不動産相続の疑問やお悩みについて、徹底解説
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このページでは、東京の未登記不動産を相続するときの注意点を紹介しています。
不動産には登記簿に記載されているものと、記載されていないものがあり、このうち、後者の不動産を相続する場合にさまざまな問題が発生する可能性があります。
以下でその問題点を具体的に解説しますので、東京で不動産を相続する予定のある方は、ぜひ参考になさってください。
東京で未登記不動産を相続する際の注意点の一つは、固定資産税の負担が重くなる可能性があることです。
固定資産税とは、文字通り固定の資産である土地や家屋に対して課される地方税のことですが、未登記不動産であっても課税され、所有者は納税しなければなりません。税額の計算方法は以下の通りです。
税率は一律1.4%でいいのですが、問題になるのは課税標準額です。課税標準額とは、固定資産における課税標準額、つまり土地や家屋の評価額という意味になります。
これが問題になるのは、東京の地価が全国的にも高く、物件の評価額も高いエリアが多いからです。ということは、課税標準額が高くなりやすい東京で未登記不動産を相続した場合、必然的に固定資産税の負担が重くなる可能性があります。
従って、東京で土地や家屋などを相続する人はまずこの点に注意して、本当に相続するか否かを検討したほうがいいでしょう。
未登記不動産の相続に関しては、東京ならではの注意点の他、一般的な注意点もあります。そのいくつかを紹介しますので、こちらも確認しておいてください。
土地にしろ家屋にしろ未登記不動産を相続したとき、わざわざ法務局へ行くのは面倒だからと、新たに登記することなく、ほったらかしにする人もいるかもしれません。これには注意が必要です。
なぜなら、不動産に関しては「1ヵ月以内に登記をしないと10万円以下の過料」という法律があるからです。日本には数多くの未登記不動産が存在するといわれ、実際に罰せられる可能性は高くありませんが、それでも罰則規定が設けられている以上、法律を守る必要があります。
被相続人から土地や家屋など不動産を相続したときは、すぐに登記簿を調べて登記の有無を確認し、未登記不動産であった場合は速やかに登記しましょう。
相続した未登記不動産を、未登記のまま誰かに売却したいと考える人もいるかもしれません。実はこの場合も注意が必要で、土地や家屋などの不動産は、未登記のまま売却するのがとても難しいです。なぜなら、不動産の売却に際しては、所有権の証明が必要になりますが、未登記のままでは所有権を主張することができないからです。
主張はできるかもしれませんが、法定根拠を持って証明することができないので、買い手を納得させることができず、結果的に売却できない可能性があります。
従って、相続した未登記不動産をスムーズに売却したいと思う人は、面倒でも登記を行ったほうがいいでしょう。
何らかの事業を運営している人が土地などの不動産を相続した場合、その土地を担保に入れて銀行から融資を得たいと考えるかもしれません。これは一見ありがちなケースですが、未登記不動産の場合は簡単にはいきません。
なぜなら、一般的に銀行融資においては、未登記の不動産は経済的な価値がないと見なされ、抵当権を設定することができないからです。そして、抵当権が設定されなければ土地を担保に入れることができず、融資を受けることもできません。
従って、相続した不動産を担保にお金を借りたいと思うときは、法務局にて登記申請が必要になります。
相続した不動産や所有している建物が登記済だと思っていても、新築時の家から増築が行われていた場合、実は増築部分が「未登記」のままであったというケースがあります。ここからは増築部分が未登記であった場合の確認方法や対処法について解説します。
固定資産税の納税通知書を確認することで、増築した部分が登記済か未登記であるかを知ることができます。通常、納税通知書には登記上の物件の床面積が記載されています。増築部分も含めた床面積と納税通知書に記載されている床面積に相違があれば、増築部分の登記が行われていないということになります。
未登記であっても、増築部分の所有者は建物所有者と同一になります。これは誰が増築にかかる費用を負担しているかに影響されません。
ただし、例えば父が所有する建物の増築費を息子が支払った場合、増築部分は父の所有になるので、結果的に息子が父の資産を増額したという形になります。そのため、金額によっては贈与税の対象となります。
建物を増築すると、改めて変更登記を行って建物の表題(形)を変更しなければなりません。なお、表題変更登記には建物図面や所有権証明書といった資料が必要です。
未登記の建物を不動産として相続する場合、相続人として適正な手続きを行っておく必要があります。具体的には、「表題登記及び所有権保存登記」もしくは「未登記家屋所有権移転届」という手続きが必要です。
ここでは未登記建物を相続した場合の対処法について詳しく解説します。
原則として、建物の登記は物件を建てた人が手続きしなければなりません。しかし何らかの事情で未登記のまま建物を建てた人や所有者が亡くなった場合、改めて不動産を相続した人が「表題登記」を行います。
ただし、表題登記とは物件を新築した際に、物件情報や現況を登録するものですが、新築時から時間が経過していれば、建物図面や所有権証明書といった資料が現存していない場合もあるでしょう。そのような場合、土地家屋調査士に依頼して必要資料をそろえます。土地家屋調査士に依頼せず、個人で必要な資料や証拠をそろえることも可能ですが、問題なく正確に書類をそろえるには長い時間がかかることもあります。
そして表題登記が完了した後、改めて「所有権保存登記」を行って相続人の名義へ変更します。この時の依頼先は司法書士です。
表題登記と所有権保存登記はそもそも登記の目的が異なるため、サポートしてもらうための専門家や必要な書類などについては間違えないようにチェックしておきましょう。
不動産相続後に物件の売却を希望しない場合、「未登記家屋所有権移転届」を居住先の市町村役場へ提出することで、所有権保存登記に代えられることがあります。なお、この場合でも固定資産税は相続人に対して発生します。
相続した不動産を売却せずに取り壊す場合、「家屋滅失届」という書類を改めて提出するということもポイントです。
今回は、東京で未登記不動産を相続する際の注意点を解説させていただきました。東京は地域にもよりますが、全体的に地価が高く、固定資産税の負担が無視できないので、その点を十分に考慮した上で、相続するしないを判断したほうがいいでしょう。
また未登記不動産を相続した後でも、登記しないことの違法性や、売買がしづらくなること、銀行融資が受けにくいなど、幾つかの問題があることを認識しておいてください。
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