不動産相続の疑問やお悩みについて、徹底解説
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このページでは、日用品から不動産のような大きな財産まで、生前整理を適切に行うためのポイントや注意すべき点などについて詳しく解説しています。負の遺産として死後にトラブルを残さないよう、生前整理の方法を具体的に把握しておきましょう。
生前整理とは、文字通り生きている間に自分の所有する物品や財産等について整理しておくことであり、一般的には終活の一貫として考えられています。
立つ鳥跡を濁さずという言葉がありますが、生前整理によって不用品を処分しておき、また重要な財産や資産などについて整理しておくことで、自分の死後に家族や相続人がスムーズに日常生活へ戻っていけるようあらかじめ準備することができます。
生前整理は生きることを否定する行為かのように考えられることもありますが、むしろ死ぬまでの間に本人の意思を尊重するための活動であり、遺族にかかる様々な負担を軽減するための前向きな対策でもあると覚えておきましょう。
個人の所有するものは日常的に利用している品から、不動産や預貯金といった財産・資産まで様々です。そして個人が死亡した場合、それらの処遇や分配について考えることは一般的に残された家族や親族などの遺族となります。
例えば家の中にたくさんのものが放置されている状態で個人が亡くなった場合、その遺族が故人の遺品や遺産に関して整理しなければなりません。また、すでに同居していた遺族であれば、そのまま故人の遺品について詳細を把握していることもありますが、同居していなかった家族や親族では身内が亡くなって初めて所持品の存在や家の中の状況を知ることもあるでしょう。
生前整理を適切に行っておくことで、大切な遺族の負担を軽減し、心を癒すために少しでも多くの時間を使ってもらえるようになります。
賃貸物件に一人で暮らしている人が突然に亡くなった場合、家具や家電、日用品など様々な品物が部屋の中に残されたままとなります。
売却して価値があるものであればまだしも、多くの所持品は捨てることになるでしょうが、この際の処分について専門業者へ廃棄を委託することもあるでしょう。
自宅に残されたものであれば少しずつ時間をかけて整理することも可能ですが、賃貸物件では速やかに遺品整理を完了しなければならず、生前整理を行っておかなければ処分費用が増大してしまう恐れがあります。
個人が所有しているものの中には、不動産や証券、宝石類や貴金属といった相続時に相続税の課税対象となり得るものもあるでしょう。
例えば自分がどのような財産や資産を所有しているのか、全てを家族が把握している場合、突然の死亡によって相続が発生してもあまり混乱は起こらないかも知れません。
しかし、生前の個人についてどのような財産や資産を保有していたのか遺族が把握できていない場合、遺産分割協議の開始が遅れたり、後々に相続税のトラブルが発生したりする恐れもあります。
また、生前整理の一環として生前贈与などを検討しておくことで、相続税の節税対策を行えたり、個人の死後に遺産分割協議でトラブルに発展するリスクを軽減したりできる可能性もあります。
持病があって余命を宣告されている人であれば、ある程度の計画性を持って残された自分の人生を考えられるかも知れません。しかし余命宣告は死亡時期を確定するものでなく、さらに世の中には事故や病気、ケガなど様々な危険が存在し、誰であっても自分がいつ死ぬかという未来を完全に予測することは不可能です。
生前整理を始めるタイミングは人によって異なりますが、適切に生前整理を進めることで死後の混乱を緩和できるだけでなく、自分自身も残された人生へ意識を向けて、毎日をより意欲的に過ごすためのきっかけになります。
生前整理や断捨離によって不要なものを処分すると、部屋が広くなって生活スペースに余裕が生まれることも期待できます。
また、無駄なものを購入しないでおこうという意識が高まれば、お金の無駄遣いを減らせるため資産形成にも好影響です。
同居していた子供が進学を機に家を出たり、就職を決めて独立したりしたタイミングは、両親や祖父母にとって生前整理を考える1つのきっかけとなります。
同居していなかった人が故人の遺品整理を行う場合、負担が増大しがちになるため、子供が巣立っていった時から少しずつ生前整理を始めても良いでしょう。
また、熟年離婚や配偶者の死亡などによって独居になったタイミングも、生前整理を行うきっかけとして考えられます。
定年を迎えて退職した時や、70歳という節目を迎えた時など、何かしらの区切りをきっかけとして生前整理を始めることも有効です。
70歳を超えてくると肉体的にも色々と問題が生じやすくなります。大きなものなどを整理するためにも、体が自由に動く間に行動を開始することが大切です。
生前整理に最適なタイミングは、本人が生前整理について考え始めた時期ともいえます。
世の中には不幸にも若くして亡くなってしまう人も多く、いつどのような事態が起きるかも分からない現代だからこそ、自分にとって意味があると思った時から生前整理に関して意識を向けていくことも肝要です。
ここでは一般的な生前整理の流れと注意すべきポイントをまとめました。
わざわざ納戸や倉庫を開かなくても、部屋の中を見渡しただけで色々なものが目に入ってくるでしょうが、その中で本当に必要なものはどれだけあるでしょうか。
自分にとって必要なものと、そうでないものをしっかりと仕分けることは、生前整理や断捨離を進める上で第一歩です。
自分にとって必要かどうかを考える基準は人によって異なりますが、基本的にここ数ヶ月で一度も使っていない日用品や、1年間を通してほとんど使うことのない季節用品などは処分しても問題ないケースが大半です。
もちろん、ものには思い出や思い入れがあり、要不要も実用性だけで決められるものではありません。しかし、何となく捨てたくないとか、いつか使うかも知れないからといった考えで捨てることをためらう人は、思い切って捨ててみることも重要です。
また、体型が変わって着られなくなった衣類や、同居人が減って使わなくなった食器などは、往々にして不用品といえます。
「不用品かも知れないけれど、どうしても捨てたくない」と思うようなものについては、とりあえず別の場所へ保管してみることも有効です。その上で保管期間を設けて、その期間中に使わなかったり思い出さなかったりしたものについては、まとめて処分しても良いでしょう。
不用品として仕分けたものは、適切な方法に則って処分します。
普段の家庭ゴミとして出せるものがあれば、中には専門業者へ引き取ってもらわなければならないものもあります。また、美品状態で価値がありそうなものはリサイクルショップで売却するといったことも効果的です。
不用品を処分した後は、普段の生活に必要なものと、宝石や貴金属といった資産価値のあるものをそれぞれ分けて管理します。
特に資産価値を持つものや相続時に相続対象となりそうなものについては、専用の保管場所を設定してまとめておくことが大切です。
なお、品物の種類や金銭的価値によっては生前贈与によって家族や親族へ分配するとった方法もあります。
個人が別の誰かに現金や資産を譲渡する場合、その金額や評価額に応じて贈与税が課せられます。ただし、贈与税には年間110万円の基礎控除が存在し、それ以下の金額であれば贈与税が発生しません。
そのため、毎年少しずつ財産を贈与しておくことも、生前整理や相続税対策として有効です。
生前贈与をしない財産については、保管すると同時に目録を作成しておきましょう。
これにより、相続人が遺産の把握を速やかに行えるようになり、遺産分割協議もスムーズに進行できます。
エンディングノートとは、自分が最期を迎えるまでに希望することをまとめたり、遺される家族や友人などへ伝えたいことを記しておいたりするための私的なノートです。また、終末医療や延命治療について自分の意思を明確にしておく上でも価値があります。
エンディングノートには決まった書式がなく、どのようなものであれエンディングノートとして活用できます。ただし、自分が改めて読み返した時に理解しやすいことはもちろん、周囲の人へ正しく想いを伝えやすい方法でまとめておくことが重要です。
近年はエンディングノートとして専用の手帳やノートも販売されており、使いやすいものを選んでみても良いでしょう。
生前の意思を示すために遺言書を作成しておくことも大切です。
遺言書はエンディングノートと異なり、法的拘束力を持つ文書です。そのため、書き方や管理方法についても法律に則って考えなければなりません。
エンディングノートは法的に何の効力も持ちませんが、適正に作成された遺言書は死後も効力を発揮してくれるため、弁護士や司法書士といった専門家にも相談しながらしっかりと内容をまとめておきましょう。
生前整理は、本人が自分なりに死と向き合って今後の人生について考えていくだけでなく、遺された家族や親族の負担を軽減したり、相続問題を回避したりと、色々な目的や理由で行われます。
しかし、ただ思いつきで生前整理や生前贈与を行ってしまうと、逆に相続トラブルが深刻化してしまう恐れもあります。
そのため、自分の死後に不安がある人や、どのように生前整理を進めれば良いのか分からない人は、弁護士など専門家のアドバイスも聞きながら自分なりのプランを考えていきましょう。
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