人が未婚のまま亡くなったり、あるいは離婚や死別によってすでに配偶者を失っていたりした場合と同様の考え方となることがポイントです。
配偶者が相続放棄を行った上で、被相続人に子供がいる場合、子供が相続人の中で最優先の相続権を有することになります。もしも被相続人に子供がいなかった場合、相続順位としてさらに下位の相続人へ相続権が移ることになるでしょう。
例えば被相続人の配偶者が存命で、全ての子供が相続放棄を行った場合、遺産は全て配偶者が相続することになります。
複数の子供がいたとして、特定の子供だけが相続放棄を行った場合、最初からその子供が相続人の中にいなかったものとして分配の割合が確定されます。
例えば配偶者と3人の子供がいたとして、子供の1人が相続放棄した場合、他の2人の子供はそれぞれ遺産を25%ずつ相続するといった形です。
配偶者がおらず、子供も全員が相続放棄を行った場合、相続権はさらに下位の相続人へ移行します。
被相続人よりも先に子供が亡くなっていても、その子供に孫がいれば、代襲相続として孫に相続権が発生します。しかし子供が自分の意思で相続放棄を行った場合、そもそも子供に相続権が発生しなかったものと考えられるため、孫への代襲相続も発生しません。
配偶者と子供の全員が相続放棄を行えば、相続順位は被相続人の親が最上位となります。
この際、例えば両親が存命として、母親だけが相続放棄を行えば被相続人の遺産は全て父親へ相続されることになります。当然ながらその逆も同様です。
相続順位は直系尊属が第2順位となるため、被相続人の父母の両方が相続放棄によって相続権を放棄すれば、祖父母やさらに上の直系尊属が相続権(第2順位)を得ることになります。
特別養子縁組では実親と子供の親子関係が消滅し、養親のみが親として相続権を有します。しかし普通養子縁組の場合、実親と養親の双方に相続権が残っていることが重要です。
そのため、例えば実親が相続権を放棄すれば、残った養親が相続人として遺産を相続します。
父母や祖父母といった第2順位の相続人が全て死亡していたり、相続放棄によって第2順位の相続人が全ていなくなったりすれば、第3順位である兄弟姉妹が相続人です。
兄弟姉妹がすでに死亡していた場合、その子供である甥や姪が代襲相続によって相続人となります。
兄弟姉妹が相続放棄を行えば、当該人物の相続権は最初から存在していないため、甥や姪への代襲相続も発生しません。
兄弟姉妹が相続放棄を行ったり、甥や姪が相続放棄を行ったりして第3順位の相続人もいなくなった場合、法定相続人として認定される対象がいなくなります。
法定相続人が誰も存在しないようなケースでは、家庭裁判所が財産の管理人を選任して適切な管理・生産を行うといった流れになります。なお、「特別縁故者」と呼ばれる権利者から特別な請求があった場合、遺産の一部あるいは全部が特別縁故者へ譲渡されることもあるでしょう。
特別縁故者による請求がなければ残余財産は国庫へ帰属します。
未成年者の財産管理に関しては、両親や祖父母、養育者など親権を持つ者が法定代理人になり、相続や相続放棄についても手続きを代行します。
未成年者の財産管理は法定代理人である親権者が行いますが、あくまでも権利の母体は未成年者に帰属します。そのため、親権者は法定代理人だからといってその権利を濫用し、未成年者の利益を侵害することは許されません。
親権者の利益と未成年の利益が対立関係にあると考えられる場合、親権者に代わって未成年者の財産管理権を代行してくれる「特別代理人」の選定を家庭裁判所へ請求することが必要です。
相続放棄は、相続権を有する人が自己の意思と権利にもとづいて行うものです。そのため相続順位の対象者が存続する限り、相続放棄も続いていく可能性があります。具体的には甥姪の段階まで相続放棄が続くことがあります。
ただし相続放棄の手続きには期限があり、期限が過ぎた後は相続放棄を行えないので注意してください。
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