不動産相続の疑問やお悩みについて、徹底解説
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遺産相続というのは、非常に煩雑な手続きが必要となってきます。特に相続人が複数いる場合、明確な形で話し合いをしていかなければ、遺産分割で無用なもめ事が起こりかねません。
ただ、場合によっては未成年の相続人がいる、というケースもあるでしょう。
このページでは、未成年の相続人がいる場合にどんな問題があり、どんな手続きを踏めばいいかについて、ある程度まとめて紹介しています。もしもの場合を考えて、目を通しておくことに損はないでしょう。
通常、相続人が2人以上いる場合には遺産分割協議を行います。
しかし、遺産分割は法律行為であり、未成年者は法律行為を行えないことから、遺産分割行儀には参加できないということになります。したがって、未成年の相続人は法定代理人を立て、協議に参加することになります。
ただ、一般のケースだと未成年者の法定代理人になるのは親権者が多いのですが、遺産分割協議の場合だと親権者も遺産相続の当事者となるケースが多くなります。
そうなると、利益相反行為に該当してくることになるので、法定代理人としては認められません。
そのため、未成年者は家庭裁判所に対して特別代理人の申し立てを行う必要が出てきます。客観的な立場から権利を主張していく特別代理人は、相続人ではない親族が選ばれるケースが一般的ですが、司法書士など、相続の専門家が選ばれることもあります。
近所の人や知人などに頼むこともできますが、遺産分割、相続内容を知られることになるので、新たなトラブルの火種にならないとも限りません。そうしたリスクは、できるだけ排除しておくべきでしょう。
特別代理人の申し立ては、未成年者の住所地を管轄する家庭裁判所に対して行います。特別代理人候補者の住所地ではないので、注意してください。また、必要な書類は以下の通りとなります。
■特別代理人の選任申立てに必要な書類一覧
これらの書類をそろえて家庭裁判所に提出、特別代理人の選任が認められると「特別代理人選任審判書」という証明書をもらえます。これを見せることで、特別代理人として正式に認められた証明となります。
遺産分割において最も大事なのは、遺産分割協議書(案)の作成となります。この書類の内容で実際の相続内容が決まるからです。この遺産分割協議書(案)は、家庭裁判所に対して特別代理人選任申立てを行う際に同時に提出します。
家庭裁判所ではこの案について内容を吟味し、特別代理人の選任を受理をするかを判断します。特別代理人が誰かについては、書類さえそろっていれば基本的には認定されるため、それほど重要なポイントとはなっていません。
遺産分割協議書を作るにあたり、家庭裁判所は未成年者の権利を奪うような内容であることをよしとしません。たとえ未成年であったとしても、最低限の相続はなされるべき、という考え方によるものです。
その上で、遺産の中に不動産がある場合は、その名義を誰にするのかが大きなポイントとなります。
通常は親権者に名義が変わるのですが、その場合は形式上でも未成年者の権利を奪うことになるため、家庭裁判所に対しては親権者に名義変更を行う正当かつ合理的な理由を示さなければいけなくなります。そこが曖昧なままであれば、家庭裁判所からの異議が入るでしょう。
そのため、書類についても適切な形で作成をしていく必要があります。
また、未成年者が土地に関しても権利を主張していくのであれば、特定代理人と密に話し合った上で方針を定めていく必要があるでしょう。
なお、遺産相続というと一定の財産を引き継ぐイメージを持たれるかもしれませんが、中には負の遺産、すなわち負債などを引き継ぐというケースもあり得ます。
すべてをトータルで見た上で相続をしないとするのであれば、相続放棄を行う必要が出てきます。その場合も、未成年であれば特別代理人を立てる必要が出てきますので、注意してください。
特別代理人ですが、親族や知人などに依頼をするのは、やはり後々のトラブルになりかねません。
将来に向けての禍根を残さないためにも、報酬を支払って弁護士などの専門家に依頼をするのが確実です。
専門家であれば、法的な目線から将来的なトラブルの芽を摘みながら遺産分割協議を進めていくことができますし、慣れない法的手続きのサポートも受けられます。
専門家の力を借りて、滞りなく手続きを進めていくことは、相続人全体にとっても望ましいことであると言えるでしょう。まずは近隣の専門家を探し、相談してみることをおすすめします。
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