遺産分割協議書の記載事項を守らない相続人について

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このページでは、複数の相続人で不動産などを相続する場合に重要となる遺産分割協議書に関して、協議書の合意事項を守らない相続人への対処法を解説しています。

遺産分割協議書は相続人の合意の証拠

遺産分割協議書とは?

遺産分割協議書とは、遺産について複数の相続人の間でどのように分割・分配するのか、全員の合意にもとづいて作成される文書であり、原則として遺産の配分は遺産分割協議書の内容に従って実行されます。

遺産分割協議書はトラブル回避の手段

例えば、現金に加えて不動産など単純に分配できない財産を複数の相続人で相続する場合、全ての相続人で遺産分割協議を行い、その結果、誰かが住宅を相続する代わりに相当額の現金は残りの相続人で分配するといった場合もあるでしょう。

このように、遺産分割協議は相続人がそれぞれ納得した上で遺産相続へ進むための合意形成の場であり、遺産分割協議書はその合意内容をまとめた文書です。

つまり、最初にきちんと遺産分割協議書を作成しておけば、後々の遺産問題や相続争いを回避できるようになります。

遺産分割協議書を無視する相続人がいる場合は?

遺産分割協議書の内容を守らないということは、相続人の合意を無視するということであり、直ちに対処すべき状態です。

守られない遺産分割協議書は撤回できるのか?

遺産分割協議書は簡単に白紙へ戻せない

相続人のうち、誰か1人が遺産分割協議書で定められている義務を履行しなかったとしても、過去の判例では「遺産分割協議書そのものは白紙にできない」という裁判所の判断がなされています。

主な理由は以下の2点です。

※参照元:裁判所|裁判例結果詳細「最高裁判所第一小法廷平成元年2月9日判決 事件番号昭和59(オ)717」(https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52192)

裁判によっては遺産分割協議書の書き換えも認めている?

原則として遺産分割協議書の破棄や再作成は認められないと考えられていますが、裁判所の判断によっては、遺産分割協議書の全部または一部に関して、相続人全員の合意によって解除した上で、改めて協議することが可能という判例もあります。

ただし、最初に作成された遺産分割協議書の内容を守らない時点で、その相続人と他の相続人との間には大きな溝が生まれていると考えられ、再協議によって合意に至ることは困難といえるでしょう。

※参照元:裁判所|裁判例結果詳細「最高裁判所第一小法廷平成2年9月27日判決 事件番号昭和63(オ)115」(https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52749)

遺産分割協議書は重要な証拠

遺産分割協議書の内容を白紙に戻したり、改めて全ての相続人でつつがなく合意を得られたりできないのであれば、相続人がすべきことは、協議内容を守らない相続人に対して義務の履行を求めることです。その上で、遺産分割協議書は重要な証拠や根拠となります。

遺産分割協議書の内容を守らない相続人への対処法

話し合いが難しければ迷わず弁護士へ相談

遺産分割協議書の内容を無視する相続人がいた場合、まずは当事者間で話し合って解決を目指します。しかし、すでにその時点で問題は発生しており、スムーズに合意を得られないことも多いでしょう。

また、法律と遺産分割協議書の内容にもとづいて相続人へ義務を履行させようと思えば、場合によっては訴訟問題へ発展します。そのため、当事者間での解決が難しそうであれば、なるべく速やかに弁護士へ相談して一緒に対策を考えてもらうことが大切です。

家庭裁判所への調停の申し立て(遺産分割後の紛争調整の調停)

調停とは、裁判所によって結果を決められる裁判でなく、あくまでも裁判所が間に入って当事者同士に話し合いの場を設ける制度です。つまり、この時点ではまだ話し合いの延長といえます。

しかし相手方が調停の場に現れない場合、結果も不調となります。

訴訟を提起する

調停が不調に終われば、改めて遺産分割協議書の内容を守らない相続人に対して、義務の履行を求める訴訟を提起するという流れになるでしょう。

なお、訴訟を提起したことで相手が心変わりし、和解を申し出てくるかも知れません。それでも解決できなければ、双方の言い分を主張した上で、裁判所の判決を待つことになります。この場合も、遺産分割協議書は重要な証拠となります。

可能であれば遺産分割協議書の作成前から弁護士へ相談

遺産分割協議書を守らない相続人がいると、それだけで大きなリスクです。そのため、そもそも遺産分割協議書を作成する前から適切な文言を組み込めるよう、あらかじめ弁護士へ相談しておくといったリスク管理も手段のひとつです。

遺産分割協議書の内容を守らない相続人へ対処するよりも、前段階から対処しておく方が有効であると覚えておいてください。

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このページの監修
東京スカイ法律事務所

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引用元:東京スカイ法律事務所公式HP
(https://www.tsky.jp/)

このサイトは「東京スカイ法律事務所」の田中健太郎弁護士に監修していただいています。同氏は弁護士と行政書士、両方の資格を所持し、弁護士になる前は司法書士として活躍していたという経歴の持ち主。不動産相続に関する豊富な知識と実績を持つ弁護士です。
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