不動産相続の疑問やお悩みについて、徹底解説
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このカテゴリーでは、不動産相続において、配偶者(夫婦)間の相続で起こりがちなトラブルについて取り上げ、その概要や対処方法などを取りまとめて解説します。
相続において、被相続人の配偶者は、相続権を優先的に認められる存在です。被相続者の親、子、孫といった直属の親族よりも優先権があります。しかし、配偶者だからと言って、すべての遺産を相続できるわけではありません。思わぬケースで足元をすくわれる場合があるのです。
ましてや相続する財産に現金や有価証券などがなく、不動産がメインだという場合には、なおさら注意が必要です。不動産は、遺産分割するのが困難な代物だからです。夫あるいは妻と長年寄り添って暮らした家を、遺産相続のトラブルで自分の死後に配偶者が手放さなければならない、そうしたことは避けたいと思うのが人情ですよね。
不動産の相続トラブルを回避するために有効な方法は、生前に遺言書を作成しておくことです。とりわけ、被相続人の兄弟姉妹や甥姪などからの遺産分割請求を防ぐ点で大きな効果を発揮します。
その上で、配偶者(夫婦)間での不動産相続で起こったトラブルについて、実例をご紹介しておきましょう。被相続人の兄弟姉妹や甥姪といった関係者からの遺産分割請求よって、トラブルになったというケースです。繰り返しになりますが、こうした事態を回避するには、遺言書が効果的です。その点を踏まえて上で、ご覧になってみてください。
厚生労働省が発表したデータによると、子どもを持たない夫婦の数は増加傾向にあります。
子どもがいない夫婦の一方が亡くなる場合、財産はすべて残された夫、あるいは妻に渡るものと思うかもしれませんが、亡くなった配偶者の両親が健在である場合は財産の3分の1は、その両親が相続します。また、親が死去していて兄弟姉妹がいる場合、親や兄弟姉妹が死去していて甥や姪がいる場合には、前者の場合には兄弟姉妹が、後者の場合には甥や姪が遺産の4分の1を相続します。
家族間の人間関係によっては、思わぬトラブルが起こる可能性があるので、事前に遺言書を残しておく必要があるでしょう。
近年では婚姻届を出さず共同生活を続けている内縁関係の夫婦も多く、総務省が集計したデータでは2010年には約61万人にも登ります。さらに5年間で2割以上も増加しており、今後も内縁関係の夫婦は増えていくことが予想されます。
メリットも多い内縁関係ですが、遺産相続においてはデメリットが多いのが現実です。まず、内縁関係の相手には相続権がありません。そのため、遺言書などがない場合には遺産を取得できません。
法定相続人がいない場合は特別縁故者の申し立てをすることで財産分与を受けることが可能です。法定相続人がいる場合は遺贈について遺言書を生前に書いてもらうことで、遺産を取得することが可能になります。死後、今まで会ったこともない法定相続人が現れて思わぬトラブルになる可能性もありますので、事前に遺言書を残してもらうようにしておきましょう。
遺言書を残してもらうことは大切ですが、その遺言書を巡ってトラブルになる可能性もあります。遺言書の内容に納得できない遺族が、「その遺言書は本当に本人が自分の意思で書いたものなのか?」と疑うためです。これは自筆証書遺言の場合にトラブルが起こりやすくなります。
遺言書の真偽が問題になった場合、裁判所で遺言無効確認訴訟を起こす必要があります。裁判では筆跡鑑定や生前の生活などを振り返り、裁判官に遺言書の真偽を確かめてもらわなければなりません。遺産を相続するまでに長い時間がかかり、遺族間の仲も悪くなってしまい、最悪の場合絶縁状態になってしまう可能性もあります。
このトラブルを回避するためには、自筆の遺言書ではなく公正証書遺言を作成しておくことをおすすめします。
配偶者である被相続人に、親も子もおらず、その兄弟姉妹も死去している場合、実は、被相続人の兄弟姉妹の子である甥や姪には相続権がある状態となります。この場合配偶者には3/4、甥や姪は1/4となり、複数いる場合はその1/4を人数分で均等割ということになります。いささか盲点で気がつかず、戸惑ってしまいますが、現実としてはそうなります。こうした事態を防ぐには、遺言書を残しておくことが重要です。
遺言書で配偶者に全財産を譲ると明記されていれば遺産を甥や姪に分割する必要はありません。しかし自筆の遺言書は不備を指摘されたり、遺族が遺言書を見つけられない可能性もあり、トラブルの元となってしまいます。より確実に遺言内容通りの効力を発揮させるためには、「公正証書遺言」を残しておくことをおすすめします。
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「婚姻届が提出されていないものの、共同生活を営み、社会的にみて夫婦と認められる男女関係」である内縁関係では、遺族補償や死亡退職金などの受取人にはなりうるものの、法定相続人としては認められません。対応策としては、死去した内縁相手に法定相続人がいない場合には「特別縁故者」の手続きをし、それが認められれば遺産の分与を受けることが可能になります。しかし全財産を税金の負担なく相続できるわけではありません。内縁関係の場合、配偶者控除の対象にならないためです。その点に注意しておきましょう。
法定相続人がいる場合には、生前に遺言書に遺贈する旨を記載してもらう方法があります。被相続人に兄弟姉妹以外の相続人がいると遺留分を差し引かれてしまいますが、それ以外の場合なら内縁関係でも遺言書に明記されている通りの金額を受け取ることができます。
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不動産は、生前でも贈与をすることができます。夫婦間における、居住目的の不動産についての生前贈与なら、最大2000万円までの建物、土地なら贈与税もかかりません。登録免許税や不動産取得税はかかってしまいますが、相続税を支払うよりもお得に夫婦間で不動産をやり取りできる可能性があります。
生前贈与にかかる贈与税と、死後の相続にかかる相続税の違いを確認し、そのメリット、デメリットをチェックしてみましょう。
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「おしどり贈与」とは、20年以上連れ添った夫婦の間で、住居またはその購入費用を生前に贈与しようとするときに、本来かかる税金を優遇する制度です。一見とても良い制度に思えますが、実は「おしどり贈与」には、メリットがある場合とそうでない場合があります。どのような場合に得なのか、また、損してしまうことはないのか、起こりうる事例を含めて、ご紹介しています。
親が遺した不動産が収益のあがらない赤字物件だった場合、いくら遺産だといっても、売ることも貸すことも難しい不動産は、そもそも相続するべきなのか悩んでしまうことも少なくありません。
そんなときに考えられる3つの選択肢として、相続を放棄する・相続してから売却する・収益化するといったことのほか、親が元気なうちにできる対処法などをご紹介しています。赤字物件を遺す親にとっても遺される子にとっても、喜ばしい状況を目指したいものです。
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遺書に不倫相手に遺産を全額相続するような記述があった場合、法定相続人である遺族は、まったく遺産を相続することができないのでしょうか。
実際には、遺書の内容にかかわらず、家族が相続できる分は保証されています。また、遺言内容が有効である(不倫相手にも相続させる)と認められる場合と、そうでない場合がありますので、事例とともにご紹介します。
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法定相続人がいないという特殊なケースでは弁護士などの専門家に相談しながら遺言書を作成するといいでしょう。法定相続人ではなくても、甥や姪などの親族に財産を相続させることはできます。
もし、法定相続人がいないと、自分の死後に親族が遺産を求めて争う可能性があります。親族に財産を残すにしても、第三者に財産を譲るにしても、遺言書で明確に意思を示すのは大切です。
配偶者や子どもだけで遺産を分割する方法を話し合うのも十分大変です。しかし、ときに相続人が10人以上いる可能性もあり、遺産分割協議は難航します。
その場合でも相続人すべての同意を得て協議の結果を書面に残すのが一般的です。すべての人に連絡を取ること自体が難しい場合もあるので、弁護士などの専門家に相談できるでしょう。相続人への連絡調整や遺産分割協議書の作成を手伝ってくれます。
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