不動産相続の疑問やお悩みについて、徹底解説
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このページでは、自分が所有する不動産について、自分の死後に相続人へ相続させたくない人のために、相続させない方法や対策を解説しています。
例えば親子間や家族間に何かしら根深い問題を抱えており、どうしても子供や兄弟へ不動産や財産を相続させたくないと考える人もいるでしょう。
そもそも日本の現行法において、実親と実子の親子関係を抹消することは簡単でありません。勘当や絶縁といった概念はあくまでも個人間のものであり、法的拘束力を有するものではありません。
日本で親子関係を抹消する方法として、「特別養子縁組」といった制度もありますが、条件が限られており将来的に親子関係が復活する場合もあります。
相続は親子間や兄弟間など、一定の範囲の親族間で法的に認められている権利です。そのため、親子関係が抹消できないように、原則として相続権を抹消することも容易ではありません。
相続させたくない相手がいるということは、一方で相続させたい相手が決まっているということかも知れません。そのような場合、生前に有効な遺言書を作成しておくことで、任意の相手に不動産や財産を相続させることが可能です。
遺留分とは、日本の法律によって認められている、法定相続人の最低限度の遺産取得割合です。
言い換えれば、法定相続人には被相続人の意思に関係なく、一定の相続権が法律によって固定されているとなります。
そのため、例えば被相続人が遺言書で「息子には一切の財産を相続させない」と書いていても、息子には遺留分があるため、その範囲で財産を相続することが可能となります。
3人の相続人がいたとして、遺言書でその中の1人へ「全ての財産を譲る」と書かれていることもあるでしょう。しかし、その遺言書を真に受けて1人の相続人が本当に全ての財産を独占した場合、残りの2人は遺留分に関する権利を侵害されたことになります。
そうなると裁判所へ提訴されて遺留分侵害額請求へ発展することもあり、大きな問題へつながることもあります。
特定の相続人が遺留分を放棄すると宣言していれば、被相続人は自分の好きな相手だけに財産を相続させることも可能です。しかし、相続人が遺留分の放棄に同意していない場合、遺留分を剥奪するには家庭裁判所へ申し立てて合理的な理由や正当性を認められなければなりません。
原則として、親子関係を抹消したり、遺留分を放棄させたりといったことは困難です。ただし、相続人が遺言書を偽装していたり、被相続人を虐待して都合の良い遺言者を書かせていたりした場合、そのような相続人は相続欠格者として相続の枠から外されます。もちろん、相続人が被相続人を殺害したような場合も、相続欠格者となるため相続権は認められません。
子供が非行に走って家庭内暴力で苦しめられていたり、身内からの虐待によって重大な迷惑を被っていたりする場合、被相続人が家庭裁判所へ「相続人廃除」の申し立てを行うことも可能です。
相続人廃除の申し立てが認められれば、相手は相続人として欠格者となるため、相続権を合法的に奪うことができます。
仮に特定の相続人の遺留分を侵害する遺言書があったとして、遺留分を侵害されている相続人がそれに気づいて、失った分の変換を求めなければ、遺言書の通りに相続が行われます。また、遺留分の請求については「相続開始と遺留分侵害を知ってから1年以内」という時効があり、それを過ぎれば遺留分侵害額請求訴訟を行うこともできません。
相続人が遺留分侵害に気づかないことを祈って、無理のある遺言書を作成するという方法もあります。しかし、実際に相続人が遺留分侵害に気づいた途端、致命的に関係性が悪化して泥沼の法廷闘争へもつれ込むリスクがあるため、おすすめできる方法ではないでしょう。
不動産相続のプロは、不動産だけでなく数多くの家族間トラブルに接してきた専門家でもあります。そのため、どうしても相続させたくない相手がいる場合、プロへ相談することで多角的な視点でアドバイスをもらうことも期待できるでしょう。
自分の意思をきちんと相続へ反映させられるよう、元気なうちから専門家へ相談してみることが大切です。
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