遺言書の指定もなく、他の相続人に無断で不動産の名義を兄単独のものに登記された

こちらのページでは、相続する不動産を、相続人の1人に勝手に登記されてしまった場合の対処方法について、解説していきます。

遺言書による指定もないのに、遺産分割協議を経ずに、
相続不動産の登記名義を他の相続人に無断で単独名義に変更した場合

不動産を相続する機会は、そうそう頻繁にあるというものではありません。それゆえに、知識や経験もなく、どのように物事が進むか分からないまま、気がついたら、とんでもない事態になっていたということは、往々にして起こりえます。ましてや、遺産相続というのは、人間の欲や利権に直接絡んでくるものです。信頼していた人間が、背信行為を行うということも、決して珍しくはありません。ケーススタディとして、以下の事例をご紹介します。

Q. 親から相続するはずの不動産を、兄が他の相続人に無断で兄の単独名義で登記していました。どうすればいいでしょうか?

A.遺産分割協議を行わずに、相続人全員の同意なく行われた不動産登記は、無効です。遺産分割協議をし、その結果を反映するよう登記手続きをやり直す必要があります。

相続人が複数いる場合で、遺言による遺産分割方法の定めがなく、特定の相続人以外の相続人が相続放棄したという事情もない場合に、遺産を特定の相続人に集中させるには、相続人全員が出席した遺産分割協議にて、全員が内容に同意して、遺産分割協議書に署名・押印する方法が考えられます。その過程を経ずに、いつの間にか兄が、不動産の登記名義を他の相続人に無断で自己の名義に変更していた…通常では不可能なことです。考えられることは、この兄が何らかの方法で、相談者(他の相続人がいる場合はその方々のものも含め)の実印を無断で使用し、遺産分割協議書を偽造した可能性が高いということです。

もちろんそのような方法で行われた不動産登記は無効で、遺産分割協議を行うべきです。

ただし、上記のような事例でも、あくまで相談者に法律上認められるのは法定相続分までであり、兄が有する法定相続分についての権利を失わせることはできません。

過去の事例として、被相続人である親から、相続人の2人の子(兄と妹)が相続する土地を、兄が妹に無断で単独名義に登記を変更した上で第三者に売却してしまったところ、妹の訴えにより、土地全体の売却は無効とされたものの、すべてが妹に戻ったわけではなく、土地の1/2が妹、残りはこの土地を購入した第三者に改めて売却されたという事例が残っています。

しかしながら、もしこのような経緯があっても、その土地を購入した第三者が当該土地を自己物として継続して20年間占有すれば、取得時効というものが成立し、土地全体の所有権を第三者が取得してしまう恐れがあります。

いずれにせよ、相続人だけでこうした問題を解決することは困難です。弁護士に相談することが望ましいと言えます。

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