不動産相続の疑問やお悩みについて、徹底解説
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遺産である預金が勝手に銀行口座から引き出されたり、不動産の名義人変更が勝手に行われたり……。遺産相続に関して不正行為が行われた場合、多ければ一千万単位~1億単位の遺産が失われてしまうことになります。万が一、そのような事態になったときにはどのようにすればよいのでしょうか?
この記事では、財産の不正な手続きのケースおよび発覚したらやるべきことをご紹介いたします。
「相続開始後に確認したところ、亡き父の預金口座の中身が勝手に引き出されていた」
このようなケースでは、まず、誰が何のためにお金を引き出したのかが重要です。
被相続人以外の人物が勝手に銀行口座からお金を引き出した場合は不正行為となります。
しかし、不正行為をした者に対して裁判を起こし勝訴しても、その時点で不正行為を行った者が財産を持っていなかった場合、お金が戻ってこない可能性が高いです。
そのため、預金がすべて引き出されてしまう前に、速やかに口座を凍結させてしまうべきです。銀行側に相続開始の事実が伝わるまでは口座への入出金は可能ですから、銀行に相続開始の旨を伝えましょう。
「母の遺言が知らない間に書き換えられていた」というようなケースでは、遺言書が書き換えられた状況によって効力の有効、無効が決定します。
まず、第三者が遺言書を勝手に開封し書き換えた場合、書き換え後の遺言は無効です。また、開封した時点で5万円以下の過料が科せられます。
また、公正証書遺言の場合は、公証人がいない状態や証人になる権利のない人物が立ち会って作られた遺言書は無効となります。
このように、遺言書を作成しさえすれば必ず有効であって遺言書の内容が実現されるとは限らないため、遺言書としての効力が認められるかどうかの要件を明らかにしましょう。
なお、母親が自筆で書いた遺言書で、第三者への遺贈が記載されているケースでも、遺留分により一定の相続人には一定の財産を相続する権利が与えられます。例えば、被相続人である母親と血縁関係のない友人に財産をすべて遺贈するなどの内容が書かれていた場合でも、被相続人の子には遺留分が認められます。
遺言書の内容に納得のいかないときは、遺留分減殺請求権を主張する方法が考えられます。
「祖父母が住んでいた一軒家が知らない間に登記の名義が変更されていた」
このようなケースは印鑑証明書と権利書を第三者に盗難・偽造された、もしくは何らかの事情で渡してしまった場合に起きると考えられます。権利書がない場合でも、司法書士が作成した本人確認情報があれば不動産の登記名義の変更を行うことができてしまいます。
登記名義が変更されれば、第三者に不動産を売却されてしまう恐れがあります。そうなる前に、裁判所に対して「処分禁止の仮処分」を申し立てましょう。申し立てには印鑑証明書や権利書を盗難・偽造された事実、もしくは勝手に名義変更された事実を立証する必要があります。
実際に不動産が売却された上で登記がされてしまった後では、問題を解決することが難しくなります。早急に弁護士に相談することをおすすめします。
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