不動産の相続でお悩みの方へ

お身内の方が亡くなり、不動産を相続することは、頻繁に起こることではありません。初めてのことで、何をどうすればよいのか分からない方のために、不動産相続に関する知識やルール、事例などをまとめました。

弁護士の監修のもと詳しく解説しているページもあります。ぜひお役立てください。

こんな時どうする!?
不動産相続トラブルQ&A

不動産の相続におけるトラブルは実に様々で、ひとつとして全く同じということはありません。ここでは、家族間における不動産相続のトラブルにスポットを当てました。弁護士監修のもと、「兄弟姉妹編」「夫婦編」「親子編」に分けて様々なトラブル事例をQ&A形式でご紹介いたします。

ご自身が抱える悩みに近いものもあると思いますので、参考にしてみてください。

田中健太郎 弁護士東京スカイ法律事務所
監修:田中健太郎弁護士
(第一東京弁護士会所属)
このページは、東京スカイ法律事務所の田中健太郎弁護士に監修していただいています。
不動産相続に強く、法律相談件数10,000件以上。土日の相談にも対応しており、LINEからの予約も可能です。

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~兄弟姉妹編~

不動産の相続における兄弟姉妹間の揉め事というのは一番起こりやすく、簡単に分けられないだけあり泥沼になりやすいと言えます。

生前のご両親との親密度の違いや、法律で定められている事実とのギャップ、さらには誤解や思い込みなどによるボタンの掛け違いなど。そうしたトラブル事例を、Q&A形式で紹介していきます。

親と同居していた家の売却を兄弟から要求された

親(被相続人)の死去まで同居し、介護をしていた長男。引き続き住み続けたいのに、他の兄弟から退去・売却を迫られたとのこと。

A.親(被相続人)が死去した時点で、その家は相続人全員による遺産共有状態に。長男の要望を叶えるには、遺産分割協議にて、相続人全員の合意が必要になります。 

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遺言書がないのに、勝手に不動産の名義を兄の名前で登記された

相続するはずの親の不動産を、兄が勝手に兄の名義で登記していて取り戻せるかという、弟さんからの相談になります。

A.このケースは兄が、正式な手続きを経ず、遺産分割協議を偽造して行ったと考えられます。無効にすることができ、遺産分割協議のやり直しが可能です。

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相続時に、異母(異父)兄弟がいることが判明!相続はどうなる?

父親の離婚歴と異母兄弟の存在が、死去後に判明。とうしたらよいのか、戸惑っているというご相談になります。

A.前妻に相続権はありませんが、異母兄弟にはあります。遺産分割協議に参加する権利があり、連絡しないと後で遺産分割協議が無効となる可能性大です。

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兄弟で不動産を共有名義で相続したけれど、良くない?

亡くなった父親名義の不動産をどうするか遺産分割協議で決着がつかなかったため、3兄弟の共同名義で相続登記したというケースです。

A. 遺産分割協議で決着がつかないからといって、共同名義にするのは問題の先送りにすぎません。後々のトラブルの火種になることも…。

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生前、1人だけ財産を多くもらっていた分は取り戻せる?

3兄弟のうち、長男だけが生前の父親から、現金贈与を受けていたので、その分を遺産分割で取り戻せないかというご質問です。

A. このケースは特別受益というケースに該当します。贈与の確固たる証拠があれば、その贈与分を差し引いて分配計算をすることができます。

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親の面倒を見ていたのは自分。他の兄弟より多くもらえる?

晩年、脳梗塞を患い要介護となった父親の面倒を見ていた長男。他の兄弟は何の面倒も見ていなかったので、その分、自分の取り分が多くならないかという質問です。

A. 寄与分という制度がありますが、介護をしただけではダメです。「被相続人の財産の維持や増加」に貢献した場合に認められるものです。

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~親子編~

遺産相続での親子間の争いは、頻度として兄弟姉妹間ほどではないにせよ、こちらも起こりやすい傾向があります。それこそ価値観や考えの違いから険悪な関係となってしまい、対立した状態が続くと、相続にも大きな影響を及ぼすことになります。

親子間での遺産トラブルについて、代表的なものを見ていきましょう。

両親と絶縁状態。亡くなった時に相続できる?

結婚を反対されたことで長年絶縁状態となっていたという息子さんから、そのような場合でも、相続権はあるのでしょうかという質問です。

A. たとえ勘当されていたとしても、相続欠格や相続廃除などの手続きがされていない限り、遺産相続の権利はあります。

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赤の他人に全財産を譲ると遺言書に書いてある。取り戻したい!

亡くなった父親の遺言に、全財産を馴染みだったホステスに譲ると記載されており、納得できないという息子さんからのご相談です。

A.法定相続人には遺留分というものがあり、遺言の内容に関係なく、一定の財産は保障されています。ただし、遺留分減殺請求をしてもホステスに、所定分(遺産の半分)は渡さなければなりません。

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子供が先に亡くなっているケースでは、相続人は誰になる?

被相続人の子供が先に亡くなっている、決して珍しいことではありません。そうした場合、孫が相続人となる代襲相続というものがあります。

A. 代襲相続によって子が亡くなっている場合は孫、孫も亡くなっている場合はひ孫になります。ただし養子の場合、縁組前に生まれた孫には権利がありません。

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養子縁組した子供は何人まで相続可能?

養子縁組には、普通養子縁組と特別養子縁組があり、相続では、その立場と資格に大きな違いがあります。

A. 相続自体は何人でも可能ですが、相続税の控除の対象になるのが、普通養子縁組の場合2人まで(実子もいる場合は1人まで)。一方、特別養子縁組の場合は実子と同じく、制限はありません。

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連れ子は義理の親が亡くなった時に相続できる?

お互いに連れ子があり、結婚後実子が生まれたというご夫婦。3人のお子さんに平等に相続させることはできるのかというご質問です。

A. 養子縁組をしない限り、ご主人が死去した場合は奥様の連れ子、奥様が死去した場合、ご主人の連れ子に相続権はありません。

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胎児は相続人になれる?

懐妊中に不幸にもご主人を亡くされてしまった。その場合、相続人はどうなるのかというご質問になります。

A.胎児も法定相続人と認められるため、ご主人の親兄弟は、相続人にはなれません。ただし、死産の場合は話が変わってきます。

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自分でやると大変!
不動産相続の手続きの流れ

身内の方が亡くなるというのは精神的なショックが大きいものですが、感傷に浸っている暇はありません。

否応なく、想像しているよりもはるかに膨大、かつ煩雑な手続きを行わなくてはなりません。ここでは時系列に沿って、やらなければならないことを確認してみましょう。

相続の開始

銀行口座は、名義人死去の時点で凍結され預金や出金不可能に。口座の解約には相続人全員の自筆署名や実印の押印などの手続きが必要になります。また自動引き落としされている公共料金、税金、ローン会社などへ直ちに連絡し、健康保険や年金に関する手続きなども必要です。

遺言書があるかどうか確認

遺言書の有無および内容を確認します。公正証書遺言ならば公証人役場にて確認できますが、自筆遺言などの場合は、遺言書がどこにあるか、しっかりと探す必要があります。加えて、開封には、家庭裁判所の検認が必要、遺言書を勝手に開封することは罰金の対象になります。

相続人の調査・確定

誰が法定相続人になるのか、他に法定相続人はいないかを確定するため、戸籍の調査などが必要になってきます。弁護士や司法書士などの助けを借りるとよいでしょう。未成年者や重度の認知症患者などがいる場合は、家庭裁判所にて特別代理人や後見人の選任手続きが必要です。

相続財産・債務の調査

被相続人名義だった不動産物件をはじめ、現金や有価証券などがどれくらいあるのか、逆に債務などの負の遺産があるのかを調査します。相続放棄や限定承認する場合は、相続開始から3ヶ月以内に申請が必要ですが、調査が困難な場合は家庭裁判所に伸長を申し出ることも可能です。

所得税、消費税の申告(準確定申告)・納税

被相続人が生前に得ていた所得に対する所得税ならびに消費税の納税作業を、相続開始から4ヶ月以内に行う必要があります。なお、その場合にも相続人全員の署名と認印が必要となりますので、時間に余裕をもって予め準備しておくことが望ましいと言えます。

遺産分割協議書の作成

遺言書の内容や、上記の相続財産・債務の調査内容、各相続人の法定割合などを考慮した上で、遺産分割協議を行います。相続税や所得税、消費税なども考慮した上での遺産分割案を検討し、相続人全員が合意したら、その内容を書面とし、全員で署名・押印を行います。

不動産の名義変更(相続登記)の必要書類

遺産分割協議の内容に応じて不動産の相続登記をする場合は、所定の登記申請書に加え、各種の必要書類も添付する必要があります。遺産分割協議書も必要となり、相続人全員が実印で押印して相続人全員分の印鑑証明書も添付します。不動産を相続する相続人の住民票や固定資産評価証明書なども必要になります。

いずれにせよ、かなり煩雑で手間暇がかかることになりますので、弁護士や司法書士のサポートを受けることをおすすめします。

相続税申告・納税

相続した不動産や財産の範囲、評価額などの資料を揃え、税務調査を受け、相続税の申告、納税を行います。基本的には被相続人の死去から10ヶ月以内に行います。なお、相続税を数年に分けて納税する「延納」や、不動産等の物で納税する「物納」の申請も行うことができます。

不動産を相続する際に知っておきたい情報

親や配偶者の死去によって不動産を相続する場合、相続税が加算されてしまうのはさけたいものです。また、不動産を相続する際にさまざまな事実が分かり相続問題を決着させるのに時間がかかってしまったということもよくある話です。

そのため、不動産を相続する前に知っておきたい情報をまとめました。

まずは、司法書士に相談をして相続手続を依頼しましょう。相続関係を明らかにして、相続人を確定させておかなければ土地の相続もできません。

被相続人の配偶者や子が相続の対象となりますが、被相続人に離婚した経験がある場合、籍が抜かれていても、元配偶者との間に生まれた子も相続の対象となりますので、話し合いが必要となります。これは、被相続人の出生から死亡後の戸籍謄本を取り寄せることで全てを把握できます。

また、被相続人がどれだけ資産としての土地を持っているかも確認します。これは、資産評価証明書を取り寄せると、被相続人が所有する土地を把握することができます。また固定資産税を計上するために必要な評価額が記載されています。相続税もこの評価額に準じて計上されますので、遺産分割を行う際には注意が必要です。

不動産に関しては、評価額を知るだけではなく、全部事項証明書(登記簿謄本)を取り寄せて土地が登記されているか否かも確認します。それに合わせて土地の所有者名義も確認して行きましょう。

ここまでの事を調べるだけでも時間がかかる要件となってしまいますが、相続税の申告は被相続人の死亡から9カ月以内となっています。スピードが大切ですので、腕が立つ司法書士などに相談することが一番です。

【1】相続対策で不動産の相続税評価が下がる

土地が多い程、相続した際にかかる相続税の課税額が大きくなってしまいます。土地そのものは節税対策につながり、現金で相続することと比べるとお得になると言われています。けれど、不動産の評価が高ければその分だけ相続税の評価額も上がります。

ただし、土地を更地のまま保有しておくと、自由性が高いと見なされ相続税の評価額が高くなってしまうので建物とを建てることが一番の近道となります。相続税の節税を考える場合は、自由度が制約される賃貸に出すことを検討することが一番です。更地を賃貸に出すのではなく、アパートやマンションを建築して賃貸に出すことが得策です。賃貸目的の建物を建てることで評価額を大きく下げることができます。

アパートやマンションを建てるために、生前に借り入れを起こすことで、債務を遺産の総額から差し引くこともできますので、遺産総額の評価が下がります。それによって、全ての相続税の額面を下げることもできるのでおすすめなのです。

【2】不動産で発生する税金の種類

不動産の相続でどのような税金が発生するのでしょうか。相続税を支払う際に「相続税以外の税金」を支払う必要があることを覚えておきましょう。

相続をする際に不動産登記を行います。これは相続が原因となる所有名義を変更する(所有権移転登記)場合に必要になります。登記の際に土地の評価額に対し1000分の4に相当する登録免許税(1000円未満切り上げ)を支払います。

これは、相続する土地や家屋の数だけ発生しますので、相続人の何割かはトータルで高額な登録免許税を支払ったという方も出てくるようです。

また、土地の所有権移転登記が完了後、固定資産税の支払いに関しても土地の所有者に加算されますので、固定資産税も支払う必要が生じます。これは、土地や建物の評価額に対して算定されるので、中古住宅などは評価額も下がりますし、新築でも年数を経過するごとに評価額が下がります。相続した土地の数が多い場合は支払わなければいけない固定資産税も大きくなるので注意が必要です。

【3】不動産相続をしたら管理責任者になる

不動産相続をしたら、それだけ自分自身の資産が増えますが、それと同時に土地を管理する責任者となることも覚えておきましょう。

土地の管理責任者とは、税務上の管理者ともいうことができます。固定資産税を支払うことやその土地・建物に関する管理の一切を請け負うことにもなります。一例を挙げると、除草作業をする、庭木の手入れを行うことの他、建物の修繕を行うといったことも含まれます。

土地の相続後、税金を支払うこと・管理を行うことで大きな経費がかかります。このような責任を負うことも含めての「相続」であることを肝に銘じておきましょう。

もし、土地や建物のメンテナンスを怠ったり、納税の義務を果たさなかったりした場合は、差し押さえや行政代執行などの強制処分を受けることも考えられます。これでは故人の遺志を受け継いだ土地も台無しです。その後の税金や管理費のことで悩んだ場合は、相続後に土地を売却することも視野に入れておくとよいでしょう。

【4】不動産の分割方法

相続物件の中に不動産が含まれている時、相続人同士で誰が相続をするか話し合いをする必要があります。これを「遺産分割協議」(いさんぶんかつきょうぎ)といい、この協議を元に「遺産分割協議書」が作成されます。この遺産分割協議書が、不動産も含めあらゆる相続の根拠となります。この書類がなければ、相続による不動産の所有権移転ができません。遺産分割協議に関しては、相続人同士で行います。遺産分割協議書を作成する場合は、法的要素を含めた書類作成が求められますので、行政書士や司法書士に依頼することをおすすめします。

相続人は複数いるのに、土地や不動産は一つしかないという場合や、相続人の一部が「土地の相続以外を望む」とした時はどのようにしたら良いのでしょうか。一般的に相続は相続人が法定相続分は必ず受け取る仕組みとなります。放棄をすることも可能ですが、何らかの形で相続分を受け取りたいという場合の仕組みを説明いたします。主に不動産に関する内容をご紹介いたしますので、参考になさってください。

・現物分割

土地が一つしかない場合、広さによっては分筆を行い分割する相続方法です。例えば土地は相続人A、建物は相続人Bというような形を取る場合が一般的です。また、土地を分筆し新たに地番を設けた上、土地Aを相続人A、土地Bを相続人Bというようにわける方法も一案です。

その他、土地は相続人A、預貯金は相続人Bという分割方法もあります。

場合によっては不平等が生じる場合がありますので、安易に分配することはせず、不動産の全部事項証明書などを取り寄せて話合いを進めましょう。

・代償分割

相続できる土地が一つしかない場合、相続人Aが土地・建物を全て相続し、相続人Bがその土地・建物の評価額の法定相続分にあたる額を現金などで受け取る方法です。

これは一番平等な相続方法と言えますが、相続人が多い程、土地・建物を相続した相続人Aの支出が大きくなりますので、その分不平等感が生まれる可能性も否めません。

相続人Aの経済的事情などもありますので、遺産分割協議の時点で納得のいく分割方法を話し合う必要があります。

・換価分割

相続人Aが不動産を相続した体を持ち、売却した不動産の売却額を法定相続人同士で分割するという方法です。

現時点で相続対象の土地の活用法がないという場合や、その後の管理ができないという場合に最適な方法です。ただし、土地そのものに資産価値がない場合や、売却のタイミングによっては評価額が低くなり、現金で分割をした際に手元に残るのがほんのわずか、という場合も考えられます。

生前に整理できる土地はまとめて売却をしておくというような「終活」で残せる土地を取捨選択することも一案です。

・共有

共有分割は、1つの不動産に対して平等に所有権を持つことを差します。相続による所有権移転の際には「相続人A(持分2分の1)、相続人B(持分2分の1)」というような表記がなされます。

平等な分配方法として見直されますが、相続人が死亡した時にはその土地の持ち分に対する新たな共同所有者が増えることになりますし、その土地に家を建てる等という場合、所有権の兼ね合いで新たなトラブルが起こる場合がありますので、家族環境によっては避けた方が良い場合もあります。

不動産相続にもある!負の遺産は相続放棄が必要

不動産は資産価値が高いため、相続時には親や先祖代々の土地を受け継いできました。ところが最近では不動産自体の価値が下がってきており、負動産とも言われるようになるほど所有しているだけで厄介な存在となってきているのが現状です。

たとえば親が住んでいた土地や家を相続した場合にはさまざまな費用がかかってきます。まずは親から相続する際には相続税という税金が課せられます。相続税は一定の資産を相続する人に対して課せられる税金であり、その対象となった場合かなりの額の税金を支払う必要が出てくるのです。

たとえその不動産に誰も住まない場合でも、管理費や固定資産税といった税金や諸費用が多くかかるようになってしまうのです。不動産を相続したことで、家計を圧迫するようになるのなら、最初から相続をしないという選択肢もあります。それが相続放棄になります。

ただし相続放棄を選択した場合は、預貯金など他の資産に関しても相続を放棄する必要がありますのでその点注意が必要です。

相続すると大変!?負の遺産によるリスク

負の遺産として懸念されているのが親から引き継ぐ土地や建物です。これらの建物や土地を誰かに貸すことも売ることもできないと、負債だけが増えて行ってしまいます。

まずは建物と土地を相続するために場合によっては税金がかかりますし、建物の管理コストもかかってきます。これは建物は誰かが住まなくても劣化が進みますし、手入れをきちんとしておかないと犯罪に使われる危険性があるからです。さらには火災保険などの保険料や、固定資産税の支払いも必要になります。

負の遺産に該当する3つのケース

親や先祖から引き継ぐ全ての土地や建物が負の遺産となるとは限りません。もしも負の遺産となることがある程度予測できたら、相続しないという選択肢も考えなくてはいけません。不動産が負の遺産となり得るケースが主に3つあります。

まずは入居者が入らない空き家です。既に別の場所で家を所有しており、たとえ相続をしても自分や兄弟など誰も住む予定がない家であれば、誰かに家を貸すという選択肢もあるでしょう。

しかしアパートなどの賃貸住宅も過剰虚休気味ですので、簡単に入居者が見つかる可能性は低いのです。抵当権のある不動産も不動産になり得るケースのひとつになります。それはたとえ土地を引き継いだとしても自由に土地や建物を売買できなくなってしまうからです。売却できない土地を引き継いだ場合も負の遺産になりがちです。

周囲の条件や、人口減少などを理由に土地を売りたくても売れないケースが増えてきています。そのような場合でも土地を所有していることで維持管理に関する費用を負担しなくてはいけないのです。

1.入居者が入らない空き家

親が住んでいた土地と建物を引き継いだものの自分や兄弟は既に家を所有しており誰も住む予定がない、親が経営していた賃貸アパートやマンションを引き継いだ場合、空き家が長く続くことも十分あり得ます。それらの家は誰かに貸して賃貸収入が得られれば資産となるのですが、空き家が続いてしまった場合は維持管理費の負担が重くのしかかってしまうのです。

そうなれば資産ではなく負の遺産になってしまいます。まず相続時にも重い負担がかかります。それなりの資産額として認められた土地や建物を相続するときは、相続税を支払う必要があるからです。

さらにはたとえその建物に誰も住まなくても掃除や草むしりといった管理を行う必要がありますし、万が一火事などの被害にあったときのための火災保険にも入っておく必要があるでしょう。

さらには毎年支払う固定資産税も大きな負担になります。これらの維持管理費や保険料、税金の支払いが重い負担となり、家計を圧迫してしまうケースも少なくありません。

2.抵当権がある不動産

抵当権のつけられている不動産を相続する場合も、負の遺産になり得ます。抵当権とは債務者が債務の担保に提供した不動産のことを言います。

たとえば住宅を購入するときは銀行などからお金を借りてローンを組んで返済をしていきます。このローンの支払いが残っているうちは建物の抵当権はお金を貸している債権者にあるのです。そのためたとえ土地や建物の所有者であっても、自由に土地や建物を売却できなくなるのです。

また抵当権があるということは負債も残っているということになります。そのような土地や建物を相続するときは負債も一緒に引き継ぐことになるのです。つまり相続をした人が残っている負債も返済していかなくてはいけなくなります。

相続税や維持管理費に加えて負債の負担も加わりますので、経済的な負担はかなり大きくなってしまうでしょう。他の遺産と併せても債務となる金額のほうが多くなるような時は、不動産を相続するのではなく相続放棄をしたほうが負担を少なくできるでしょう。

3.売却できない土地

日本人は昔から土地に対する執着心が強く、先祖代々引き継いだ土地を売りたくないと考える方も少なくありません。しかしながら人口減少などさまざまな理由で土地を売りたくても売れないケースが出てきています。土地は所有しているだけでも固定資産税を支払う必要が出てきてしまい、それだけでもかなりの負担になります。

売却できない土地を相続してしまった場合でも相続税や管理費、固定資産剤の支払いが必要になり、その負担が年々重く感じるようになってきてしまうのです。初めから使わない土地だとわかっていれば相続前に売却するのも手段のひとつです。売却時には不動産会社選びにも注意が必要です。

不動産会社も得意不得意や実績が異なりますので、いくつかの不動産屋さんに依頼したほうが早く売却先が見つかることもあります。それでも売却先が見つからない時は、相続放棄も選択肢のひとつとして考えておきましょう。相続放棄することで、土地を相続する際の税金や固定資産剤、管理費を支払う必要もなくなります。

相続債務があるかどうかがわかる不動産の調査方法

親が亡くなると基本的にはその子供や配偶者が資産を引き継ぐことになります。自ら相続放棄をしない限りは、資産を相続することになるのですが心配なのが借金や負債まで相続の対象となってしまう点です。

それらを知らずに相続をしてしまうと、自分の負担が大きく増えてしまうことになるのです。相続時の負担増を避けるために設けられている制度が相続放棄になります。負債の有無を事前に調べるのは簡単ではありませんが、方法はいくつかあります。まずは郵便物チェックです。

家族に内緒で借金しているケースも多いのですが、本人宛に書面が送られてきているはずですので、その内容をチェックします。もしくは銀行口座の入出金明細をチェックすることで、借金の有無を知ることもできます。他にも信用情報の開示を求めることで、借金があるかどうかを調べられます。クレジットカードを作成するときやローンの審査などでは信用情報を調べた上で、許可が出ます。この情報を本人や相続人が請求すれば開示してもらえるのです。

連帯保証の不動産相続はあるかどうか?

連帯保証人になることで、借金やローンの返済義務が生じます。債務者本人が返済不能となったときだけでなく、返済能力があるのに返済を拒否した場合でも連帯保証人が借金や負債を代わりに支払わなくてはいけなくなるのです。もしも連帯保証人に親がなっていたとしたら、その立場も相続の対象となってしまうので注意が必要です。

連帯保証人になっているのにそれを知らずに相続してしまうと、負担だけが大きくのしかかることになります。実は連帯保証人になっているかどうかを調べるのは難しいのが現状です。

連帯保証人になっているかどうかを調べる方法としては周囲によく話を聞いてみることです。親戚や親しい知人に自分で商売をしている人がいた場合、連帯保証人を頼まれている可能性が高いと考えられます。もしも周囲に話しを聞いてみて、連帯保証人になっていることが分かったときは相続放棄を選択するのも手段のひとつになります。

相続する資産が負債を上回るようなときは、親から相続する不動産やその他の資産も全て放棄することによって、負債を多く抱える必要がなくなるのです。

相続破棄の必要書類

不動産の相続破棄に必要な書類があります。相続放棄申述書・被相続人の戸籍附票・相続放棄する人の戸籍謄本・収入印紙800円・80円切手5枚程度となります。戸籍謄本が同じ場合は1通で問題ありませんが、被相続者と相続を放棄する人が夫婦であれば、戸籍謄本は同じで大丈夫です。しかし親子の場合気を付けなければいけません。未婚の子であれば戸籍謄本が親と同じなので問題はありませんが気を付けなければいけないのは結婚した場合です。結婚すると新たに戸籍が作成されるので、それぞれ別の戸籍謄本が必要となります。

1.相続放棄申述書

相続放棄申述書は、被相続者が亡くなると相続問題が発生します。相続は何もプラスになることばかりではありません。マイナスの遺産である債務、つまり親の借金も相続に含まれてしまいます。プラスになるものなら相続したいと思っても、債務はあると多くの人が相続をしたくないと考えてしまいます。その相続放棄に関するものが相続放棄申述書です。相続放棄申述書とは、相続放棄の申述、つまり相続放棄をしたいと述べる手続きをするため、家庭裁判所へ提出する書面の事を言います。この相続放棄申述書が提出されると相続放棄申述受理通知書というものが家庭裁判所から申述者に届くようになっています。この書面が届くという事は、相続放棄の手続きが終了したことになります。

2.相続人の戸籍謄本

戸籍謄本では、まず配偶者の有無を確認します。被相続者が亡くなった際、配偶者はいればその配偶者は相続人になります。2つ目は子の有無に関してです。被相続者が生まれた時まで遡る全ての戸籍謄本を取得することによって明らかになります。出生によって戸籍に記載された後、結婚や転籍など様々な理由で新たに戸籍を作っていきます。そのすべての戸籍謄本を取ることで、例えば前妻との間に子供がいる、結婚していない相手との子がいる場合、それは法定相続人となります。子がいない場合は直系尊属が存命であるか明らかにします。近しい親せきから戸籍謄本によって直系尊属が明らかになります。被相続人の直系尊属が存命であることが明らかになれば、法定相続人は確定となります。

3.被相続人の戸籍附票

戸籍附票とは、日本において住民基本台帳法に基づき、市町村と特別区で作成される該当市区町村に本籍があるものの住所履歴に関する記録が戸籍附票です。住民票が引っ越しなど何らかの理由で住所の異動や世帯構成、戸籍が出生や死亡に結婚など身分事項を記録したものを戸籍附票です。相続人が住んでいた最後の本籍地の役所で戸籍附票を取得することが出来ます。ここで出生から死亡までのすべての戸籍が存在すれば良いのですが、ない場合は転籍先の役所で戸籍を請求することになり、そこで出生まで追っていく必要があります。遠方の場合は郵送で取得できる為、問い合わせをするようにしましょう。被相続人の登記簿上の住所と死亡時の住所が一致しない場合、住所録の除票や附票も取得して住所のつながりがわかるよう、証明書を取得しなければいけません。

4.収入印紙

収入印紙とは、国庫の収入となるある種の租税や手数料、その他の収納金の徴収の為政府が発行する証票です。相続放棄を行う際に必ずかかる費用で、800円の収入印紙を用意しなければいけません。収入印紙は相続放棄申述書と書かれた下に収入印紙をはりつける場所があります。そこに800円分の収入印紙を張り付けなければいけません。そもそも収入印紙は一体何のために必要なのでしょうか。収入印紙とは税金を表しており、領収書に収入印紙を貼るという事は納税をしているという事が言えます。領収書に貼った収入印紙の場合、割り印をおす必要があり、この割り印を押さなければ正式に印紙税を納付したことにならないのできちんとハンコが押されているか注意をしましょう。

5.相続人の認印

相続が発生した場合、相続人の一人から用意してほしいものを言われるかと思います。その中でも印鑑証明書というものが必要になります。印鑑証明書とは、主にマンションや不動産、自動車の売買に公正証書を作成するときに使われるものです。登録印鑑が地方公共団体に登録されているものと証明するものが印鑑証明書になります。認印とは、実印として印鑑登録をしていないハンコになります。宅配や書留の受け取、会社で書類に確認や商人の証として使われます。他にも重要な契約書や婚姻届けに出生届、市区町村で提出する書類に使われる大切な印鑑の事を認印と言います。認印はシャチハタではないので正式な書類には使えないことが多いので注意をしましょう。

6.返信用の郵便切手

不増産などの遺産を放棄する際に、相続放棄申述書というものを書きます。申述書を書くと、必要な書類をもて管轄の家庭裁判所へ提出をします。提出された書類は家庭裁判所で確認し、不備がないか確認をします。不備があると相続放棄に関しての手続きがきちんと行われないので、提出をする前に書類に不備がないか確認をします。郵便切手を申述人1人に対して460円必要です。82円切手5枚と10円切手が5枚です。この切手は収入印紙とは別に、郵便局でこの金額と枚数の切手を購入します。ここで注意をするのが、購入した郵便切手は申述書に貼らないようにしてください。すべて確認が終わり、不備がなければ相続放棄申述受理通知書というものが届きます。

相続放棄と代襲相続とは

代襲相続とは、被相続者の相続人がすべていない場合、被相続者から見て孫やひ孫、甥や姪が相続財産を受け継ぐことになります。本来相続は、配偶者や子供に兄弟姉妹と法律で決められた法定相続人が存在します。しかし、この法定相続人がすでに亡くなっている場合は、孫やひ孫、甥や姪が引き継ぐことになります。これを代襲相続と言います。先順位相続人が相続放棄すると、相続権は次の順位へ移ります。第二順位の相続人は被相続人の直系尊属とされていますが、被相続者の父母だけではなく祖父母が健在だった場合は、被相続者と親が相続人になります。被相続者が相続放棄をした場合、相続権は大事に優位に移行するので、必ずしも代襲相続するわけではありません。しかし、子供が親の相続を放棄している場合、その財産を被相続人の孫にあたる代襲相続人に相続することが出来ます。被相続人の子供の子供であることが代襲相続の条件になります。また相続を放棄したものであっても代襲相続人になることはできます。

相続放棄の撤回は原則として認められない

裁判所へ相続放棄の申し立てをしてそれが受理された場合はたとえ熟慮期間内であったとしても原則的に撤回又は取り消しはできません。相続放棄の申述が受理された後の撤回や取り消しを認めてしまうと、他の相続人や利害関係者の地位を不安定にするからです。相続放棄の相続放棄の申し立ては家庭裁判所で行われます。そのため、撤回や取り消しの申し立ても家庭裁判所に対して行わなければいけません。申立人は相続放棄の申述をした人もしくはその法定代理人、申立先は相続開始置(被相続人の最後の住所地)の家庭裁判所です。申立期間というものもあり、追認できる機関から6か月以内、相続放棄から10年以内になります。追認できる時とは、強迫により相続放棄をした場合は、強迫状態が終了したとき、詐欺の場合は本人が詐欺によることを知ったときです。

例外的に認められる場合はある?

相続放棄の申述が家庭裁判所で受理された後は原則的に撤回または取り下げをすることが出来ません。しかし、例外もあります。相続放棄の撤回や取り消しが認められる条件は、詐欺又は強迫による場合・未成年者が法定代理人の同意を得ないで相続放棄した場合・成年後見人本人が相続放棄・後見監督人がいるにもかかわらず、被後見人もしくは後見人が後見監督人の同意を得ないで相続放棄をした場合・被保佐人が保佐人の同意を得ないで相続放棄をしてしまった。これらの事を行った場合のみ、相続の撤回や取り消しが認められます。また、相続放棄の申述が受理される前であれば、相続放棄の申述を取り下げることは可能です。この場合は、正式に裁判所で相続放棄の申述が受理されているわけではないので、取り下げてもほかの相続人や利害関係者に影響がないため出来ます。

不動産相続における遺言書作成のススメ

遺産相続を原因とした親子や兄弟間で骨肉の争い。その原因の筆頭となるのは、不動産に他なりません。現金など、分配しやすいものであれば問題ありませんが、不動産というものは、平等に分けるということがなかなかできません。

そこで遺言書を予め作成し、不動産の扱いをどうしておくか指定しておくことで、ご自身の死後、そうした争いの芽を予め摘んでおくことが重要なのです。

事例から不動産相続にまつわる
注意点を解明!

前述の通り、不動産相続は公平な分割というものがなかなか難しく、加えて相続税などの問題も加わって、本当ならば所有して居住したり活用したいのに、泣く泣く手放さなければならなくなったということも多いのが現実です。

そうした事例を予め知っておくことで、ご自身の相続における対策や問題解決のヒントとしていただきたく思います。

持ち家(戸建て)の相続でやるべきこと

被相続人の世話をしていた相続人とその他の相続人による争いが増えています。その要因や心構えを知っておきましょう。

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マンション相続時の落とし穴

相続人間でのトラブルに加えて管理費や修繕積立費など必要経費の問題、居住か賃貸に貸し出すのかの決断も必要です。

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売った方が得?空き家を相続

解体費用の負担と固定資産税の違いというのがポイント。こうした問題をしっかり把握した上で、考えることが大事です。

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収益物件を相続する前の賃料の行方

収益物件を相続する際、その賃料収入をどのように分配するのか…。これには最高裁判決が出ていますので、ぜひ参考に。

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未登記不動産の相続

長年住み続けてきた実家が、実は登記されていなかった…。慌てる必要はなく必要な手続きをきちんと行えば大丈夫です。

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売却が必要になるケースも…。東京の不動産相続

東京の場合、高額な地価の影響で相続税の「基礎控除額」を超えてしまうケースも…。予めしっかりと把握しておくことが大切です。

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土地の相続で気をつけること

固定資産税が割高になること、売却するには登記の手続きが必要であるなどの注意点があります。

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農地の相続で必要なこと

相続には農地法による許可は不要ですが、農地委員会への届け出が必要。また、売却には許可が必要です。

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借地権の相続時の注意点

相続には地主の承諾は不要。ただし定期借地権の場合には注意が必要。また譲渡・売却には、地主の許可が必要です。

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不動産の相続、弁護士に依頼すべき理由

不動産を相続する際、必ずしも弁護士に頼まなくてはいけない…ということはありません。しかし、現金のように分割することが難しい不動産の相続は、何かとトラブルが発生しがちなのも事実。弁護士にしかできないこともあります。トラブルが発生しそうなら、まずは弁護士に相談してみましょう。