不動産相続で登記名義の変更が必要であることの3つの理由と手続き方法

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相続

親族が亡くなり不動産を相続することになった場合、その不動産の登記名義を、亡くなった親族から不動産を相続する相続人に変更する必要があります。

不動産相続で登記名義の変更を行うことを「相続登記」と呼びますが、この変更手続きは法律上の義務ではなく、期限も設けられていません。

しかし、登記名義の変更を行わずにいることで生じるリスクがあります。

相続登記をしないことによるリスク

1. 長期間対応しないでいると、相続登記の手続きが困難になる

不動産の登記名義の変更にはさまざまな書類が必要となります。

必要書類となる住民票や戸籍などは、役所で永久に保管されているというわけではありません。登記名義の変更を長年行わずにいると、保管期限が過ぎてしまい、必要書類が取得できなくなるというケースもあります。

また、相続人全員による遺産分割協議により相続不動産の名義を相続人の内の1人の単独名義とする相続登記では、1人の相続人の単独名義とすることについて相続人全員が合意することが必要です。

登記名義を変更しない期間が長ければ長いほど、不動産についての相続人の数は増え、血縁関係も薄くなっていくため、相続人全員の同意を得ることが難しくなります。

2. 不動産が第三者に売却されてしまう恐れがある

遺産分割協議による相続人全員の合意により、自己が単独で相続するはずの不動産が、無断で他の相続人によって第三者に売却されてしまったとします。例えば、相続人の誰かが借金を抱え、その相続人自身が単独で不動産を相続したと偽って、不動産の登記名義をその相続人の単独名義とし、その借金返済資金を賄うために不動産を売却するようなケースです。

遺産分割協議の結果、不動産を1人の相続人に帰属させることが決定しても、そのことは登記をしなければ不動産を購入した第三者に対して、不動産の単独所有者であることは対抗できません。ただし、遺産分割協議の結果は対抗できずとも、法定相続分については第三者に対しても対抗できます。とはいえ、不動産の現に売却された後に権利を主張して登記名義を変更することは、手続上大きな負担を伴うと考えられます。

また、上記のような無断売却がなされずとも、不動産の名義が被相続人のままでは、基本的には相続人所有の不動産として売却を行うことができません。その不動産を担保にしたお金の融資を受けることも困難です。

3. 不動産が損壊された場合に損害額の全額について賠償請求することが困難になる

不法行為などによって不動産が損壊された場合、損害を受けるのは所有者ですが、不動産登記が被相続人のままですと、不動産の所有権が自分にあることを証明することが困難です。

不動産の登記名義の変更

変更方法

登記名義を変更するには法務局で申請を行います。インターネット環境をお持ちの方はオンラインでの申請も可能です。

管轄となる法務局は不動産の所在地によって異なるため、法務局のホームページを参考にしてください。

参考URL:法務局

ご自身で登記名義の変更を行う際に必要となる税金は登録免許税と呼ばれ、固定資産税評価額×0.4%の金額となります。登記名義の変更に必要となる書類は法務局、市役所などで取得しなければなりません。

ご自身での手続きに不安がある方は、弁護士をはじめとした専門家に依頼することもご検討ください。

登記名義の変更に適した時期

不動産を相続する際に支払わなければならない相続税の申告書の提出は、自己のために相続の開始があったことを知った日から10ヶ月以内に行うものと決められています。相続税の申告に必要となる書類と相続登記に必要な書類は重複しているものがあり、戸籍謄本などは、両方の手続きで必要となる書類です。

登記名義の変更の際に提出した戸籍謄本などは手続き完了後に返却されますので、上述の期間内に行う相続税の申告よりも前に登記名義の変更手続きを行った方が、必要書類を用意する手間を省く意味でも費用を抑える意味では効率がよいといえます。また、不動産の登記名義変更手続きに必要な書類である住民票の除票は、保管期間が5年と短いため、遅くともその期間内には手続きを行うべきです。

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このページの監修
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引用元:東京スカイ法律事務所公式HP
(https://www.tsky.jp/)

このサイトは「東京スカイ法律事務所」の田中健太郎弁護士に監修していただいています。同氏は弁護士と行政書士、両方の資格を所持し、弁護士になる前は司法書士として活躍していたという経歴の持ち主。不動産相続に関する豊富な知識と実績を持つ弁護士です。
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