不動産相続の疑問やお悩みについて、徹底解説
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障害年金を受給している場合、親が亡くなった時に財産を相続したことで年金が受給できなくなるのではと、心配になる人もいることでしょう。不動産を相続した場合、相続しただけでは年金の支給が停止されることはありません。支給額もそのままで受給し続けられます。しかし、相続税は課税される可能性があります。その理由と年金支給の仕組み、停止措置になるのはどんな場合なのかを説明いたします。
年金制度において、障害の原因となった傷病につき、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日(以下「初診日」と記載します)の年齢によって、所得額によっては年金の支給が停止となること(以下「所得制限」と記載します)があります。初診日が20歳以降である受給者の場合は、所得制限がないので、受給停止の心配をする必要はありません。
初診日が20歳前の受給者の場合は、後述の通り所得制限があり、もし所得制限を超える収入があると、障害基礎年金の支給停止措置を受けることとなりますが、遺産の相続は所得制限にいうところの収入ではなく、支給停止措置の対象にはなり得ません。
従って初診日が20歳以降である場合でも、20歳前である場合でも、障害基礎年金を受給している方は、不動産を相続したとしても変わらず年金を受給し続けることができます。
20歳前初診の障害基礎年金を受給される方は、本人の保険料の拠出がなく、国庫負担と他の被保険者の保険料でまかなわれているために、ある程度生活にゆとりがあると認められる人には支給停止がなされることとなっています。そのため、20歳前初診の障害基礎年金を受給される方には、不動産を売却するにあたり、所得制限を超えるか否かについて注意が必要です。不動産を相続するだけならば所得制限の算出対象となる所得とは考えられないのですが、相続した不動産が年金受給者本人のものとなり、さらに売却する場合には、得られる売却益の金額によっては、年金支給が停止されることが考えられます。具体的な所得制限の限度額と支給停止措置の内容は以下の通りです。
360万4千円~462万1千円未満(年間総収入):半額が支給停止
462万1千円以上(年間総収入):全額が支給停止
相続による不動産の取得の場合、所得税は課税されませんが、相続税は、障害年金受給者の方でも課税されます。
ただし、相続人が85歳未満の障害者である場合は、相続税の額から一定の金額が差し引かれる、障害者の税額控除の制度(以下「障害者控除」と記載します)が設けられています。この控除額は相続人の状況や年齢により異なりますので、算出される控除額によっては、相続税の納税が必要となる場合があります。
障害者控除が受けられる方(85歳未満の障害者の相続人であることが前提です)は以下の通りです。※
(1) 相続や遺贈で財産を取得した時に日本国内に住所がある人(一時居住者で、かつ、被相続人が一時居住被相続人又は非居住被相続人である場合を除きます。)
(2) 相続や遺贈で財産を取得した時に障害者である人
(3) 相続や遺贈で財産を取得した人が法定相続人(相続の放棄があった場合には、その放棄がなかったものとした場合における相続人)であること。
なお、平成29年3月31日以前の相続開始の場合には、上記(1)の要件は次の通りになります。
(1) 相続や遺贈で財産を取得した時に日本国内に住所がある人
障害者控除の額は、その障害者が満85歳になるまでの年数1年(年数の計算に当たり、1年未満の期間があるときは切り上げて1年として計算します。)につき10万円で計算した額です。特別障害者の場合は1年につき20万円となります。※
例えば相続人が30歳の障害者であった場合、
(85-30(歳))×10=550万円
が控除額となります。
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