不動産相続の疑問やお悩みについて、徹底解説
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こちらのページでは、遺言が実行されない場合に起きる不動産相続トラブルと、その対処方法について解説していきます。
遺言があっても、遺言が正しく実行されるとは限りません。不動産相続では、遺言が実行されないことによってトラブルが起きることも珍しくないのです。まずは、どのような場合に遺言が実行されないトラブルが起きてしまうのかを押さえていきましょう。
自筆証書遺言は、紙とペンさえあればいつでも手軽に正式な遺言状を作成できる手段です。ただ、自筆証書遺言は本人が思い立ったとき好きに作れるものなので、遺言書の保管場所を伝え忘れていれば、遺言通りに不動産相続が実行されないというトラブルが起きてしまいます。
また、自筆証書遺言は、公正証書遺言のように公証役場へ原本を置いておくわけではありません。遺言を見つけた人が遺言書を隠したり処分したりした場合、遺言の内容は失われてしまいます。
遺産を相続したり処分したりするためには、相続人全員の同意が必要です。ただ、誰が遺産の分配や実行をするのか決めていないと、不動産の売却ひとつとっても誰が実際に手続きをするのか、どこに売るのかなどで話し合いが長引いてしまいます。そのため、遺言を作成する場合は、遺言の各種手続きを担当する遺言執行者を決めておく必要があるのです。
遺言の中で遺言執行者を決めていなかったり、一部の相続人に説得されて勝手に遺言とは違う相続をしたりする遺言執行者を選んだりしてしまうと、不動産相続トラブルになるでしょう。相続がはじまってから家庭裁判所に請求して遺言執行者を決めてもらうことはできるものの、時間がかかるためあまりおすすめはできません。
遺言があっても、遺言の内容に不備があると不動産相続になりやすいので要注意です。例えば、遺言の内容に不動産のことだけ記載してあり、故人の銀行口座に関する記載がない場合、凍結された預金を引き出すために相続人全員の同意が求められます。また、遺言書に財産の内訳を記入していないと、口座が凍結される前に、キャッシュカードの暗証番号を知っている人がお金を引き出してしまうリスクもあるのです。相続の割合等で話がこじれると、遺言通りの相続は実行されません。
続いて、遺言が実行されない場合のトラブル事例を見ていきましょう。
Aさんは、父子家庭で育った二人姉妹の長女です。ただ、姉妹仲はお世辞にもよいとは言えず、つきっきりで介護をしていた父親が亡くなるまで妹とは完全に没交渉。懸命に介護をしたAさんは、父親の遺言で財産の8割を受け取る予定でした。
しかし、Aさんの妹は法定相続分通りの遺産を欲しがり、あの手この手で遺産分割の手続きを妨害してきます。遺言執行者を決めておらず、妹の同意がないと遺言が実行されない状態だったので、相続税の納税期限までにトラブルを解決できませんでした。結局、遺言による相続額の比率が高いAさんは自身の貯金で納税できなかったため、妹に譲歩した条件で遺産分割をまとめることになったのです。
Bさんは、亡くなった母親から口頭で家を譲ると伝えられていたため、不動産を相続しています。書面にはしていませんが、弟も家の所有権をBさんが持つことを承諾しており、しばらく売却する予定もないので相続登記をせずに放置していました。しかし、あるとき急に弟が亡くなり、弟の配偶者と甥っ子が不動産の相続を要求してきたのです。遺言書や遺産分割協議書を作っていなかったばかりに、Bさんは不動産の名義の一部を甥っ子へ引き渡すことになりました。
遺言が実行されないことが原因で起きる不動産相続トラブルは、不備のない公正証書遺言の作成で対処可能です。また、遺言執行者を弁護士に指定しておけば、遺言の内容に不満のある相続人への対処も任せられます。相続トラブルを防ぐためにも、遺言書を作るときは弁護士に相談してください。
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