売れない土地を相続したときの対処法とは?

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バブル期に購入したが値下がりしてしまった別荘地や、過疎地で買い手のつかない土地など、なかなか売却に繋がらない土地を相続した際、どのように対応したら良いのか悩むでしょう。売るに売れないだけでなく、土地の草刈りなどの管理もかかってしまうもの。ここでは、売れない土地を相続したときの対処法について紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

売れない土地を相続したときの3つの対処法

売れない土地を次の世代まで持ち続けると、子供や孫にも手間をかけさせてしまうことが予想されます。土地の管理費用や相続時の登記費用もかかってしまうためです。相続時に全ての相続人が相続放棄をしても、土地の管理義務はすぐには解消しません。ここでは、売れない土地を相続したときの対処法を3つ紹介していきます。

1.土地の寄付を検討する

市場価格のつかない土地でも、近隣住民にとっては価値を感じることもあります。田舎の土地である場合、都会の相続人にはできない活用方法により、土地に価値を見いだしてくれることもあります。そのため、近隣住民に寄付の申し出をしてみることはひとつの手として考えられるわけです。しかし、近隣の住民に無償で土地を状度した場合は、譲渡を受けた人が贈与税を納める必要がある点を知っておきましょう。

また、防災や環境保護の観点から自治体が寄付を受ける場合もあります。自治体に寄付すると、その土地の管理や活用を自治体が実施してくれるため、相続人としては安心です。

しかし、売れない土地を民間で寄付すると譲渡税の問題もあり、自治体が寄付を受け付けないこともあるため、寄付が難しいケースもあります。過疎化に伴いこうした問題も増えてきたため、国も土地の寄付制度を検討しています。

2.土地を国に納める制度の利用を検討する

売れない土地の相続問題がクローズアップされ、国も土地の寄付制度を設けることを検討しています。相続した土地の登記を怠ることで様々な問題が発生し、売れない土地の権利義務関係をはっきりさせる必要があるためです。売れない土地の管理を怠ると、家屋の崩壊や草木が生い茂る問題が発生。また、権利関係の調製に手間がかかり、再開発や災害復興の弊害になることも懸念されています。

売れない土地を放棄し、国に寄付するための条件は、土壌汚染、埋設物がないことです。土地自体に問題があれば、国も無条件で引き受けることはできません。また、建物が立っておらず、その土地が他人の権利の対象になっていないことも必要です。また、寄付後10年間の管理費を同時に納めることも必要です。

3.地道に売却・活用の機会を探る

売れない土地でも将来的には何らかの用途が見つかり、売却の機会ができる可能性は存在しています。コロナ禍でテレワークが進み、田舎暮らしの需要は高まりました。こうした社会動向の変化によって、時間をかけて地道に売却や活用の機会を探ることも有用です。売却する際には、農地の転用や家屋とのセット販売などを検討することで、より早く買い手が見つかるかもしれません。

また、売れない土地をよく知る地元の不動産会社に相談するなどすれば、売却や活用の可能性も見えてくるでしょう。

売れない土地を相続したときに抱える問題

資産価値のない土地だけを相続放棄することはできません。そのため、相続人の誰かが売れない土地を相続する必要があります。被相続人も相続人に迷惑かけるつもりはなくても、相続人は売れない土地をどうにかしなくてはいけません。ここでは、売れない土地を相続したときに抱える問題についてまとめています。

売れない土地のみを相続放棄できない

相続は、資産と負債をともに承継します。もし相続放棄をするならば、被相続人の遺産を全て放棄することが必要です。そのため、資産価値のあるものだけを相続し、その他を放棄することはできません。そのため、売れない土地のみを放棄し、預貯金など、その他の資産だけを相続の対象にすることはできないわけです。

こうした事情があるため、相続人が複数いれば、誰かが売れない土地を相続する必要が出てきます。しかし、相続人の一人が売れない土地を相続すれば、その一人に将来的に管理費の支払いがかかってしまいます。

このように、売れない土地のみを相続放棄できないため、相続時に大きなトラブルに発展する可能性があります。

全員が相続放棄しても土地の管理義務は残る

資産価値のある遺産がない場合、相続人全員が相続放棄をすることで、売れない土地の管理義務を放棄できると考えるかもしれません。しかし、全ての相続人が相続放棄しても相続財産管理人が売れない土地の管理を始めるまで、相続放棄者が管理を続けることが必要です。

このように、相続放棄をしたとしてもすぐに売れない土地の管理義務から逃れることはできず、相続財産管理人が管理を始めるまでの管理義務を負うことになります。そのため、相続時には、売れない土地の管理まで含めた協議を行う必要があります。

相続登記をしない選択はできない

売れない土地を相続せざるを得ないのなら、せめてお金のかかる登記はしたくないと考える人もいます。しかし、登記の有無は関係なく、売れない土地の相続関係は確定します。そのため、相続人は管理義務を負うことには変わりはなく、相続登記をしなくても、過去の登記記録から相続人を特定できるため、管理義務を回避することはできません。

また、災害時の家屋や土地の権利関係の問題がでることから、国も相続登記の義務化を図っています。2024年をめどに相続登記の義務付けが開始される予定です。

このように、相続登記をしたくなくても土地の管理義務からは逃れることはできません。また、相続登記は家屋や土地の権利の保全だけでなく、義務の特定の意味もでてきており、売れない土地でも登記の必須化が進んでいます。

相続した売れない土地を持ち続けるとどうなる

売れない土地を相続した場合は、相続税を支払う可能性や売却できなければ固定資産税もかかり続けます。

また、売れない土地に草木がある場合は、その維持も負担になります。ここでは、相続した売れない土地を持ち続けることの影響について考えます。

固定資産税がかかり続ける

売れない土地にも固定資産税は発生します。固定資産税は不動産が産み出す収益ではなく、不動産そのものに課税されるためです。建物があれば、土地に対する固定資産税も減額されますが、建物の老朽化対策が発生するでしょう。売れない土地の使用方法が見つからなければ、固定資産税を支払い続ける悩みが増えるだけとなるかもしれません。

価格が下落するおそれ

田舎の土地を所有している場合には、価格は下落のおそれもあります。土地の需要は人口と用途に比例するため、過疎化が進んだ土地の用途の目途がない場合は、その価格も下落するためです。価格が下がり、使用していない土地であれば、経済的負担だけでなく、精神的負担にもなりかねません。

土地の崩落・建物の老朽化の危険がある

売れない土地や建物を放置しておくと、安全性に問題も出ます。仮に所有する土地や不動産の放置による事故が起これば、所有者は損害賠償責任を負います。土地の崩落や建物の老朽化に対する管理責任を所有者があるからです。使用してもいない土地や建物による思わぬ損害賠償請求も想定され、その維持に手を抜けなくなります。税金以外にもメンテナンスの費用が発生してしまうのです。

近隣住人から苦情がくるおそれ

売れない土地や建物は、ゴミの不法投棄の場所にもなりやすいです。ゴミの不法投棄から害虫や害獣が発生し悪臭などの問題に発展すれば、近隣住民からの苦情も発生します。

近隣住民から苦情もでないように、売れない土地の維持管理をすることも必要です。不動産の直接責任のない問題に対応することは、所有者にとって負担が大きくなるでしょう。

まとめ

資産価値のない売れない土地を相続した場合、将来にわたり管理費用を支払い続ける必要があります。草や木の手入れが行き届かない場合は、近隣住民から苦情もくるでしょう。

また、将来的に活用や売却ができなければ、次の世代の負担にもなります。近隣住民に贈与が可能であればよいですが、贈与税の負担は存在します。

このように売れない土地の相続には、将来的な問題がいくつも懸念されています。国に寄付する制度も開始されるなどの予定はありますが、売れない土地の相続には、身内だけで悩むのではなく、土地の処分に詳しい不動産会社や法律家に相談することで光が見えてくることもあるでしょう。

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引用元:東京スカイ法律事務所公式HP
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このサイトは「東京スカイ法律事務所」の田中健太郎弁護士に監修していただいています。同氏は弁護士と行政書士、両方の資格を所持し、弁護士になる前は司法書士として活躍していたという経歴の持ち主。不動産相続に関する豊富な知識と実績を持つ弁護士です。
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