押さえておきたい!不動産相続の流れ

本ページでは、不動産相続の手続きの進め方や、期限が定められている事柄への注意すべきポイントなどを取りまとめてご紹介していきます。

知っておきたい、不動産相続の手続きや期限

親御さんやご兄弟、あるいはお子さん…身内の方が亡くなるというのは大きな精神的ダメージを受けるものですが、いつまでも悲しんでばかりはいられません。

とりわけ不動産相続に関しては、想像しているよりもはるかに膨大かつ煩雑な手続きを行わなくてはなりません。

ここでは時系列に沿って、やらなければならないことを確認していきましょう。

相続の開始

まず被相続人が死去した場合、自動引落されている公共料金、税金、ローン会社などへ直ちに連絡し、健康保険や年金に関する手続きを行います。また銀行口座は、名義人死去を銀行が知った時点で凍結され預金や出金ができなくなります。銀行口座の解約には、相続人全員の自筆署名や実印の押印などによる手続きが必要になります。なお、これらの手続を行うと、相続を承認したものとみなされ、相続放棄ができなくなる恐れがありますので、ご注意ください。

遺言書があるかどうか確認

公正証書遺言ならば公証役場にて確認できるので問題はありませんし、家庭裁判所の検認も不要です。他方、自筆証書遺言などの場合は、遺言書がどこにあるか、金庫、机、額縁の裏などしっかりと探す必要があります。加えて、自筆証書遺言が封印されている場合には家庭裁判所の検認を受けなければならず、独断で開封することは過料の対象になります。

相続人の調査・確定

法定相続人が誰と誰になるのか、忘れている相続人はいないかなどを、戸籍の確認まで行った上で調査・確定しなければなりません。当事者だけでは難しい場合は、弁護士や司法書士などの助けを借りましょう。

また、法定相続人となる方の中で、未成年者や重度の認知症患者などがいる場合は、相続に関する手続きにあたり、家庭裁判所にて後見人等の選任手続きが必要です。

相続財産・債務の調査

死去された方(被相続人)の名義だった不動産物件の評価額や、現金などの財産、債務の有無とその額を調査します。もしも、債務が多く相続放棄や限定承認をする場合は、原則として、自己のために相続の開始があったことを知ったときから3ヶ月以内に手続きが必要ですので、調査は早めに行うべきです。

ただし、調査が困難・難航するような場合は家庭裁判所に手続期限の伸長を申し出ることも可能です。

所得税・消費税の申告(準確定申告)・納税

被相続人が個人事業主であった場合、相続開始から4ヶ月以内に、被相続人が生前に得ていた所得に対する所得税ならびに消費税の納税作業を行います。ただ、被相続人が一般的なサラリーマンであれば、勤務先による年末調整により、準確定申告は不要となる場合が多いといえます。なお、準確定申告を行う場合にも、相続人全員の署名等が必要となります。慌てないよう時間に余裕を持って対応するとよいでしょう。

遺産分割協議書の作成

遺言書の内容や財産・債務の調査、法定相続割合などを踏まえ、遺産分割協議にのぞみます。その際は単純な遺産の総額だけでなく、相続税や所得税、消費税なども考慮すべきです。

相続人全員が合意したら、その内容を遺産分割協議書にまとめて全員で署名・実印による捺印を行います。

不動産の名義変更(相続登記)の必要書類

遺産分割協議の内容に応じて、不動産の所定の登記申請書に加え、各種の必要書類も添付する必要があります。遺産分割協議を経て相続登記をする場合は、遺産分割協議書も必要となり、相続人全員が実印で捺印して相続人全員分の印鑑証明書も添付します。

その他にも、不動産を相続する相続人の住民票や固定資産評価証明書なども必要になります。ご自分で行うことも可能ですが、かなりの手間暇がかかりますので、弁護士や司法書士のサポートを受けることが賢明です。

相続税申告・納税

基本的には被相続人の死去を知った日から10ヶ月以内に行わなければなりません。手続きは、相続不動産や財産の範囲、評価額などが分かる資料を揃え、税務調査を受けた上で、相続税の申告、納税を行います。

なお、相続税を一度で払えないという場合には、数年にわけて納税する「延納」や、不動産等の物で納税する「物納」の申請も行うことができます。

以上の通り、不動産相続には、多くの手続き伴います。すべてを当事者だけで行うことも決して不可能ではありませんが、専門家の助けを借りた方がスムーズに行えるはずです。信頼できる弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。

そもそも不動産ってなに?

そもそも、不動産とは一体何を指すのでしょうか?

また、万が一不動産を相続することになった場合は何をすればよいのでしょうか?

不動産とは「動かせないもの」のことを指す

不動産を一文字ずつ読んでいくと、「動かせないもの」であるように読めます。この捉え方は、あながち間違ってはいません。

実際に民法の第86条からは以下のような意義が読み取れます。

「不動産とは、土地及びその定着物。その他の物は動産とする」

ここでいう土地は、単に土の表面だけを指しているのではなく、法令の規定により区画された地下や地上まで含まれています。

また、この場合の定着物というのは、建物(住宅)や木、植物、庭石など動かすことができないものを指します。

相続登記が困難な不動産は意外に多い

先祖代々承継してきた土地建物の登記名義の変更が行われないまま放置されていた場合、新たに登記名義を変更をするための書類が揃えることが困難になる可能性があります。

 

例えば、以下のようなケースです。

Aさんは、父親が他界したことで相続した、父親が所有していた実家の土地を売却することにしました。その土地は、Aさんの父親が祖父から相続した土地で、仮に、実家の土地の名義がAさんの祖父名義になっていたとします。

この場合、Aさん自身へ登記名義の変更を行わなければ実家を売却することはできません。

Aさんの土地として登記名義の変更を行うためには、もともと土地を所有していた祖父の相続人を確認する必要があり、祖父を相続したすべての親族から、Aさんの父親が実家の土地を取得したことについて了解してもらい、遺産分割協議書を作成の上、印鑑証明書をもらう必要があります。この場合、複数の相続を経ることで、数十名単位で祖父の遺産を相続した相続人が存在している可能性もあり、個人で手続きを行うのは非常に骨の折れる作業といえるでしょう。

相続時に確実に登記名義を変更することが重要

上記の例のように相続登記が困難となる事態を防ぐためには、どのような対策を行えばよいのでしょうか?

不動産の所有者が亡くなったタイミングで、必ず被相続人から相続人へ、登記名義の変更を行うことが重要です。

さらに、名義人となった相続人が死亡した際、その名義人を相続する相続人においても名義変更を適時に行えば、今回の例のような事態は防げる可能性が高くなります。

代々相続登記がなされていない不動産の相続については、専門家に協力を求める

上述のような作業は、個人で行おうとすると時間も労力も負担といえます。そのため、弁護士や司法書士などの専門家に対応を依頼することでスムーズに進められるはずです。

なお、Aさんの父親が亡くなってから3ヶ月以内であれば、相続放棄を行うことで固定資産税の支払い義務を免れることが可能です。

特別な事情がある場合には、被相続人の死後3ヶ月を経過していても相続放棄を行うことができる場合がありますが、被相続人と相続人が長期間にわたり没交渉であって、相続財産が全くないと信じ、相続人が相続財産を調査することも著しく困難な事情があったというような、あくまで例外的な場合に限られます。

 

不動産の相続に伴う手続きは、時間が経てば経つほどスムーズにいかなくなると考えられます。速やかに専門家に相談するのが一番だといえます。

 

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