遺留分侵害額請求権で不動産をもらうことができる?

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令和4年7月から改正民法が施行され、遺留分はお金の請求権となりました。以前の民法では、遺留分相当の不動産の共有持ち分を取得していましたが、現在の民法では遺留分はお金に換算され、直接的には不動産を取得することはできません。

ここでは、遺留分請求権と不動産の関係について詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

確実ではないが不動産を獲得は可能

改正民法では遺留分侵害請求権では、不動産を取得することはできません。遺留分侵害請求が金銭債権化されているためです。遺留分侵害請求時に話し合いによって合意できれば、不動産の相続が認められることもあります。

この不動産の取得は、遺留分侵害請求権で受け取るお金の代わりになるもの。このように遺留分侵害請求では、確実ではないですが不動産の獲得が可能です。

不動産に対して遺留分侵害請求権を行使する前に知りたいこと

不動産取得のために遺留分侵害請求をする場合、いくつかの注意点があります。ここでは、遺留分侵害請求の方法、遺留分侵害請求の時効、遺留分の計算における不動産価格について説明しています。

遺留分侵害額請求権を行使する方法

遺留分侵害請求権の行使方法は、遺留分侵害請求の行使の意思を相手に伝えることと特定記録付き郵便を送ることです。ここでは、この2つの要件について詳しく説明しています。

方法1.遺留分侵害請求の意思を相手に伝える

不動産の相続で話し合いをしたが、なかなか不動産の相続についての回答がまとまらないときは、相手に意思表示をすることで遺留分侵害請求権を行使できます。

意思表示の方法は問われないのですが、法的権利の確定になるため、遺留分侵害請求の事実が証拠として残るように内容証明郵便で行うこととよいでしょう。また、配達証明を付けておくことで郵便局が相手に送った内容を証明してくれます。

配達証明付き内容証明郵便で遺留分侵害請求の意思表示をすることで、裁判時の証拠になります。このように、遺留分侵害請求の意思表示は、配達証明を付けた内容証明郵便で行うことがおすすめです。

方法2.特定記録付き郵便で相手宅ポストへ投函する

遺留分侵害請求の内容証明と同時に特定記録付郵便を相手のポストに投稿が確実です。この特定記録付き郵便は、郵便局員が相手のポストに投函した日付を証明してくれるものです。遺留分侵害請求の意思表示は、相手が了知可能な状態に置かれることで足り、郵便ポストに届いた時点で要件をみたします。遺留分侵害請求の法的要件をみたすためにも、特定記録付き郵便を活用しましょう。

遺留分侵害額請求の時効

遺留分侵害請求には、時効消滅が関係しています。遺留分侵害請求の時効について考えてみましょう。民法では、相続関係に基づく権利は、早期に確定すべきとされています。

遺留分侵害請求は、贈与や遺贈があったことを知ったときから1年以内に相手に意思表示が必要です。また、遺留分が発生した場合は、金銭債権に該当し、発生から5年間行使しなければ時効消滅してしまいます。

この権利の行使とは、相手から弁済を受領することや裁判手続きを行うことを指します。さらに、遺留分の侵害の事実を知らなくても相続開始から10年経てば権利は消滅しまう点を知っておきましょう。

遺留分の計算における不動産の価格

遺留分侵害請求は、基本的に金銭債権として確定させるため、不動産の価格評価が必要です。この不動産の価格評価にもいくつかの評価が存在しています。

土地の評価額には、固定資産税評価額、路線価、地価公示価格・地価調査標準価格、実勢価格があります。市場で土地を売買するときの価格である実勢価格が最高で、公示価格の7割程度の設定の固定資産税評価額が最低に設定されています。

どの評価法を用いて、土地を評価するかでも、遺留分侵害請求の対象不動産の価格は大きく変わります。遺留分侵害請求をする場合は、実勢価格による評価をまずは行いましょう。

また、土地に建物が建っていることや借地権などが付いていれば、不動産の評価が難しくなります。遺留分侵害請求には時効もあるため、相続人間でいつまでも不動産の価格について協議できません。

このような場合には、不動産鑑定士に不動産価格の評価を依頼するとよいでしょう。

遺留分侵害額請求で悩んでいたら弁護士の力を借りてみよう

遺留分侵害請求は、親族間の協議で解決することも可能です。親族間の感情のもつれが生じ、なかなか手続きが進まないときは、第三者の専門家に間に入ってもらうとよいでしょう。もし、親族間の話し合いでまとまらないならば、遺留分侵害調停を申し立てます。

経験豊かな相続専門とする弁護士ならば、親族間の感情のもつれをできるだけ抑え、遺留分侵害請求を妥当なかたちで解決してくれます。ここで、相続専門の弁護士に依頼した場合の利点について考えてみましょう。

法律的観点からアドバイスをもらえる

不動産に関する遺留分侵害請求権について、弁護士に相談すると、法律の視点から権利の行使に必要なことを教えています。また、話し合いで解決できない場合の侵害調停の手続きの支援してくれる弁護士もいます。弁護士の法律の観点からのアドバイスは、最低限の法律を守り、遺留分請求者に不利にならないように遺留分侵害請求の行使を実現してくれるでしょう。

相続に関する手続き全般の代行が可能

親族間の感情のもつれを生まないために、遺留分侵害請求の手続き全般を弁護士に依頼することも可能です。

例えば、不動産の評価は不動産鑑定士が行いますが、弁護士は不動産鑑定士とも提携している場合が多く、弁護士の紹介で不動産鑑定士に依頼も可能です。弁護士は、法律をおさえたうえで、依頼者の利益になるように行動します。依頼者に適宜報告し、必要な判断があれば依頼者の意思を無視した言動はしません。

まとめ

遺留分侵害請求は、親族間の感情問題に深く関わります。特に不動産が関わると、安易に分割できないため、協議がこじれることもあるでしょう。

遺留分侵害請求に関して、自分だけで解決を目指すのではなく、専門家の力を借りるのもひとつの手です。弁護士の遺留分侵害請求での対応は、相手との直接の衝突を避けつつ、自分の正当な権利を主張します。また、遺留分請求の対象となる不動産の評価も、不動産鑑定士を紹介し、適切な価格を導いてくれるでしょう。

遺留分侵害請求の行使で、親族間の協議が上手くまとまらない場合には、弁護士に相談することをおすすめします。一人で、身内だけで取り組むのではなく、第三者の力を借りてみてみましょう。

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このページの監修
東京スカイ法律事務所

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引用元:東京スカイ法律事務所公式HP
(https://www.tsky.jp/)

このサイトは「東京スカイ法律事務所」の田中健太郎弁護士に監修していただいています。同氏は弁護士と行政書士、両方の資格を所持し、弁護士になる前は司法書士として活躍していたという経歴の持ち主。不動産相続に関する豊富な知識と実績を持つ弁護士です。
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