不動産相続の疑問やお悩みについて、徹底解説
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生活保護受給者が不動産を相続できないということはありません。また、不動産を相続した場合でも、生活保護の受給が必ず受けられなくなるわけではありません。
一定の要件を満たせば、不動産を相続し、生活保護を引き続き受給することができる場合があります。誤った認識から、利用可能な財産の相続を放棄することのないよう、ご注意ください。
生活保護の受給者が不動産を相続した場合、一定の要件を満たしていれば、保護対象として引き続き生活保護を受給することができます。生活保護法第4条には次のように保護の補足性が定められています。
「保護は、生活に困窮する者が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することを要件として行われる」
この「最低限度の生活の維持」のために、相続した不動産に居住する必要がある場合は、不動産の処分価値が利用価値に比して著しく大きいと認められる場合を除き、原則として売却等の処分までは求められず、不動産を保有したまま生活保護を受給することができます。他方、不動産を処分した場合に得られる金額が大きい場合や居住用でない不動産である場合、当該不動産は「最低限度の生活の維持」のためには必要ないと考えられ、不動産を処分するよう指導される可能性があります。
所有している資産を活用することは、生活保護を受けるための条件であるため、売却することは生活保護費の受給者としてふさわしい行動となります。そして、売却益が出たら、速やかに支給された保護費相当額を返還する必要があります。
なお、生活保護受給者の場合、申請することで固定資産税の減免が受けられる可能性があります。この減免は納税者の側からの申請に基づいてなされますので、市役所等へ減免の申請をしておかなければなりません。
生活保護法第26条によれば、被保護者が保護を必要としなくなったときは、保護の停止又は廃止が決定されることになります。不動産の相続などで臨時収入があった場合、その臨時収入の額により、保護を要しないであろう期間が概ね6か月以内であれば生活保護の停止がされ、それを超えると廃止されるという運用がされています。
臨時収入によって生活保護が停止される場合、臨時収入をしばらくは生活費として充当し、その臨時収入がなくなったら再び生活保護を受給できるようになるということです。現状の生活保護受給額と相続する不動産の価値により、停止や廃止の措置が決定されます。
生活保護の受給に関しては、利用しうる資産があれば、その資産を処分して生活に活用することが原則的な考え方です。この点、相続の放棄は身分行為であって、他人の意思によって強制すべきではないため、資産活用として問題はありません。他方、遺産分割協議は財産権を目的とする法律行為ですので、遺産分割協議によって受ける財産を法定相続分よりも少なくするような場合、資産活用として問題視される恐れがあります。
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