不動産相続の疑問やお悩みについて、徹底解説
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このページでは、不動産相続において相続税の還付が発生するケースと、その際に必要となる手続きなどについてまとめていますので、ぜひ参考にしてください。
必要以上に支払った相続税について、国から過払い分を返還してもらう手続きや制度のことです。
不動産相続において相続税を支払う場合、税理士へ依頼して申告しているケースが一般的とされていますが、条件によっては相続税の還付対象になることもあり、まずは相続税還付の仕組みや対象基準を把握しておくことが大切です。
相続税の税率や還付の仕組みといった内容は税法によって定められており、税法が改正されることで基準や条件が変更されることもあります。そのため、実際には税理士などへ相談し、あくまでも現時点で最新の内容を把握するように努めてください。
※このページでは2021年7月時点での情報にもとづいて内容を記載しています。
相続税とは、相続する不動産や現金などの財産の価値に対して課税される税金であり、現金であれば金額に対して、不動産であれば不動産の価値に対してそれぞれ課税されます。そのため、現金であれば計算がシンプルですが、不動産相続の場合はまず物件や土地の評価によって財産の価値を決定することから始めなければなりません。
また、相続税の課税対象となる相続財産の内容や金額が決まれば、それに応じて国へ必要な額を納税します。
一般的に、相続財産の算出や申告は税理士へ依頼して行いますが、相続人も納税者として税理士から求められる書類や資料の作成・提供に協力することが必要です。
相続税は国税の1つであり、納付先も還付の請求先も確定申告を行う税務署になります。
もしも相続税を払いすぎていると考えられる場合、税務署へ相続税の還付申請を行います。この手続きは「更正の請求」と呼ばれ、申し立てを受けた税務署はその内容について正否を判断します。
税務署が相続税の過払いを認めれば、続いて還付の手続きに進みます。なお、税務署が還付について認めなかった場合、改めて不服申し立てをして再確認を求めることも可能です。
相続税の還付を行うためには、あらかじめ定められている期限内に申請を行わなければなりません。
さて、相続税の還付期限は「相続税の申告期限から5年以内」と定められています。また、相続税の申告期限は、不動産の所有者であった被相続人の死後10ヶ月以内となっています。
そのため、あくまでも被相続人の死亡時点を基準として考えた場合、相続税の還付申告期限は「5年10ヶ月」ということになるでしょう。
なお、還付期限を過ぎてから相続税の更正の請求を行っても認められないため、相続した不動産の相続税をすでに支払っている人も、改めてその内容を確認することをおすすめします。
相続税の還付金額は、そもそも納めている相続税や対象となっている財産や不動産によって異なります。ただし、国税庁が発表している統計データを確認すると、令和元年の相続税に関して還付金額が「2,296×百万円(相続人の数643人)」となっており、相当数の人が還付金を受け取っているということも事実です。
税のプロフェッショナルである税理士へ相談して支払っている相続税ですが、現実には還付金が発生しているケースも少なくありません。そのため、税理士へ任せていたからミスや還付などあるはずがないという思い込みは危険だといえるでしょう。
税金のプロである税理士が、税法にもとづいて計算して確認しているはずの相続税において、どうして過払いや間違いが発生するのでしょうか。その理由としては、土地の評価額の算定ミスなどが挙げられます。
相続税は相続財産の価値に対して課税されます。そのため、例えば土地を相続した場合、まずは土地の価値を現金に換算するとどの程度かという「土地評価」を適性に行わなければなりません。そして不動産相続においては土地評価も含めて税理士へ相談することが通常です。
しかし、土地の評価については不動産に関する多角的な知識と検証が必要であり、税金のプロである税理士だからといって、必ずしも土地評価を100%正確に行えるとは限りません。特に、土地評価の基準となる規定「財産評価基本通達」をきちんと把握していない税理士に依頼したような場合、適正な土地評価が行われずに相続税の課税対象額についても間違いが生じる可能性が高まります。
極論すれば、相談する税理士によって同じ土地でも評価額が変わってしまうこともあるということです。加えて、相続税の算定ミスによって追徴課税などのリスクを避けるため、最初からやや高めの土地代として評価する税理士も少なくありません。
個人の確定申告や企業の税務の代行などは、毎年必ず発生する作業のため、税理士もそれなりに経験を積みやすくなっています。しかし、相続税に関する取り扱いはその特性上どうしても数が限られてしまうため、税理士によっては相続税について実務経験が不足していることもあります。
当然ながら相続税に関する経験が乏しい税理士の場合、改めて勉強しながらの作業となるため、どうしてもミスが発生しやすくなるわけです。
税務署は、支払われるべき税金の額が少なかった場合、納税者に関して税務調査を行ったり支払いを命じる通知を送ったりします。しかし、必要以上の税金が支払われていたとしても、税務署が親切にその事実や過払い金の額を納税者へ通達してくれることはありません。
日本の納税に関しては申告制度が採用されており、どの程度の課税対象で、いくらの金額を納税するのか、納税者やその代理人が自ら申告するといったルールになっています。
つまり、過払い金が発生しても、その責任は過剰な金額を申告した納税者や税理士にあるため、国や税務署を責めることはできないのです。
土地の面積が広大になると、その評価方法も複数の観点が関与するため、適正な評価額の検討も難しくなります。特に1,500㎡を超えるような土地の場合、使用状況や用途によって大きく土地評価額が変更されることもあり、経験豊富な税理士へ依頼することが重要です。
土地の評価は、土地そのものだけに注目せず、周辺環境についても確認しなければなりません。例えば周辺に工場があったり騒音施設があったり、また墓地やし尿処理上といった施設があるような場合、土地の評価額は同じ面積で他の場所にある土地よりも下がってしまう傾向にあります。
つまり、土地評価では単なる図面を見るのでなく、あくまでも周辺環境を含めた全体を総合的に考慮することが重要です。
土地の形がおかしかったり、道路への開口部が狭かったりすると、土地を活用しようとしても制限が増えることになります。そのため、仮に面積が広くても、土地の形状や場所に問題があれば評価額も下がることが通常です。また、同様の理由で土地に高低差があるような場合も評価方法は難しくなります。
土地の形状や環境に合わせた評価は、不動産について専門知識を持っているスペシャリストでなければ難しく、経験の足りない税理士では難しいと言わざるを得ません。
空き地でなく駐車場として利用されているような土地や、すでに公共施設や商業施設が建設されているような土地、あるいは田畑や山林として登録されているような土地など、用途によっても評価の基準や方法は異なります。また、今後の開発計画などによっても変動するケースもあるでしょう。
土地評価においては、現時点の用途や将来的な点まで考慮して判断することが重要です。
すでに相続税を支払っている場合でも、これから土地評価を行う場合でも、適切な経験や知識を有している税理士や専門家へ相談することは大切です。
信頼できる税理士を探す際のポイントとしては、過去の実績はもちろん、不動産鑑定士の資格の有無や、また連携する不動産鑑定士や専門業者がいるかどうかなど様々なものがあります。
相続税の還付については成功報酬型の料金設定を採用している税理士も多いため、まずは信頼できそうな税理士や弁護士を見つけた上で、そもそも還付金が発生しそうかどうかだけでも早めに相談してみることをおすすめします。
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