相続人の中に認知症の方がいる場合の相続手続

相続人の代理として遺産相続に伴う手続きを行うには?

遺産分割を行うためには、相続人全員が遺産分割に同意している必要があります。そのため、相続人のなかに意思表示ができない重度の認知症を患っている方がいる場合は、手続きを進行することができません。

そこで必要となるのが、認知症である相続人の代理として遺産分割協議に参加する「成年後見人」です。成年後見人は家庭裁判所によって、親族が選任される場合がほとんど。相続手続きを行うにあたって、まず家庭裁判所に後見開始の申立てを行います。後見開始を申し立てるには、以下の書類が必要です。

さらに以下の費用が必要です。

これらの書類と費用を用意し、家庭裁判所に申立てを行います。家庭裁判所に無事後見人が選任されたら、相続人の代理人という形で、後見人が参加することにより遺産分割協議が行われる流れになります。

遺産分割には全員の同意が必要

遺産分割協議では、誰が、遺産の何を取得することにするのか、どのようにして話し合うべきかなど、様々な事項を話し合う必要があります。遺産分割協議は、相続人全てがすぐに合意できる結論が出るものではないですが、相続した預金口座からの金銭の引き出しや不動産の登記名義の変更には相続人全員の同意が不可欠です。

遺産分割協議書には相続人全員の署名押印が不可欠

遺産分割協議を経て、その結論に相続人全員が同意できたら、今度はどのような内容で同意したのかを書面で明らかにする必要があります。そこで、必要となるのが「遺産分割協議書」。遺産分割協議書において相続人全員が同意した内容を明らかにすることで、後々「この遺産分割の内容に同意していない」と誰かが不満をもってトラブルになることを防ぐことができます。相続人全員が署名、押印した遺産分割協議書を作成することで、遺産分割協議の内容を証明することになります。

成年後見人の役割とは?

成年後見制度とは、相続人が認知症などによる判断力の低下や意思表示ができない場合、その方の法律行為を援助する制度のことを指します。

認知症、精神障害、知的障害などの理由で判断力が低下している方は、遺産分割協議への参加は難しいでしょう。このような判断能力が不十分な方を保護・支援するために成年後見制度が設けられているのです。

認知症の場合、意思能力が欠如しているため、本人が「必要ないものを購入する」「必要のない契約を結ぶ」といった行動をとるケースがあります。このように、本人が単独で行った法律行為について、成年後見人は、それらの行為の効果を消滅させることができる「取消権」という権限を持っています。

成年後見人を選任するためには家庭裁判所へ申立てを行い、家庭裁判所から選任してもらわなければなりません。その際に「後見等開始申立書」「本人の戸籍謄本」などの多数の書類提出と、「収入印紙」「郵便切手」などの費用を払う必要があります。成年後見人が選任されれば、認知症を抱えた相続人の代理人として、成年後見人が遺産分割協議に参加することになります。

成年後見人の選任に伴う注意点は?

成年後見人を選任する場合、誰が後見人になるのかが問題になるケースが多く、特に親族間での揉め事が生じてしまうもの。その場合には、弁護士や司法書士などの第三者を成年後見人に選任することが適当と言えます。なお、成年後見人を選任するには、申立てや選任手続等に数ヶ月の時間がかかってしまいます。その間は、遺産協議を進めることができません。

さらに、成年後見人を選任するためには10万円以上の費用も必要に。このように成年後見人制度を利用する際は時間もお金もかかることに注意が必要です。

成年後見人を選任せずに遺産分割をすることができる?

遺産分割協議ができないときは、各共同相続人は家庭裁判所に分割を請求することが考えられます。ただ、話し合いによる解決を試みるのが一般的であって、結局は認知症の相続人について成年後見人を選任することが望ましいといえます。

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このページの監修
東京スカイ法律事務所

東京スカイ法律事務所公式HP

引用元:東京スカイ法律事務所公式HP
(http://www.tsky.jp/)

このページは、不動産相続に強い「東京スカイ法律事務所」の田中健太郎弁護士が監修しています。