不動産相続の疑問やお悩みについて、徹底解説
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このページでは、東京で持ち家(戸建て)を相続する際に、注意すべきポイントをまとめています。相続に際し問題となるのが相続税ですが、事前の準備である程度抑えることができます。
ぜひ、このページの内容を参考にして、前もって考えておくようにしてみてください。
相続税は、「3000万円+600万円×相続人」という控除額を上回る際に発生します。
地価の高い東京で持ち家があるのであれば、それほど大きな住宅でなくとも、ほとんどの場合で住宅の相続に際して相続税がかかるはずです。東京においては、4人に1人が相続税を支払うことになるという試算が出ているのだとか。
すなわち、持ち家を相続する場合は、前もって相続税についての準備をしておく必要があります。
持ち家の相続を行う際には、その持ち家、そして建っている土地の評価額を算出する必要があります。特に東京においては、そこで「路線価」という数字が基準として用いられることが多くなっています。
路線価は、市街地的形態を形成する地域の路線(不特定多数が通行する道路)に面する宅地に対する、1㎡あたりの評価額のことです。具体的な数字に関しては、国税庁のサイト[※1]でチェックができますので、参考にしてみてください。
[※1]令和2年分 財産評価基準書 東京都(路線価図)|国税庁
土地の評価額は、路線価に㎡をかけた数字で現されます。路線価が高いほど、土地が狭くても相続税がかかるようになってくる、ということです。
税理士法人によっては、相続税の基礎控除額の下限をベースに、何坪以上の土地であれば相続税がかかるか、といったことを紹介してくれているので、もし不安があるのであれば、前もって専門家に相談をするようにしましょう。
2015年の相続税改正によって、相続における基礎控除額が引き下げられました。それまでは基礎控除額の下限は6,000万円だったのですが、現在は「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」となっており、最低で3,600万円となっています。
その分、相続税の課税対象となる人は増えているので、相続税に関しては、しっかりと頭に入れて対策をしてきたいところです。
東京都において被相続人・相続人の申告実績を見ると、平成29年から平成30年にかけては、被相続人数で2.1パーセント増、相続人数で4.5パーセント増と、いずれも増加傾向にあります。
また、課税額も前年比で6.7パーセント増となっています。なお、東京都は土地代などが高く、相続税も高額になりがちということから、課税総額においては全国総額のうち36.8パーセントを占めるなど、非常に高い割合を示しています。
なお、東京都における課税割合の推移を見ていくと、税改正があった2015年に数字が跳ね上がっていますが、その後も緩やかに上昇傾向をたどっています。
東京都は土地の評価額が高いため、相続税の納税対象者が多くなる傾向にある上、金額も高くなっています。
一戸建てを相続するだけでも課税対象となるケースが多いので、もし不安があれば、前もって税務署などに相談し、どの程度のお金がかかるのかを調べておくようにするといいでしょう。
ただし、確定申告の時期などは税務署の繁忙期にあたるため、ゆっくりと相談に乗ってもらうのは難しいと思われます。
また、課税額の調査だけでなく実際の税金対策といったところまで踏み込んで考えるのであれば、税理士などの税金のプロに相談することをおすすめします。
現状や今後の考えなどを包み隠さず伝えることで、どのような形にすれば最善の収まりどころに落ち着くのかを、具体的なプランと共に示してくれることでしょう。
お金の問題は、後回しにするほど直面した際に大きな負担となってくるものです。できる準備を前もってしておくことは、余計なトラブル防止にもつながりますよ。
相続にあたり、持ち家は相続財産の中でも大きなウエイトを占めることになるため、その価値を知っておくことが相続税支払いの目安を知る上で重要になります。
では、相続する家の価値をどのように決めるのでしょうか。
相続税法第22条には、「相続、遺贈又は贈与により取得した財産の価額は、当該財産の取得の時における時価により、当該財産の価額から控除すべき債務の金額は、その時の現況による。」という条文があり、すなわち不動産の価値は「時価」、財産取得のタイミングにおける客観的な評価によって決められるとされています。
ただ、この「時価」というものが曖昧になるケースもあるため、可能であれば適したタイミングで持ち家の価値をきちんと算出した上で、目安となる数字をきちんと把握しておくことが大事になるでしょう。
ただ、持ち家そのものの価値がどの程度であったとしても、こと東京都内であれば、上記に記した数字を下回ることはあまりないでしょう。
そこで活用したいのが、「小規模宅地等の特例」です。これは、亡くなった人と生活を共にしていた相続人がその家を相続するとなった場合に、条件に合致すれば評価額を減額してもらえる、という制度です。
具体的には、被相続人と相続人が一緒に住んでいた家に、相続後も相続人が住み続けていたというケースにおいて、評価額が減額されます。
減額の割合は80パーセントにも達するため、持ち家という価値の大きなものを相続する際には積極的に活用していきたい制度だと言えるでしょう。ただし、土地の大きさに制限が設けられており、最大で330平方メートルまでとなっています。
数字的な例で挙げると、上記の住宅に合致している2億円の価値の住宅があった場合、80パーセント減の適用を受けることで、評価額は4000万円となります。
つまり、1億6000万円もの減額となるので、その分支払うべき相続税もグッと抑えられることになります。場合によっては、支払う相続税を0にすることも不可能ではないでしょう。
近年は二世帯住宅に住んでいる、という家族も多いでしょう。被相続人と相続人が同じ建物に住んではいるものの、居住スペースが分かれているケースです。
この場合、扱いは少々複雑になりますが、建物の中を自由に行き来できるようなタイプの二世帯住宅であれば、同じ建物での居住という扱いになり、その敷地全体に小規模宅地等の特例の適用を受けることができます。
また、建物の中で行き来ができない構造で、お互いの家族が生活を共にしてもいない場合は、従来では亡くなった人の住んでいた建物の敷地のみにしか制度が適用されないことになります。
しかし平成27年度の税制改正により、二世帯住宅であっても建物が区分所有登記されていない場合には、小規模宅地等の特例の適用が受けられることとなりました。これは、近年の居住環境の状況を鑑みての改正だと言えるでしょう。
いずれにせよ、二世帯住宅にお住まいの場合には、相続の際に小規模宅地等の特例が適用されるかどうかは、きちんと把握しておくべきです。
場合によっては適用が受けられるように登記を変えたり、リフォームをしたりする必要が出てくるかもしれません。
相続の際、最も価値が大きく、そして最も身近な対象となるケースが多いのが、被相続人が住んでいた家となります。思い入れのある家を手放したくはないが相続税が気になる、また兄弟がいるときは誰が相続するのか、その場合は家以外の財産はどのように相続するかなど、考えるべきことは多数あるでしょう。
持ち家を相続する場合は、主に3つの方法があります。それぞれにメリット・デメリットがあるので、それらを比較した上で、現状に最も即した方法を選ぶようにしてください。
換価分割は、持ち家を売却して得た金額を相続人で分配する方法です。
メリットとしては、相続人が複数人いる場合でも現金という形で均等に分けられることと、持ち家の金額を定める必要がないことです。
ただ、持ち家という不動産は額が大きい分、すぐに売却できないケースが非常に多くなります。その際、多少安くてもすぐに手放すか、できるだけ高く買ってくれる相手を探すかで、意見が分かれるケースもあるでしょう、
また、被相続人と一緒に住んでいた相続人がいた場合、引っ越しをしなければいけなくなります。その費用をどうするのかといった問題も出てくるでしょう。
すんなり行けばわだかまりが起きにくい方法ですが、準備に対してはきちんと根回しをしておく必要がありそうです。
代償分割は、相続人のうちの1人が持ち家を相続し、他の相続人にお金を払う方法です。
その場合に払う代償金は、遺産分割協議書、もしくは遺言書に明記します。メリットとしては、持ち家にそのまま住み続けられることです。思い入れのある実家をそのまま所有できるというのは、感情面で見ても望ましいケースが多いでしょう。
デメリットとしては、持ち家を相続した人が他の相続人に払う代償金を払えない可能性があることです。少なからずまとまった金額を払うことになるのがほとんどですし、その金額を交渉する中でも意見の食い違いが生じ、トラブルが起きるケースもあり得るでしょう。交渉には注意が必要です。
共同所有は、持ち家を相続人の共有財産として相続し、所有する方法です。メリットとしては、相続人全員が平等に権利を得られること。デメリットとしては、持ち家を売却したり賃貸物件にしたりする場合に、相続人全員で協議し、合意を得る必要があることです。
また、権利の所在も複雑になるケースが多くなります。そして、相続人が亡くなったりした場合、権利関係はより困難な状況になり、相続人の一族同士で交渉がこじれるケースもかんがえられます。
なお、被相続人から名義変更をしない場合、その持ち家は相続人同士での共同所有様態となり、売却などができなくなる点には注意しなければなりません。
不動産の相続は、非常に煩雑な手続きが生じると共に、大きな金額が動きます。一方で、人はいつ亡くなるか分からない、という問題もあります。もし今後の相続について不安があるというような場合には、前もって親族間でどのように扱うかをきちんと話し合い、準備しておく必要があるでしょう。
その場合、口約束ではなく書面を残すようにしましょう。これは、相続人サイドからはなかなか言いにくいもの。可能であれば、被相続人が主体となって、お互いの諍いが起きないように話を進めていくべきです。
そのように段取りを組んでおくことで、後々の相続に関するトラブルなどを防ぎ、相続人同士で良好な関係を築いていくことにつながるでしょう。
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