不動産相続の疑問やお悩みについて、徹底解説
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このページでは、不動産相続をする際に「遺言が偽物だ!」と言われた場合の対処法を解説していきます。
不動産相続トラブルを予防するもっとも手軽で効果的な方法が、遺言書を作成することです。ただ、遺言を作る場合は作り方や内容にも気を使う必要があります。内容に問題がなくても形式に問題があれば遺言書は無効になってしまいますし、形式に問題がなくても内容に問題があると「遺言は偽物だ」と言われてしまうからです。
まずは、遺言の不備が不動産相続トラブルになりやすい理由から見ていきましょう。
不動産相続で、もっとも重視されるのは故人の意思である遺言です。日本では相続税法や民法で法定相続人や相続の順序、相続できる遺産の割合などを決めていますが、原則として遺言がある場合はこれらのルールよりも遺言が優先されます。
例えば夫が亡くなって妻と2人の子供が残された場合、法定相続に従うなら、
を受け取るのが通常です。しかし、夫が「子供にはそれぞれ遺留分(この場合遺産の8分の1)のみを渡し、残る財産の4分の3はすべて妻一人に譲る」という遺言書を残していれば、妻は法定相続分より多くの遺産を受け取ることができます。
しかし、遺言書が法定相続分よりも優先されるのは、あくまでも正式な遺言書である場合です。遺言があっても、形式に不備があって正式な遺言書と認められなければ、故人の遺言は無効になってしまいます。子供たちが異議を唱えれば、不動産相続トラブルにもなりかねません。
基本的に、不動産相続では相続内容が不平等であればあるほどトラブルが起こりやすくなります。先ほどご紹介した例のように、「一部の遺族が法定相続分よりも少ない金額しか受け取ることができない」といった内容の遺言だと、形式的には問題がなくても感情面でこじれてしまうのです。
とくに、公正証書遺言と違って作ろうと思えば簡単に作ることのできる自筆証書遺言は、遺族の誰かが自分の良いように故人を誘導して書かせたり、偽造したりすることも不可能ではありません。
と損をする側の遺族が感じてしまったり、遺言の真偽を疑ったりしてしまうと、「遺言は偽物だ」という指摘から不動産相続トラブルに発展してしまうのです。
どういったケースで遺言が偽物だと言われてしまうのか、具体例を知っておきましょう。
Aさんは、男性3人兄弟の末っ子です。遠方に住む長男・次男と違って地元で就職したため、妻と一緒に父親の介護をしながら実家で生活しており、父親は普段から「財産はよくしてくれるお前に残すよ」と言っていました。実際、しばらく入院をしていた父親が亡くなった後、病室の引き出しから見つかった遺言書には、「財産は三男にすべて渡す」と書いてあったため一安心。
しかし、長男と次男から「この遺言は偽物だ」と言われてしまいました。調べてみると、父親が書いた遺言は自筆証書遺言と認められるだけの条件を満たしておらず、無効になってしまったのです。その結果、Aさんは法定相続分通りの遺産分割をするために、実家を売って現金を作る羽目になってしまいました。もし、AさんやAさんの父親に遺言書に関する正しい知識があれば、兄に渡す金額は遺留分だけに抑えることができたでしょう。
手軽に作成できる自筆証書遺言は、形式の不備があると無効になってしまいます。また、形式としては正しいものでも、遺言の内容に不備があると不動産相続トラブルになってしまうので、作る場合は遺言に関する法律知識が必要です。何より、自筆証書遺言は手軽に作れる分、一部の遺族が暴走して遺言の内容を書き換えたり、偽造したりする可能性もあります。
その点、公証役場に原本を残す公正証書遺言なら、偽造できないので偽物だと言われる心配はありません。弁護士に相談して、公正証書遺言を作りましょう。
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