不動産相続の疑問やお悩みについて、徹底解説
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「遺産全額を不倫相手に相続する」と遺書に残されていた場合、遺族は相続できるのかどうか、事例とともにまとめました。
「全額を不倫相手に相続する」と正式な遺書に書かれていたとしても、全額が不倫相手に相続されるわけではありません。
実際は、民法1028条によって、遺留分(法定相続人が親などの尊属のみの場合は1/3、それ以外の場合は1/2)が遺族の今後の生活のために保障されています。そのため、不倫相手が相続できるのは遺留分を除いた金額ということになります。とは言え、配偶者と子どもがいる家庭の場合でも半分は不倫相手に相続されることになるので、遺族側としては穏やかではいられません。
そんな事態にならないようにするためには、生前にできることをしておく必要があります。亡くなった後に知ってからではどうすることもできないのです。できるだけ、生前に弁護士に相談しておくことをおすすめします。なお、弁護士といっても、それぞれ得意分野がありますので、特に相続に強い弁護士を探すことが重要です。
遺言状に不倫相手への相続が指定されていた場合、どのようなトラブルが起こりうるのか、ご紹介します。
以下のケースでは婚姻関係が破綻しており、長期間の別居が続いていました。
残された妻と子は、「遺言の内容は公序良俗に反する」と主張して、この遺言内容の無効を裁判所に申し立てました。
このケースでは、妻とは10年間別居状態であり、夫婦としての関係もほぼ破綻していたと考えられること、亡くなった夫は一緒に生活をしていた不倫相手のその後の生活を保障するために遺言状を残したと考えられること、別居生活が長かったこともあり、不倫相手が相続をすることによって妻や子の生活を脅かすこともないと考えられることなどから、遺言内容は公序良俗に反するものではないと判断され、遺言が認められました。
遺言状が無効になる事例として、「公序良俗に反する」ということが理由になる場合があります。不倫相手に相続させるなんて道徳的にどうか、ということです。これが認められれば遺言が無効になることがあります。ただ、上記のケースでは、不倫相手との生活が長く、夫婦としての関係もほぼ破たん状態であったため、公序良俗に反しないと認められたわけです。
上記の事例であれば、家族は不倫相手がいることを知っていたわけですから、夫が亡くなった後に起こりうる可能性についても予測できたのではないでしょうか。亡くなってから初めて遺書の内容を知り、慌てて裁判を起こすことになれば、時間もお金も労力も発生します。そうなる前に、ぜひ弁護士に相談しておきましょう。
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