不動産は相続前に売るべき?売らないほうが良い?

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相続にあたって不動産は売る方が良いのでしょうか?それとも売らずに不動産として相続させるのが良いのでしょうか?もしも、相続人が一人である場合や、相続した不動産に相続人が住むことが決まっている場合は特に心配はありません。

しかし、法定相続人が多い場合や、相続した不動産を売却することを考えている場合は、相続が決まる前にしっかりと検討しておかなければならない問題だと言えるでしょう。ここでは、相続前に不動産を売却してしまう場合と不動産のまま相続させる場合のそれぞれのメリット・デメリット、注意点について説明しています。

相続に合わせて不動産を売却するのは容易なことではありません。

相続前に不動産を売る場合

相続前に不動産を売る場合、どのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。ここでは、売るべきかどうかを判断するためのメリット・デメリットを説明します。

メリット

売却するメリットは、財産を均等に相続させられることです。相続を複数人に行うケースに例えるとします。例えば、子供が3人おり、1000万円のお金と不動産の相続がある場合、3人に対して形のある不動産を均等に遺産を分配するのは難しいことが多いです。

しかし、不動産を売却して資金化してしまえば、均等に分配することができます。特に遺産相続の場合は、相続人それぞれの相続額に差が生まれやすく、不要ないざこざを招きやすいため、所有している不動産物件に誰も住んでいない場合は処分してお金に戻すことで分配しやすくすることがあります。

デメリット

不動産を売却する場合、どうしても税金が発生することです。相続目的であれ何であれ、不動産を売却する場合はお金が所得として入るため、その年の所得税としてカウントされます。売却せずに不動産を相続した場合にも相続税がかかるので、最終的な相続額の総額をしっかりと比べた上で、相続前に不動産を売却すべきかどうかを検討する必要があるのです。

相続前に不動産を売らない場合

相続人が複数いない、あるいは複数いても相続額に偏りがあっても問題ないという方は不動産を売らないケースもあります。ここでは、相続前に不動産を売るメリットとデメリットを説明します。

メリット

相続前に不動産を売らない場合のメリットは税金対策になることです。

多額の資産を相続する場合、相続税が発生し、相続した方が税金を納める必要があります。しかし、「相続税の申告期限である相続開始から10か月後の翌日から3年以内」に相続した不動産を売却した場合、不動産に対して支払った相続税分を取得費とみなし、課税対象の譲渡益から取得費を差し引くことができます。課税対象額が減り、税金を減らすことができるのです。

また、一般的に不動産を相続した場合の方が相続税は低くなります。というのも、相続前に売却して現金化した場合は、売却時点での不動産の評価が反映されて現金に対して税金が課せられます。しかし、不動産の場合はその時点の価値ではなく、土地の路線価と建物の固定資産税評価額で不動産全体の価値を決めるため、売却時の現金よりも少額となる傾向にあり、課税額も少額となるのです。

不動産を売却するにはそれなりの労力もかかりますし、不動産会社に任せる場合には手数料が発生します。手元に残る現金はいくらか目減りしたものになるわけです。それが相続時に更に課税された後、相続人へ渡る金額は想定よりも減ってしまうことを忘れないでください。

デメリット

相続前に不動産を売却しない場合、相続時に均等に相続されない可能性が出てきます。また、相続されるものの割合によって、現金の相続額に違いが出てくると相続人同士での揉めごとに発展するケースもあるため、注意が必要です。

また、不動産自体にあまり価値がなく、むしろ手のかかる物件であるケースもあります。せっかく価値のあるものを相続させる機会であるのに、長年放置してしまっている土地や建物は年間の維持費などがかかることも。相続人にかえって迷惑をかけてしまうということもあるので、価値があるのかどうかの判断も含めて不動産を売却する方も少なくありません。

不動産を相続した場合の注意点

不動産を相続する場合にはいくつか注意しておくべき点があります。

不動産の売却のタイミングで課税率が変化

売却時の所有年数によって課税率が大きく変わる不動産。所有期間が5年を超えている場合は「長期譲渡所得」、5年以下の場合は「短期譲渡所得」となります。譲渡した年の1月1日時点での所有期間を見るので、こちらも注意が必要です。

所有期間は故人からの引継ぎとなりますが、所有年数が浅く短期譲渡所得となる場合は、数年待ってからの売却の方が税金を抑えられる可能性があります。

売却には時間がかかる

相続した不動産の売却にはある程度の時間がかかることを意識しておく必要があります。すぐに売って現金化してしまいたいからといって、焦ってしまうと足元を見られて売却価格が低い状態での売却となることも。売却はタイミングを見極めることで、適正な価格での売却が可能となります。

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このページの監修
東京スカイ法律事務所

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引用元:東京スカイ法律事務所公式HP
(https://www.tsky.jp/)

このサイトは「東京スカイ法律事務所」の田中健太郎弁護士に監修していただいています。同氏は弁護士と行政書士、両方の資格を所持し、弁護士になる前は司法書士として活躍していたという経歴の持ち主。不動産相続に関する豊富な知識と実績を持つ弁護士です。
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