相続した土地を分筆登記する手順

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このページでは、相続した土地を分筆登記したい場合どのような手順で進めるのかを解説。注意点や費用についてもまとめています。分筆登記を検討する際の参考にしてください。

相続した土地を分筆登記する手順

相続を伴う分筆登記の場合、ただ土地を分割するだけの分筆登記とは違い、各手順で意識すべきポイントがあります。

まず、相続した土地についての分筆登記手順を把握しましょう。

1.境界確定測量

土地の分け方を話し合う「遺産分割協議」の前段階として、土地に関する正確な情報を取得する必要があります。遺産分割協議書に添付する「境界画定測量図面」は、境界確定測量を行って作成するものです。

遺産分割協議書には、実際どのような分筆を行うのか確定させるための測量図面を添付して提出します。これが、相続人個人で土地を測ったものや、測量はしているものの境界確定をせずに作成されたものであった場合、分筆登記できないことも。

境界確定測量には数ヶ月の期間を要するのが一般的であるため、相続が確定した時点で速やかに準備を始めるようにしましょう。

2.遺産分割協議

親から相続した土地や遺産を兄弟姉妹で分け合う場合、遺産分割協議を行い、各々が何をどの程度の割合で相続するのか決定します。

分筆登記をする大前提として、相続人全員の同意は必須。同時に、遺産分割協議を完了させ土地の配分を決定しておく必要があります。

相続人の中には、分筆登記でなく共有名義として土地を相続したいと考える人もいるでしょう。異なる相続人同士で一度でも分筆登記を行ってしまうと、その後改めて土地をまとめようとしても簡単には進められない可能性も。遺産分割協議では、わだかまりを残さないよう適切に話し合いを済ませてください。

遺産分割協議で「分筆後の土地の所有権」に言及する

遺産分割協議において、分筆後の土地は相続人の各自が所有者として取得すると明記しておけば、分筆登記後の手続きもスムーズに進められます。

先に共有名義で相続する際は要注意!

相続した土地について、分割する割合や分筆登記に関する考えがまとまらず、ひとまず相続人全員の共有名義で相続登記を行おうとする人もいるでしょう。しかし、ここで知っておくべきこととして「共有名義で相続した土地を分筆登記すると、分筆された複数の土地がそれぞれ共有名義による所有になる」ことが挙げられます。

先に遺産の配分などを決めた上で土地の分筆登記をすれば、権利登記の際にそれぞれの相続人が自分の土地の名義人になれます。しかし先に土地を共有名義にしてしまうと、分割した土地の1つ1つが共有名義による所有に。改めて各相続人の名義に変更しようと思った際、手続きにかかる手間やコストが大幅に増大します。

相続した土地の分筆登記を検討する場合、遺産分割協議を早めかつ適正に済ませておくことが後々のメリットとなるでしょう。

3.分筆登記の実行

遺産分割協議書において定められた内容に従って、相続した土地の分筆登記を行います。

土地の分筆登記を行うには土地家屋調査士の資格を持った専門家へ依頼しなければなりません。土地や住宅にまつわるルールや条例は自治体によっても異なるため、土地が所在するエリアに精通した土地家屋調査士へ依頼することがポイントです。

地域や自治体の条例やルールを把握せずに分筆を進めてしまった場合、予定していた用途で土地を使えなかったり、土地の価値が下がってしまったりするリスクがあります。

分筆登記手順の最初に行う境界確定測量も土地家屋調査士に依頼するものなので、分筆登記を検討すると同時に土地家屋調査士探しも始めるのが無難でしょう。

4.権利登記を行う

分筆登記が無事完了すれば、それぞれの相続人が自身の所有する土地について名義人として権利登記を行います。

権利登記を行えるのは司法書士有資格者です。相続を伴い権利登記が必要になる分筆登記を行う際は、土地家屋調査士と一緒に司法書士も探すようにしましょう。

相続した土地の分筆登記に必要なコスト

相続した土地に限らず、土地を分筆登記する際は測量に関連した手間や費用、登記に関連した手間や費用など多くの時間とコストが発生します。

中でも高額になりがちなのは、土地家屋調査士へ土地分筆登記を依頼するための料金です。

土地分筆登記に関連した費用

日本土地家屋調査士会連合会が発行している「土地家屋調査士報酬ガイド」によれば、日本全国の土地家屋調査士に支払う「土地分筆登記に関する報酬額」は、

となっています。相続発生前に境界確定測量図面を用意していた場合でも、土地家屋調査士へ支払う報酬はおよそ24万円になり、さらに境界確定測量まで委託するとなれば分筆登記だけで50万円近い費用が発生することになります。

費用は、権利関係や地域、土地家屋調査士によって異なるため事前に確認するようにしてください。

※参照元:【PDF】日本土地家屋調査士会連合会「2016年度アンケートによる土地家屋調査士報酬ガイド」(https://www.chosashi.or.jp/media/guide20190329.pdf)

相続登記に関連した費用

分筆登記した土地について、改めて相続登記をする際にも費用が発生します。

相続登記を司法書士に依頼した場合、登録免許税や必要書類をそろえる実費のほか、司法書士へ支払う報酬が加算されます。

司法書士への支払いを節約するため自分で相続登記を進めることも可能ですが、登録免許税は変わらず必要で、金額は対象の土地における「固定資産評価額の0.4%」が基本。価値の低い土地を相続した場合であれば、登録免許税が免税になるケースもあります。

相続税

相続した土地については相続税もかかります。

これは登録免許税や印紙税とはまた別の税金で、相続した土地の価額に対して適正な金額を納税します。

登記費用は不動産取得費に加算できる

土地を取得するために支払った登記費用は相続税の計算をする際、不動産取得費の一部として計上可能です。

分筆登記や相続登記にかかった費用についてはきちんと計算して把握しておくようにしましょう。

※参照元:国税庁 No.3270 相続や贈与によって取得した土地・建物の取得費と取得の時期(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3270.htm)

相続した土地の分筆登記には時間がかかる

相続した土地の分筆登記にはかなりの時間がかかることを念頭においてください。土地に関する測量資料から準備する必要があったり、遺産分割協議が順調に進まなかったりすれば、解決までの時間はさらに長引きます。

不動産相続では相続税の申告や納税に関して期限が定められているため、速やかに手続きを始める意識が大切です。実際の手続きが始まる前の準備がカギになるので、それぞれの手続きに際して必要なものや、かかる期間などの情報収集を行い、備えるようにしておきましょう。

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このページの監修
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引用元:東京スカイ法律事務所公式HP
(https://www.tsky.jp/)

このサイトは「東京スカイ法律事務所」の田中健太郎弁護士に監修していただいています。同氏は弁護士と行政書士、両方の資格を所持し、弁護士になる前は司法書士として活躍していたという経歴の持ち主。不動産相続に関する豊富な知識と実績を持つ弁護士です。
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