不動産相続の疑問やお悩みについて、徹底解説
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このページでは、相続不動産の売却と売却益にかかる譲渡所得税や、税制上の優遇措置を受けるための確定申告について、詳しく解説しています。
相続した不動産に関して確定申告が必要になるかどうかは、相続不動産を売却したことで譲渡所得(売却利益)が発生したかどうかで判断されます。
譲渡所得とは、相続不動産の売却によって得られるプラスの収益です。不動産を取得する時にかかった費用や、売却にかかった必要経費、不動産を相続する時に支払った登録免許税などの合計よりも、売却額の方が大きくなった場合、差し引きしてプラスの利益が出ていれば、それが譲渡所得として見なされます。
譲渡所得の計算方法は、以下のようになります。
不動産売却額は、文字通り不動産を売ることで得られるお金です。相場価格や査定価格などでなく、実際に売ることで得られる金額が対象となります。
被相続人が不動産を購入する時にかかった費用や、相続人が不動産を相続するために支払った費用や税金などをまとめた金額です。
具体的には、不動産の購入額の他にも、購入時に不動産会社へ支払った購入手数料や諸経費、相続人が不動産の所有権を変更するための相続登記で発生する登録免許税(不動産価額の0.4%)などが、まとめて不動産取得費として計算されます。
また、不動産購入額(建物の価値)については、購入からの経過年数に応じた減価償却費をマイナスした金額を計上することも重要です。不動産購入額が不明な場合に関して「売却額の5%」という金額が設定されています。
不動産を売却する際に必要な印紙税や不動産会社へ支払う仲介手数料など、相続不動産を売るために発生した費用が譲渡費用になります。
印紙税の金額は、不動産価額に応じて2千円~10万円の範囲で変動するため注意してください。なお、平成26年4月1日から令和4年3月31日までの取引に関する不動産売買契約書については、税制上の軽減措置の対象となるため、印紙税も1千円~6万円の軽減税額が適応されます。
その他、令和19年までは、不動産所有期間に応じて復興特別所得税(0.63%または0.315%)がかかることもポイントです。復興特別所得税は、所得税に対してかかる税金で、譲渡所得そのものにかからない点に注意しましょう。
譲渡所得が発生した場合、その金額と、不動産を相続してから売却するまでの年数に応じて譲渡所得税および地方税(住民税)が発生します。
原則として、譲渡所得税と地方税の税率は以下の2パターンです。
※不動産所有期間は、売却した年の1月1日時点での所有年数。
ただし、譲渡所得には確定申告をすることで受けられる、税制上の特例や特別控除があるので、きちんと計算して申告することで大きな節税対策ができる可能性もあります。
実際に譲渡所得税を支払う場合、譲渡所得から控除額などをマイナスした課税対象額に応じて税金が発生します。そのため、売却額によって利益が発生していなければ確定申告も不要です。
しかし、そもそも譲渡所得が発生していれば、仮に特例や控除によって課税対象額がゼロやマイナスになると見込まれても確定申告を行わなければなりません。
確定申告を行わなかった場合、特例や控除といった税制上の優遇措置を受けることが不可能になる上、適正な譲渡所得税を支払っていなければ、最悪の場合、悪質な脱税行為として追徴課税などの支払いが必要になるケースもあります。
不動産を相続してから3年以内(+相続税の申告期限10ヶ月以内)に売却すれば、取得費に相続税額を合算することができます。そのため、不動産価額や相続税の額によっては、所有期間5年超を待つよりも、3年10ヶ月以内に売却した方が譲渡所得を下げて課税対象額を減らせるかも知れません。
相続した不動産が「空き家」であり、そのまま空き家として売却する場合、譲渡所得から3,000万円を控除できます。そのため、例えば不動産価値が3,000万円以下であれば、控除後に譲渡所得は相殺されて所得税や地方税は発生しません。
例えば亡くなった夫と妻が一緒に暮らしていた家など、相続した不動産に相続人が実際に住居として暮らしていた場合、その不動産は「マイホーム(居住用財産)」として認められます。
そしてマイホームを売却する場合、譲渡所得から3,000万円が控除されます。
確定申告の期限は毎年2月の半ばから3月の半ばまで(基本的に毎年2月16日~3月15日)となっていますが、祝日の影響などで変更されることもあり、確定申告が必要になった場合は必ずその年ごとに定められている期間内に行いましょう。
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