土地の不動産相続の手続きの流れ・取り扱いについて知る

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不動産を相続したとき、どんな手続きをしたらいいのか?兄弟・姉妹で分割するときは、どうやって分ければよいのか?など、わからないことがたくさんあると思います。土地を相続したときに知っておきたい情報をわかりやすくまとめました。

土地の相続登記の流れや手続きについて

亡くなった方が所有していた土地を相続する場合、名義を変更するために相続登記の手続きをします。相続者が複数いる場合、「誰が相続するのか?」を決めましょう。法律上では、いつまでに変更しなければならないといった期限はありません。しかし、いつまでも変更しないままでいると、他の相続人に処分されたり、登記費用が高くなったりといったデメリットが発生します。親族を亡くし、悲しい気持ちをもった状態かと思いますが、しっかりと遺したものを受け継ぐためにも、早いうちに手続きをしましょう。

相続人の話し合いは、同じ空間で協議しなくてもかまいません。手紙や電話、メールはもちろん、オンライン会議ツールを利用しても問題ありません。

誰が相続するのかが決まったら「遺産分割協議書」を作成し、相続人全員に署名してもらいます。指定されフォーマットはありませんが、「相続人全員で協議した」をいう文言は必ず入れましょう。全員で協議した結果でないと、将来的に「誰の所有物か?」と揉めるもとにもなりかねないためです。不動産については、登記事項証明書記載内容をそのまま書きましょう。

相続登記に必要な書類

相続登記に必要な書類は以下の通りです。

各種書類は市役所や法務局などで入手できます。相続登記をする場合にかかる費用は、以下料金が目安となります。

法務局に書類を提出して1〜2週間ほどで、新しい権利書が発行されます。

土地の相続登記申請書類の記入項目

土地の相続登記申請書類に記入する項目は以下内容です。

法務局で雛形が用意されているため、フォーマットに沿って作成するとわかりやすいでしょう。

土地を相続した時の相続税の計算について

土地に関わらず、不動産を相続する場合は相続税が発生します。相続する金額に応じて、基礎控除額が変動するので、計算式に当てはめてみましょう。相続税を計算するときには、以下2つの計算式を使用します。

まず、この2つの計算式を使って、自分がいくら相続できるのか?を算出しましょう。計算の例として、1人で1億円の遺産を相続する場合の金額を算出してみましょう。

【1億円の遺産を1人で相続する場合】

基礎控除金額は3,600万円なので、1億円から3,600万円をマイナスした、6,400万円が相続できる財産です。

この6,400万円に税率とさらに控除額を当てはめて、相続税が決まります。5,000万円〜1億円以下の場合、税率は30%、控除額は700万円です。

1億円を1人で相続した場合、相続税は1,220万円となります。税率や控除額にどのくらいかかるのか?事前に問い合わせをしてみましょう。

相続した土地を分割する方法

相続人が複数いて分割したい場合、4つの方法があります。

現物分割

1人は建物、もう1人は預金など、誰が何を相続するか、現物をそのまま分ける方法です。シンプルに遺産相続できるため、一般的に多くの方が採用している方法ですが、資産によっては不公平になる可能性もあります。土地に5,000万円の価値があった場合、預金が5,000万円を下回ると平等にはなりません。大幅に金額が違う場合、揉める元になります。よく話し合いをしてから決めましょう。

換価分割

遺産をすべて売却し、現金に変えてから分割する方法です。土地が相続財産だった場合、土地を売却したあとに金額に応じて平等に分けます。現金を不公平感なく分割できますが、売却時に諸費用が発生します。数万円程度ではなく、場合によっては数十万〜数百万近くの費用がかかることも。手数料に費用がかかりすぎて、分割できる資金が減ってしまうデメリットがることを覚えておきましょう。

代償分割

1人が全ての遺産を相続するかわり、他の相続人に相続分に応じる金銭を支払う方法です。相続する物件に誰かが居住している場合、居住者が相続すれば引越しの心配もなく、これまで通り暮らせます。土地は分割しにくい資産なので、相当分の金銭を支払って相続とみなせるメリットも。ただし、他の相続人に代償金額を支払える資金力が必要です。

共有分割

相続人でそれぞれの資産を共有し、分割をしない方法です。すぐにではないものの将来的に分割するため、いずれは向き合わなければいけません。不公平さがないものの、時間の経過と共にトラブルに発展することもあるため注意しましょう。

相続した土地を売却する手順

不動産や土地など、相続したものを売却する場合でも、相続登記は必要です。相続登記をした後は3つの段取りを踏みます。

手順1:不動産屋に売却依頼をする

法務局で相続登記を済ませた後、不動産屋さんに土地売却の依頼をします。土地の売却依頼をする際に費用は発生しません。売買成立したときに、初めて費用が発生するため、気軽に相談してみましょう。不動産屋によって売却手数料は変動しますが、一般的に売却金額の3%が目安と言われています。

ここで注意したい点は、「複数の不動産屋さんに査定をしてもらうこと」です。電化製品を一式買い揃えたり車を購入したりするときも、何軒か同じようなお店で見積もりをしてもらうと思います。土地も同じように、複数の不動産屋さんで見積もりをしてもらいましょう。大手不動産屋・昔からある地元の不動産屋など、種類を変えてもいいかもしれません。どの不動産屋さんも似たような金額なのか?それとも大幅に違うのか?で提示されている金額の正当性や妥協点を判断しましょう。

手順2:土地を買ってもらいやすいように整備する

売却する土地が更地の場合、草むしりや物を移動させるなど、ある程度の整備をしておきましょう。もし建物がある場合、建物と一緒に売却するのか、更地にするのかの判断も必要です。比較的新しい建物や立地条件の良い土地の場合、買い手も付きやすいでしょう。中古住宅で数十年経過している場合は、取り壊して更地の状態で販売するといいかもしれません。

建物の状態や残っているものがどんなものかにもよりますが、1坪あたり約3万円解体費用にかかります。不動産売却するときは、あらかじめ解体費用も上乗せして売値を出すのもコツです。土地と建物を相続し、売ることを想定している場合は、買い手がつきやすい状態で売却相談をしましょう。

手順3:不動産譲渡税を払う

土地が売れると、不動産譲渡税を支払わなければなりません。不動産譲渡税は、土地や建物を売却した場合に発生する税金です。もし売却したときの金額が、不動産取得費を下回った場合は、支払う必要はありません。取得費の計算は、亡くなった方が購入した時の価格で計算されます。住宅や土地購入時の売買契約書をチェックしてみましょう。

しかし、「いくらで契約されたのか?資料が残っていない」というパターンがほとんどのようです。もし資料が見つからない場合は、売却益の5%を取得費として計算されます。

土地を相続する際のチェックポイント

相続後を考えて、相続する方法を決める

相続人が複数おり土地の相続時に分割が必要となった場合、現物分割、換価分割、代償分割、共有分割の4タイプのなかから、自分たちにとって最適と思われるものを選びます。

相続するものが土地しかない場合でも、分筆登記をすれば現物分割を行える可能性がある一方、「ひとまずは」と共有分割を選択してしまうと、後々トラブルに発展する可能性も。

また、例えば遺産分割協議を進めるためにと不本意ながら土地の売却に同意したとして、改めて買い戻そうと考えた時には価格が変動しており、損失が拡大することも珍しくありません。予想外の地価の下落や高騰で不公平さが生じてしまうケースもあります。

それぞれの土地分割方法のメリット・デメリットを比較検討し、相続人同士の関係性や今後、土地の特性を理解した上で適した方法を選べるよう注意しましょう。

土地の相続に関連した費用や税金

土地を相続する際は登記費用や相続税といった費用が発生するほか、固定資産税という税金も課せられます。高価な土地を相続したとしても、将来的に支払い続ける固定資産税を考慮すると損失の方が大きかった、という事態になる場合も。

固定資産税の負担は毎年発生するため、収入状況や土地活用のプラン、将来的に土地を売却する可能性などを含めた上で、相続前に将来的なキャッシュフローを考えておくことが大切です。

税制上の優遇措置

自宅が建っている広大な土地を複数人で分割して相続するとして、1人が自宅を含めた土地を所有し、その他の相続人は土地のみを所有するとします。前者の土地には自宅があるものの、後者は更地として扱われるのがポイントです。

土地や自宅に関して固定資産税や都市計画税の負担を軽減できる「小規模宅地等の特例」という制度がありますが、これは住宅のある土地に関して適用される軽減措置。そのため、それぞれの相続人が同じ面積の土地を所有するとしても、自宅がある土地と更地では翌年からの固定資産税の金額に差が生じる可能性があります。

公平な分け方に思えても、実際に活用できる税制上の優遇措置などによっては、後から不公平感が強まってしまうケースもあることを考慮しましょう。

譲渡所得税の支払い

相続した土地をすぐに売却して現金化しようと考えた場合、忘れてはいけないのが「譲渡所得税」です。

不動産を売却すると、その売却益(譲渡益)に応じて譲渡所得税が発生しますが、これは売却時の売値から差し引きされるものではなく、売却の翌年度に納税義務が生じるもの。そのため、土地を売って現金が手に入るとしても、翌年から支払う譲渡所得税のための納税資金を準備しておかなければ、後々困ることになります。

土地の相続時に相続税を引き下げる特例

小規模宅地等の特例とは?

小規模宅地等の特例とは、事業や居住用の建物がある土地(宅地)を相続した場合、一定の要件を満たせば相続税が軽減されるという税制上の優遇措置です。

小規模宅地等の特例を活用すれば、条件次第では高額な相続税がゼロになるケースも。活用できるのであれば積極的に利用すべき制度と言えます。

小規模宅地等の特例を受けるには、相続した宅地が以下のいずれかに該当することが条件です。

※参照元:国税庁 No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4124.htm)

特定事業用宅地等

被相続人、或いは生計を一にする親族の、事業用に使われていた宅地を指します。相続税の申告期限まで所有していることが要件です。

特定事業用宅地等では、400㎡を上限として土地価額が80%減額されるため、相続税は残りの20分%にのみ課税されます。

特定同族会社事業用宅地等

特定事業用宅地等が被相続人、或いはその親族の事業用宅地であるのに対し、特定同族会社事業用宅地等はその事業が法人化されていたケースです。相続人が申告期限において当該法人の役員であること、相続税の申告期限まで有していることといった要件があります。

400㎡を限度面積として土地価額の80%が減額されます。

特定居住用宅地等

被相続人の住居として利用されていた宅地がこれにあたり、相続する人によって要件が変わるため注意が必要です。

330㎡を限度面積とし、土地価額の80%が減額されます。

貸付事業用宅地等

賃貸マンション経営のような、被相続人の貸付事業用に使われていた宅地です。相続税の申告期限まで所有していれば、200㎡を限度面積として土地価額の50%が減額されます。

ただし相続開始前3年以内に新たに始められていた貸付事業は対象外です。

不安なときは弁護士に依頼するのが吉!

親族が亡くなり、通夜・葬儀などが終わって一段落つく間も無く、現実的な問題が舞い込んできます。「相続トラブルはテレビの世界」「自分たち兄弟は仲が良い」と思っていても、実際不動産や土地の相続で揉めてしまうパターンもあります。誰が何を相続するのか?土地や不動産などの相続しにくいものは、どのように手続きをするのか?明確にしておきましょう。

手続きや相続税など、不安なときは身内だけで考えるのではなく、弁護士に相談すると吉。どの手順で何をしたらいいのか平等に分けるためのアイデアはもちろん、解決策もアドバイスしてくれます。のちに裁判やトラブルに発展しないためにも、事前に相談してみましょう。

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このページの監修
東京スカイ法律事務所

東京スカイ法律事務所公式HP

引用元:東京スカイ法律事務所公式HP
(https://www.tsky.jp/)

このサイトは「東京スカイ法律事務所」の田中健太郎弁護士に監修していただいています。同氏は弁護士と行政書士、両方の資格を所持し、弁護士になる前は司法書士として活躍していたという経歴の持ち主。不動産相続に関する豊富な知識と実績を持つ弁護士です。
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